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私は愛する婚約者から引き剥がされ、勇者と結婚する事になった。

作者: そう

新作短編小説になります。


カクヨム様にて先行掲載させて頂いております。


先ずは小説をタップしていただいて、ありがとうございます。拙い作品では御座いますがよろしくお願いします。


 こちらは別視点の物語がありますので、そちらもよろしけばどうぞ【ネタバレ有り】



タイトルは【兄をなくして一年グジグジしていた公爵家の跡継ぎは、婚約者の第4王女が俺と婚約破棄して勇者の婚約者となるらしい……俺は勇者を倒してでも愛する婚約者を取り戻す〜実はその勇者は俺の事だったらしい】







「全くこっちの気も知らないで。下らないわね……」


 読みかけの羊皮紙に書かれた報告書を、ベッドサイドに放り投げるとアリシアは、豪奢な寝台に飛ぶようにして倒れこむ。流石王侯貴族の寝台と言うべきか、凄まじい弾性を以って少女の体を優しく包み込んだ。


 アリシアの炎のような真っ赤な長い炎髪がふわりと無造作に広がった。

 

「勇者様ねぇ……」


 勇者それは古の時代には単純に、勇気にある者を指す言葉だった。それが変ってしまったのは数千年も前の話……魔王と呼ばれる悪神共の加護を受けた魔族の王と人類同盟が、戦争をしていた時原初の女神がその神力アルカナムの一端を授けた超越者……それが勇者。神々の娘ともいわれる精霊と同等の魔力を持ち、人類が持つ如何なる刃でさえ傷付ける事ができないと言われるほどの強靭な、鋼の肉体を持つ救世ぐぜの使徒、救世の神剣それが勇者。

 

「アルトス、私嫌だよぉ~~」


 セントラス王国第四王女アリシア・ヴァ・リンスターそれが私の立場であり、それに加えて勇者の婚約者フィアンセと言う立場まで加わってしまうのである。

 それもこれも全ては、一年前の派兵通称ギルイ戦役が影響している。

 ギルイ戦役までわが国セントラス王国は、魔族の脅威を直接感じてはいなかった。何故ならセントラス王国は、中央大陸と呼ばれる大陸に位置するため、魔族と直接争っているわけではないからだ。だが対魔族人類同盟に加盟こそしていないが、対魔族人類同盟と言う防波堤によって、得られる利益を享受しているため、その対価として大国に金や物資を融通してきたが、凶作によって資金と食料が不足し我々は、生贄を支払う事になった。

 本来であれば王家に連なる者が、お飾りの指揮官となるべきなのだが、それを拒否され終いには、分家して数百年以上たつサマセット公爵に白羽の矢が立った。

 理由は私アリシア・ヴァ・リンスターと、次男アルトスとの婚約が決まっていたからである。簡単に言えば「王家の尊き血をやるから臣従しててね」という事だったのだが、「娘やるから死んで来い」と王族たちは怯えてそういってしまったらしい。その言葉に公爵は病気がちだった為か病状はさらに悪化、仕方なく先代公爵が出向こうとしたが、何故かそれを拒否し長男であるアルトスの兄ケイと私の婚約者アルトスが出陣し、義兄になるはずだったケイを含めたサマセット公爵の騎士団は壊滅。アルトス含めたサマセット公爵軍の一部を含めたセントラス王国軍の七割が帰還したというただ損耗しただけと言う意味のない戦い。

 それによってセントラス王国とサマセット公爵の発言力が低下し、王家は求心力回復のため私をアルトスから引きはがして、勇者にあてがうつもりなのだ。


 物語のお姫様にあこがれていた。でももうそんな夢物語なんていらないと思っていた……なのに、なのにどうして私の幸せを壊そうとするのだろうか?

 アルトスは仲のいい後輩が何人もいた。もし、私が勇者と結婚したらあの子達の中から選んで結婚するのかな? 

 そんなのは嫌だなぁ……

 私上手に笑えるかな……でもきっとあの子たちならアルトスを幸せにしてくれるよね……

 だって一年もアルトスがふさぎ込んでしまった理由の一つになってしまったのは、紛れもない私のせいだから……



………



……




 今日は神殿によって神託がおり勇者に選定された者が呼ばれるという。そこで私は一度さえも会ったことのない輩と婚約をするのだ。

 女神と見紛う様な可憐で絢爛豪華な衣装に身を包み、神の似姿としてこの場にいるのだ。


 アルトスお願いだから私を助けてよ!!


