舘山 2
ー橋田は目の前の光景を偽りであって欲しいと思った。
殴打され腫れ上がった重い瞼を上げた先にいたのは間違いなく、自身の伴侶だ。
目隠しをされ、怯えた表情で周りを見渡している。
「貴様らは無抵抗の女性まで手をかけるのか、卑劣な」
「仲間を盾にする男からよくその言葉が出たもんだ。手をかけるかはお前の返答次第だ」
「仮にもジュネーブ条約を批准している国のやる事か」
「ジュネーヴ諸条約及び追加議定書」、傷病者や捕虜、文民など武力紛争犠牲者の保護を目的とした法規則であるが、日本国は開戦前の2000年代頭に加入している為、現状の日本臨時政府においても順守する必要がある。
「『不法戦闘員』がよく言う。そうであるなら解放軍の『堅壁清野』は組織的な民間人虐殺だろうよ」
篠田は「正規軍人でもないテロリストが兵士として捕虜を気取りか」、と一笑に付す。
彼女からすればそもそも自身らで遵守すらしていないにも関わらず、都合のいい時だけ文脈を持ち出すという浅はかさに失笑すら出る話だ。
こういう手合いですら保護が必要な腐った条約をハナから守る気は毛頭ない。
「もう一度言うがお前の伴侶とやらがどうなるかはこの後の返答次第だ。お前を捨てた幹部連中がどこに潜んでいる。義理立ては今更不要だろうに」
篠田の言う通り、幹部連中から捨て駒として事実上の放逐をされている男が今更解放軍に遠慮する道理はない筈だ。
ただ、仮に吐いたとしても幹部とて恐らく橋田が捕縛されることを見越して主要拠点を移しているだろう。
加えて彼女らが本拠地に踏み込んで空振りだった場合に橋田自身に苛烈な仕打ちが降りかかるのは明白である。
そして何よりも彼女においそれと答えてやるのは癪に障る。
強いて、幹部連中の所在ではなく解放軍にとって破壊されると困る上においそれと動かせない重要拠点があるにはあるのだが、「小出しにする事で生き永らえれば、同じく虜囚の身である部下が汚名挽回の為に脱獄してこちらへ救出に来るだろう」という考えの元、話していない。
彼の利己的で独善的な思考はこの期に及んで尚変わることが無く、自分の都合のいいように状況が推移すると思っており、この生来から根本的な何かが欠落しているとしか言えない思考回路は恐らくその場にいる伴侶ですら理解しえないだろう。
何なら橋田は時間稼ぎの為、伴侶に人柱になってもらう算段すら大まじめに考えていた。
「自分の伴侶がどうにかなることを前にしても大した態度だ。いや、お前の場合は伴侶よりも自己保身の方が大事だったか?」
篠田の言葉は彼の歪んだ内面心理に対して概ね正鵠を得ている。
このような女に内心を言い当てられるのは非常に不愉快ではあるものの、ここで口を開いて反論すればつけあがられるのはもっと不愉快が故に沈黙を通す。
「そうかい、じゃあこの女は殺す」
脇のホルスターから無造作にM&P9を抜き、彼女の側頭部に銃口を突き付け、セーフティを外してトリガーに指をかける。
橋田の伴侶は悲鳴を上げ、必死に橋田に助けを求めるが、彼は一切動じない。
「薄情な奴だ、面白くもない」
数十秒反応が無いのを確認すると溜息をついて銃口を降ろし、未だ泣き叫ぶ女を床に突き飛ばす。
「ハナから殺すつもりもなかっただろう」
「そうだな、お前が彼女の助命を必死にお願いしていたらこいつは殺したさ」
篠田はにべもなくそう返す。
「ただ、こうも余興にもならないようじゃお前を殺した方がいいかもしれないな」
降ろした銃を無造作に橋田に向ける。
「・・・そうしろ、私は大義の為に戦ってきた。覚悟はある」
