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7話 準備

狂人の相手が終わり既に一日分の労働を終えた気になりながら、階下へと降りていく。

「マガツ!マガツ!」

一階につくと声をかけられた

「ごはん!ごはん!」

目をクリクリさせながらわが相談所、最後のメンバー スンスンが僕を出迎えてくれた。

「ああ、おはよう、自分で起きれて偉いね」

僕は腰を屈めてスンスンを抱き上げた。


スンスンは人ではない。動物型の妖怪で自然界ではありえない水とクリーム色の毛並みに長い耳、猫っぽさとウサギぽさのある獣タイプの妖だ。

スンスンはこの相談所のマスコット的存在である。まあ可愛い生き物を可愛がる感性が辛うじて存在するのは僕だけなのだが。

会話でのコミュニケーションはとれるが、それ以外は妖というよりただの動物である。

先ほどの淀んだ空気を吹き飛ばしてくれるだけありがたい話である。

「今日は何かな」

スンスンは興奮気味だ。

僕はスンスンを撫ぜながら言った。

「今日は、マャ~ルだよ」

「やった!マガツもちゃんと用意できて偉いね!」

「はは、ありがとうね」

マャ~ルは今流行りの猫用の餌だ。妖なのに食えるってことは味覚も動物並みなのかな。

あまりに旨そうに食べるので僕も食べてみたのだが、イマイチ薄味なため僕の舌にはあわなかったみたいだ。

「はぐはぐはぐ!」

スンスンはとてもうれしそうに食べる。


「美味し?」

「うん、美味しい」

「マガツもマャ~ル!」

スンスンは僕にマャ~ルを持たせた。

「ふふ」

僕はマャ~ルをかじる。

味は相変わらずだが、スンスンからもらったものだと思うと自然と笑みがこぼれてしまう。

「!マャ~ル!」

スンスンは僕の膝の上でマャ~ルを頬張る。

「おいしいなぁ」

僕もマャ~ルを口にしたまま頬を緩める。

「ああ、幸せな時間だ」


食べ終わった頃を見計らって僕はスンスンに声をかけた。


「スンスン、今日新しい依頼が入ったんだ!フィクサーからじゃなくて依頼人から直接」


「おお相変わらずマガツは人気者だね」

「ハハハ」

。適当に笑って誤魔化す。


「それで今日は相談所で準備するから家にいるけど、明日からは出かけることが多くなるかもしれない」

「ふむふむ」

「だからスンスンの食事はいつもの場所に置いておくよ、ちゃんと一回分がわかるように置くからね、食べ過ぎないように」

「はーい!」


良い返事だ。これで本当に約束を守るかどうかは微妙だがヒューミリエよりは信頼できる。


「じゃあこれから仕事の準備があるから少し離れていて、スンスンがケガしちゃうのはいやだからね」

「はーい」

もう一度返事をするとスンスンはしっぽと耳を立ててお気に入りのソファーまで歩いていった。



さて僕は武器庫に向かい、自分の武器に不具合がないか確認する。

無論普段から使っている物は通常の市場では手に入らない特殊な武器なため今まで不具合が起こったことはない。

これはルーティーンのようなものだ。


まず、複数のナイフの切れ味と柄の部分の緩みがないかチェック、次に実際に自分でも何度か振り体の動きと合うように調整していく。

満足がいくとコートに収納してそこから取り出す動作の練習もする。

次に愛用している回転式拳銃の整備を行う。

撃鉄を引き起こして引き金を引くシングルアクションだ。

自動式の物より連射速度は落ちるが、妖相手ならチマチマ当てるより一発でかいのは当てた方が良いと思っている。個人の感想だが。

また入れられる弾の種類が多く、相手の特性ごとに弾を使い分けられるのも魅力的だ。

強力な妖や妖犯者相手ならこの手の兵器は聞かない場合も多いが、人間やD、Eランク相手なら十分にダメージとして期待できる。

長々と言い訳の様に語ってしまったが、結局の所、他の銃より形がわりと気に入ってるから使っていることは否定できない。

僕の好きなガンマンの言葉を借りるならリボルバーはロマンなのだ。

(僕の妖部分の能力はわりとメンタルに左右される節があるため、意味はある…はずだ)

依頼の前の準備と言ったが、実際は程度の差はあれ毎日この一連の流れは行っている。

武器は手足のように扱えるよう毎日触ることが大事なのだ。


僕は3Fの魔境で削られたメンタルはスンスンと愛武器達のおかげでだいぶ回復してきた。


今日はあとは、ネットでできる限りの情報収集と暗羅様に同行の件でも聞きに行こうかな。

あとはフィクサーに大口の依頼があったから他の依頼は受けれないと伝えておかないと。



~~~~

「ああ理由か、それはあの娘のーーを献上させたいからだ」

「なるほど、そういった理由でしたか」

暗羅様から同行の理由を聞かせていただいた。

「我レベルであれば、匂いでわかるからな!」

今は機嫌が良いらしい割とスムーズに聞くことができた。


「わかりました、この依頼で同行している間に何とかしましょう」

「ええ、私のマガツ!しっかり主人を喜ばせる役目をはたしなさい」

「はいっ、全力をもって取り組みます。」

しかし命には関わらない要求ではあるはずだが忌避感を持たれる可能性がある。

後はいつどのタイミングで切り出しこちらの要求を通すかだな。

「別に無理やりでもいいのよ?」

声をかけられたと認識した時には僕は1Fに転移させられていた。

その後はルーティに電話して今後の捜査の流れとどこから調べるかを伝えて

同行日を決定した。

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