 私はもうあきらめていたのに心の中で叫んでいた。


 我が神!! 主神の愛娘にして神々の次代の女王よ!! 我がこいねがう我を助け給え


 私が奉ずる女神アドナに祈祷して助けを希う。祈祷術という神々の恩寵厚き者が使える秘術があるがそれは、神官クラスの恩寵がないと難しいため私程度の恩寵では神に声を届ける事さえ難しい……。

 砂をすり合わせた様なノイズのような音が直接頭に響く。


『……汝の願い叶う事能わず……汝己が運命を喜べ、汝に加護を与えよう……』


 戦女神アドナイアーの姿を幻視しその声が直接脳に響く。

 伝承通り頭にはオリーブで作られた冠に、長槍に大盾を装備した完全武装の美しい乙女、少女と言った風貌であり眩いばかりの白銀に黄金を少し、混ぜたような色合いの長い長髪を靡かせ、背中にはフクロウ等の猛禽類を思わせる翼を持つ、有翼の女神がそこにいた。


 私が信じる神にさえ見捨てられた……


 もう駄目なんだ……


 私は侍女に世話を焼かれ女神の似姿を取り、神殿で祭祀が行われる広間へ向かう。一歩また一歩と進む足取りが辛く重く感じる。


「アリシア王女……本日はご足労願いまして誠にありがとうございます」


 神殿長である老齢の男性神官が、恭しく礼を取る。臣下と言うわけではないので、本来必要以上にへりくだる必要はないというのが名目だ。


「いえ、とんでもないです……ところで……勇者様はどちらにいらっしゃいますか?」

「勇者様はいらっしゃいますので、ご心配なさらないでください……」

「は、はぁ……」


 「それでは私は失礼します……」と神殿長は言い残して、神殿長はこの場を後にした。立ち去っているさなか、神殿に従事する中年の禿頭神官が神殿長に耳打ちした。


「それで例の者は手配できているんだろうな?」


 ごにょごにょと耳打ちする。


「何? 計画通りに物事を進めろ……神器の……」


 何やら途中から声は聞こえなくなっていた。



 ………



 ……



 …



 神殿の広間にはこの国の高位貴族や軍などの高官、大商人、技術者などの招待客がこの国から現れる勇者誕生を祝福するため駆けつけていた。


 来賓の一部がスピーチを終えて、どうやら私の番が回ってきたようだ。


「ご来賓の皆様本日は我が王国の太祖アルテュールと、同じ女神の使徒である勇者降臨の発表式典にお集まりいただきありがとうございます。私も今だ学生であり皆様方のお力に比べれば、大変つつましやか者でございますが本日女神の仮装をさせていただき勇者様をお呼びする名誉を賜りまして誠に感激しております……では神殿長並びに父である国王が素晴らしいお話をしてくださると思いますのでどうかお楽しみにしてください」


 そういうと壇上から私は降りた。

 神殿長は登壇し時世の挨拶から始めていく。


「……皆の者。勇者とは創世の神ステイシアが自らの使徒と定めたただ一人の英傑を指す。その者は無尽蔵ともいえる精霊と同格の尽きない魔力に、何人たりとも傷付けることの叶わない鋼の如き肉体を持つという……皆に問いたい。勇者とはどうあるべきかと!! 私は心優しく愛のために戦う者が相応しいと思っている……」


 バン!!


 神殿の大きな木戸が開いた。


「アルトス!」


 私は婚約者の名前を口にしていた。

 アルトスは私を攫いに来たのだろう……ただし腰には武器の一本も、下げてはいないようだ。


 警備の神殿兵と王国でも最優秀と言われる近衛騎士団が、アルトスを取り囲んだ。


「先輩!! 使ってくださーい」


 小柄な少女が黒い鞘に入った長剣を放り投げた。

 アルトスはそれを苦も無く受け取ると剣を抜いた。


「ありがとな!!」


 アルトスはそう大きな声で叫んだ。


「私の事フッたんだから王女ぐらいモノにして見せろぉぉおおおおお!」


「神殿長……」


 側仕えの神官が不安そうに声を出す。


「王よ、聖騎士パラディンを投入します」

「うむ」


 顔以外を白と金で装飾されたフルプレートアーマーを身にまとった青年が、アルトスの方へ向かう。


「パラディン? もしかして彼が勇者?」


 周りの高位神官は、ニッコりと微笑んだ。

 彼が勇者なんだ確かに甘い優男風のマスクに、スラリとした長身で鎧のためスタイルは分からないが、筋肉質なマッチョ男であろうことは、その分厚いフルプレートアーマーでも機敏に動き回っていることからも容易に想像がつく。