「よくもまぁ、思ってもいない事をホイホイ口に出す」
事実、橋田の言はまったくの嘘であるし、未だに生存の可能性を模索していた。
橋田は一種の賭けに出ていた。
「篠田からすればわざわざ『殺せ』と言ってくる仇敵をそのまま殺るのは興が削がれ、殺さない」と読んでいるが故に「命など惜しくない」という言動をとる。
事実、彼女は銃口を向けるだけで発砲する気配はないところを見てもその読みは正しかったようだ。
「『自分の命は地球より重い』と本気で思っている奴がよくもまぁ猿芝居をする」
「そうだろうか、こうも甚振られ続けると『死んだ方がマシ』とすら思うがな」
「そいつは思惑通りに運んでいて重畳だ。じゃあ、もっと趣向を変える必要があるな」
右側の壁に目を向ける。
そちらはマジックミラーになっていて隣の部屋から特殊戦略作戦室所属の上等兵が篠田と橋田のやり取りをスピーカー越しに聞きながら調書を取っていた。
「上等兵、『彼ら』を連れてこい」
上等兵は渋い顔をしながら立ち上がり、部屋に備えてある受話器を取り上げ、どこかに連絡を始める。
ー数分しない内に篠田達のいる部屋のドアがノックされ、手錠で繋がれ首輪を嵌められた3名の捕虜を伴って上等兵が入ってきた。
彼らは橋田の元で戦い、機体を破壊された事で投降した「紅天部隊」の隊員である。
「みんな、生きていたのか。良かった・・・、心配したぞ」
むざむざ自分から逃がす機会をくれるとはー。
思わず口元に笑みが零れながらの橋田の呼びかけに対し、彼らの返答は無く、冷めた視線だけが返ってきた。
「彼らはどうにも橋田元同志にご挨拶がしたいって事でな」
「部下を生かしてくれるとは思ってもみなかった」
露骨に喜色を浮かべる橋田に対して連れて来られた3名は眉一つ動かさない無表情である。
「・・・どうしたんだ、皆。まずは生きていたことだけでも分かち合おうじゃないか」
「隊長、いや橋田。アンタが口を割らないから俺たちは爆弾付きの首輪を嵌められた。そしてもう二人も首を吹っ飛ばされた」
彼らは手錠でままならない腕を上げ、首元を指さす。
顔が青ざめている上に衣服には血がこびりついている為、本当に爆殺されたようだ。
「なんて酷い事を・・・。そんなもので我々は屈さないぞ。統合軍は性根が腐りきってー」
「いいや、違う」
隊員の一人が橋田の言葉を遮る。
今の今まで部下が自分の言葉を遮ってまで反論するような事は無く、見た事のない反応をされた橋田は動揺からか思わず口を噤む。
「アンタは仲間を盾にした。そしてあろうことか俺たちごと原潜のミサイルで吹っ飛ばして自分だけ生き残ろうとした」
「何をそんな馬鹿なことを・・・。私がそんなことをするはずないじゃないか」
「本当にそうだったらいいんだけどな」
篠田は口角を少し上げると隣の部屋の上等兵にアイコンタクトを送る。
十数秒の沈黙の後、篠田達のいる部屋のスピーカーからは、先日の戦闘時における橋田の「青龍」宛の通信音声が流れてきた。
『「青龍」、聞こえるか。返事はいいから私の指示に従え、艦長命令だ』
『即時、緊急浮上してこちらにありったけのミサイルを撃て。撃沈されても構わん、私にだけ・・・・当たらないようにな』
間違いなく橋田の肉声での通信である。
「これはー、都合のいい切り取りだ。事実とは異なる。君たちは騙されている」
動かぬ証拠な上に言った記憶もしっかりあった内容に対し橋田は一瞬固まるも、猛然と反論する。
「確かに、改竄した音声を聞かせる可能性はあるよ。だが、彼らの表情を見ればどちらの言葉を信じているかは分かるだろう」
