赤毛のくるくるを
赤毛のコに、弱いです。
赤毛のくるくるを 黒髪のぱっつんにして
教室のすみっこで 推理小説の文庫をひらく
誘われても 屋上でバレーボールはやらないし
抜け出して かき氷を食べにだって行かない
赤毛のくるくるを 黒髪のぱっつんにして
ピアスのあいてない耳を イヤリングではさむ
金髪のきらきらに 目をうばわれることもあるけど
わたしがあれをやるのは ちがうともおもう
コンタクトにすればいいのにって
わたしの まるいフレームのめがねを
疎ましく 言うのはちょっとやめてほしい
あんなものをいれたら
見たくないものまで はっきり見えちゃうじゃない
まるいフレームのめがねを
はなにひっかけるようにして
両目の下半分だけを覆うんだ
視線をおとして 推理小説の文庫を読むときは
下半分で めがねごしのクリアな視界
視線をあげて まわりの世界を見るときは
上半分で めがねなしのぼやけた視界
ずるい つかいわけができるでしょ
コンタクトじゃこうはいかない
はめごろしのレンズは
わたしの視界を不自由なものにする
わたしには そんなものいらないよ
赤毛のくるくるを 黒髪のぱっつんにして
まるいフレームのめがねを
はなにひっかけるようにして
両目の下半分だけを覆うのは
わたしが わたしを抑えつけているんじゃなくて
わたしが わたしを解き放っているから
暗い地味なコ? うん それでいいよ
わたしはこれが好きだから
教室のすみっこで 推理小説の文庫をひらく
恋愛相談や 噂話のあいてなら できるんだろうけど
舌がカメレオンになるような
トリックに逢えたときの興奮を
わけあえるあいてなんて 教室のどこにもいないって
一学期がおわるまえに おもいしらされたんだ
だったら べつに こんなものはもとめない
だから そっちも そんなものはもとめないで
わたしは このわたしで 生きてきたいんだから
赤毛のくるくるを
黒髪のぱっつんにして
まるいフレームのめがねを
はなにひっかけるようにして
黒髪の眼鏡っコには、もっと弱いかも!