  

 大盾での防御ベースにした剣術で防御をメインにしながら、合間合間で攻撃をするというスタイルで、アルトスと打ち合いを続けている。

 暫く打ち合いを続けていると、アルトスの腹に剣が突き刺さる。

 

「アルトスぅぅううううううう!!」


 アルトスの傷口が赤い炎に包まれる。


 魔法攻撃!!


 否、直ぐにその可能性を否定する何故なら、炎が表れその炎が焼いた場所が見る見るとまるで、再生して行くように完治していく。


「不死なる聖鳳が纏うという聖なる炎……不滅なるイモータルファイア……まさかこれ程とは……」


 神殿長が呟いた。


「それって勇者の紋章クレストの一つ鳳の印……もしかして……」


 私は神殿長の呟きによって一つの答えにたどり着く。


「えぇ……貴方の想像通りです……彼、サマセット公爵家のアルトス、彼こそが真の勇者。女神の使徒です……まぁ彼は受け継いだだけですがね」

「受け継いだ? それはどういう……」

「簡単な事ですよ。今代の勇者は力が分割されて生まれました……兄には女神の剣が、弟であるアルトス君には不滅なる焔が宿りました……」

「もしかして……」

「その通りです。此度の戦役はアルトス君の力と、兄であるケイの力を合わせ完全な勇者を作ることが目的でした……本来死ぬ予定は王家の手によって狂い、ケイ様が死亡。しかし、目的通り真の勇者は生まれましたが、一つ問題がありました勇者の剣の印の能力で、聖剣が封印されてしまったのです」

「それがもしかしてあの剣……今回偽勇者を仕立て上げたことも全ては……」


 神殿長は抑揚をつけた聞き取りやすい声で話し始めた。


「えぇその通りです。アルトス君はお兄さんが自ら死ぬ所とその理由を知ってしまったため、心が壊れてしまい当日の記憶は朧げなものとなってしまったようです……彼は倒れる間際に『勇者になんてなりたくない」と言ったそうです……何とお不敬なものか!! 神々の始祖たる至高の女神の使徒ならば、己の身命を賭してその役目を果たすのが信徒であろうに……」


 白亜のフルプレートアーマーを纏った聖騎士が、アルトスを追い詰めている。


「勇者の印を持つ奴がこんな弱いとは思わなかったぜ……」

「俺が勇者、そんなわけ……あっ、ぐッあ、あぁぁぁあああああああああああッあ、あ、あぁぁあああああああああ、あ、ぐぅわぁぁぁぁああああああああッ!!」


 アルトスが急に蹲ると、痛みのせいなのか? はたまた苦しみのせいなのか? 頭を押さえ悶え苦しむ虫の様に、不気味な挙動で動き顔や頭を掻きむしり始める……爪が立っているせいか血が流れるが即座に炎が身を包む。しかし炎が焼き治す。しかし、直ぐにまた搔きむしる。


「もしかして不死の焔が脳を改変していてそれを治している……だから激痛を感じているとでもいうのか……」


 パラディンの青年は悶え苦しむアルトスを見て、そう思い至ったようだ。

 肩で息をする。疲労困憊と言う状態だが強靭な精神力で立ち上がり、長剣を握り床に突き刺して杖のようにして立ち上がると、誰の目から見ても明らかなほどの疲労困憊な状態でありながらも、精いっぱいの虚勢なのかカラカラと笑うと啖呵を切る。


「ハァ……ハァ……はぁ俺は勇者になんてなりたくない!! だけど兄貴の命をもらったんだからその価値ぐらいの仕事はしてやるよ!! 来いよ偽物!! 俺は救世主なんて器じゃないけどよぉ……お前よりは勇者やってやるからッ俺の女に手を出すな!!」


