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鈴蘭の客人  作者: 稲葉 鈴
王都
100/101

お昼を食べてお城へやってきて。

記念すべき百話目はお風呂回かつ短め。

いや本当に短いな……。

 お昼を食べてお城へやってきて。お茶を飲みながらクラウス先生とこれまでとこれからのお話をして。植物園に行って勉強会をして戻ってきました、王妃様が整えて下さったという客室。

 そこまで送ってくださってから、クラウス先生は帰って行かれた。この後私達に用事がないからである。

 部屋の中では、ナターリエさんが待ち構えていらっしゃった。私とトリクシーのお風呂と、お召し替えである。ちなみにトリクシーも一応着替えはする。同じ騎士服ではあるんだけれどね。同一の騎士服を数日着まわすのは、行軍とか行軍練習とか、森の中で野営をするとかそういう時だけで、普段は同じように作られている騎士服が洗い替えにあるという。それはそうだ。

 私の着る服に関しては、クリスタラーのお屋敷から持ってきている。

 オーバーサイズの水色の薄手のワンピースの下に、白いワンピースを重ね着するタイプのものだ。裾の長さがほんのすこし違っていて、ちらりちらりと白いワンピースの裾が見える。

 腰の所に緩めのコルセットがあってそれで腰を絞るタイプだ。夜会とか用のワンピースどれすではないので、その辺りは緩い。


「この形は、丁度私たちがアカデミーに通っていた頃の物ですね」


 ナターリエさんが懐かしそうにそう言う。じゃあきっと、もう少ししたらまた流行るだろう。流行は繰り返すものなので。

 王妃様方は、私が時代遅れの、流行遅れのワンピースを着ていても笑うことはない。別にそういう風に躾けられている、とかではなく。


「クリスタラーの家は物持ちがいいのね!」


 と驚いていらした。

 トリクシーがアカデミーの学生だった頃に仕立てたものが、傷まずに残っていた、ということに驚く方が優先順位が高かったのだ。お気持ちわかります。

 ナターリエさんの他にニコラさんと、それから数人のメイドさんがいらっしゃって、私とトリクシーをお風呂に入れてくれる。


「本日は晩餐会でも夜会でもありませんから、香油は塗りこみません」


 あわあわのバスタブに突っ込まれて、布を渡される。これを使って自分で洗えということなのだろう。


「お背中はお流ししますね」


 ニコラさんが寄ってきてくれる。多分、私がお風呂のお世話をされるのが得意ではない、というあたりを、汲んでくれたのではないだろうか。せっせと自分で腕とかを洗っている間に背中を洗われ、髪を洗われ。今日の夕食会のメニューを教えられる。

 どこでその情報を得てくるのか。


「料理長が教えてくれたんですよ。エリィ様には、先に教えておきなさいって」

「ありがとうございますとお伝えください」


 前回の晩餐会のご飯も、美味しかったのは分かるのだけれどよく覚えていないので、とても助かります。折角の王宮料理なので覚えていきたいのです。

 まあ、明日一日と、明後日のおそらくお昼 ご飯までは頂くのではないかな、と思っているのだけれど。

 綺麗に洗われた後は自分で拭くよりも先にバスローブを着させられる。これ全身拭けて便利ですね、とこちらに来てから思うようになった。帰ってから買うかどうかは、まあその時また考えるとして。

 ほんのりとしたメイクもしてもらった。あとは、また近衛の方々が迎えに来てくれるのを待つだけだ。いやどうなんだろう。今日はトリクシー騎士装束だし、護衛はいらない感じ?

 とふと疑問に思っていると、ドアがノックされた。

 早い。

 多分、私がお風呂を出たあたりでメイドさんの数が減っていたから、誰かが上がったのだと声をかけに言ったのだろう。


「申し上げます」


 私に声が聞こえたのはそこまでだ。するりとドアに近寄って行ったナターリエさんが、後を引き継ぐ。後を引き継ぐ、というか、ナターリエさんに伝える、というか。

 ありがとうとかご苦労様、とか、そう言った類の事をおそらくナターリエさんは口にして、ドアを閉めた。そうして、わたしたちの方に向き直る。


「ご夕食の準備が整ったそうです。ご案内いたします」


 そう言って、軽く腰を折って挨拶してくれた。


「頼む」


 トリクシーが頷いて立ち上がり、私に手を差し出す。エスコートはやはり必要なのだろう。

 そういえば、トリクシーは現在武器を持っていない。前回お城に来たときも同じで、クリスタラーのお屋敷へ帰る馬車に乗せていた。

 一応、お城の中では帯剣できないことになっているという。出来るのは、近衛兵の皆さんだけだ。それでいいと思う。

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