 そこからは圧倒的な力を持った勇者による力の顕示だった。


 数分後――――。

 私はアルトスに、所謂お姫様抱っこと言われる状態で抱きかかえられていた。

 

「彼の救世主誕生の際には、大箒星が現れたと言う。だが此度は、天啓が巫女に降りた。この者サマセット公爵次男アルトス・フォン・リングスタッドが救世の勇者であることをここに宣言する!!」


 王都にある聖ヴァレリアン大聖堂の大広間に設けられた壇上の上にアルトスは立っている。それを取り囲むのは、大貴族や皇族それに司祭達権力者だ。壇上の中央に立つのは、禿頭の神殿長だ。 

 すると野太い男の声を中心にした歓声があちこちから上がる。 


「是非とも魔王を討伐してもらいたい」「憎き魔王に、これで対抗できる」とか、無責任な事を言っている。 

「では、アルトス殿には勇者の証を見せていただこう大聖印グランドクレストを!!」 


 神殿長の言葉を合図にアルトスは、右手の甲の痣を掲げる。燃ゆる炎を背景に、両翼を広げた鳳の体を貫くような十字を重ねた意匠の複雑な紋様が碧く輝き空に大きく投射される。 


 「おお」と唸るような人々の歓声が聖堂に響く。

 

「これが伝え聞く我らが太祖アルテュールの大聖印と同じ物か……」

 

 と老貴族が呟く。 


「あぁ。凄まじいこれが勇者の気迫か」 

「サマセット公爵家と言えば、名家じゃないか……」

「と言うことは、勇者様も、元々優れた御人なのか?」 


 と噂をする貴族や大商人の声が聞こえる。

 神殿長と副神殿長が今回の決闘騒ぎにフォローを入れる。


「これにて、お披露目を終了する」 


 そう神殿長が挨拶を述べると、アルトスと私は壇上から降り、奥の控室に移動した。


「アルトス殿。貴方は、勇者として覚醒められた……その責務を果たしていただきたい……貴方の兄君を殺してしまったのは神殿と王国と言ってもいいしかし、その怒りを人類には向けないでいただきたい」


 老司教は、憂いを持った眼差しを向ける。 


「それは、人類のためですか?」 


 アルトスの言葉に、周りの司祭達は、驚きの表情を浮かべる。 

 余程驚いたのであろう。このような事で本心を晒すとは、教会と王宮は、魑魅魍魎の巣窟だと聞いていたが油断していたのであろうか? 


「かつて存在した大帝国が東西2つに割れ、神殿も大きく2つに大分裂した俗にいう大分裂シスマだな。だが我々も2つの神殿もいくつもの国も目的は同じなのだ。人類の敵、魔王の討伐である。それだけは、勘違いしないでほしい。もし君が許せないというのなら私達の首を捧げよう」 


 神殿長は、隠さなかった。そこに敬意を表したい。と私は思った。 


「そうですか」

「あぁ。だから君の仲間は、黒鷲アドラー帝国、獅子リオン帝国に幾つかの国から選ばれるだろう……婚約者も増えるかもな……」


 各国の利害関係を考えると、予想通りになってしまった様だ。

 嫌だけどしょうがないか。勇者の子孫となれば、王権に箔が付く。まぁでもアルトスと結婚できるから……もし言い寄る女の子がいれば対応しよう……仕方ない。あの子たちぐらいは受け入れよう。 

最後まで読んでいただきありがとうございます。こちらの作品は別視点の物語がありますのでそちらもよろしけばどうぞ。なお改訂版もありますのでよければご覧下さい。



よろしければブックマークの登録と高評価をお願いしますm(_ _)m。



 そのひと手間が、作者の活力になりますので……つまらなければ☆☆☆☆☆を一つ押して★☆☆☆☆に面白ければ☆☆☆☆☆を全て押して★★★★★にしていただければ幸いです。




まだなろうのアカウントを持っていない方は、この機会にアカウントの作成をしては如何でしょうか? 




Twitterをやっていない作者様との交流や、好きな作品に評価やレビューがかけて、なろうのサイトを開けば更新作品を自動で教えてくれたり、栞機能でどこまで読んだかわからなくなる事もありません。約5分程度で作れるので、この機会にいかがでしょうか? 例えばアニメ化作品のReゼ○から始まる異世界生活などの大長編を読む際には、必須機能だと思います。

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