篠田の言葉につられ、彼らを見遣る。
少なくとも彼らの視線は元の信奉が消失し、まるで元凶を見るような目つきだ。
「だからさ、彼らに提案したんだ。『お前のところの隊長から情報を聞き出す手伝いをしてくれたら助けてやる』って」
彼らの態度に呆然とする橋田を見て、篠田がくつくつと笑う。
「そしたら皆二つ返事で承諾したよ、『お安い仕事です』ってな」
橋田の血の気が一気に引く。
「彼らを洗脳して何をさせる気だ、やめろ」
「洗脳じゃない。彼ら自身の意志だ。別にお前を殺しはしないさ。ただー」
ちらりと端でなおすすり泣きしている女を見る。
「ー『橋田の大事なものを壊してもいい』とは言った」
三人とも女の方を振り向き、彼女を囲うように座り込み、体の様々な部分をまさぐり始める。
先程よりも大きい金切り声じみた悲鳴を上げて女は抵抗するが、男三人の前には無力であり、すぐに口を塞がれて衣類を剥ぎ取られる。
「おい、彼女に手を出すな。やめろ」
血走った目になって叫ぶが、彼らは意にも介せず泣きじゃくる女を辱め出す。
「やめろ、俺より位の低い分際で私のモノに手を出すな。統合軍の犬如きに屈するゴミ共が。分を知れ」
「聞いたか、お前の旦那はお前の事を処理の道具程度に思っているらしい」
篠田が煽り、女は橋田にあらんばかりの罵声を浴びせる。
他方、彼らは橋田を一瞥し、一様に鼻で笑うとそのまま屹立したモノで叫ぶ女の穴を塞ぎ、嬲り始めた。
橋田が激昂するも虚しく、彼らは荒々しく事を続ける。
叫ぶこともできずに泣き喚く女と激昂して吠える女の旦那を見て篠田は笑いが止まらない。
篠田は、橋田にとって「自身の所有物に対して他人が好き勝手に扱う」という屈辱は、最も不愉快にさせる行為だと「彼」から聞き及んでいた。
この拷問に「解放軍の主要拠点聞き出し」という目的はなく、「『彼』の仇である橋田を甚振る」という手段が目的になっている。
仮に情報を漏らしたとしても同じことはするつもりでいた。
彼女にとって無様に殺す行為こそ自慰行為そのものであったのだ。
ーそれから数時間後、尋問が行われる部屋では終始刷毛口にされた女がボロ雑巾のように失神し、犯していた側の橋田の部下たちと共に牢に戻された事で部屋には篠田と橋田だけが残る形になった。
「さて、次は何をして遊ぼうか」
橋田は焦点の合わない目のまま、黙っている。
彼ほど人間性が欠落している者とて、自身を信奉していた部下から自身の所有物を手にかけられたのは応えたようだ。
「黙っていたって何も始まらない、叫びすぎたから水でも欲しいのか」
机上の液体が入っている瓶を取り、縛られている橋田の頭にかけ始める。
瓶内の液体は濃硫酸であり、化学熱傷によって彼の皮膚は激しく気泡が発生し、激痛を伴いながら融解していく。
「なんだ、まだ元気じゃないか。てっきり自分のオモチャに傷つけられて柄にもなく落ち込んでいるもんかと思ったよ」
掠れた声で叫び、のたうち回る彼を見て彼女はケタケタ笑い出す。
「彼」も内心ほくそ笑んでいるのが彼女にも伝わってくる。
戦闘も血肉躍るがやはり目の前で苦悶にもがく人間を見るのは愉快極まりない。
それが例えば眼前の「大義を騙り、自己保身しか考えていない俗物」のような唾棄すべき人間であればあるほどその苦悶の様子が一際面白い。
「・・・そうやっていつまでも」
「あ、聞こえないな。腹から声を出せよ」
無造作に熱傷から煙が上がっている頬を空瓶で殴りつける。
「・・・いつまでもそうやって他人のせいにしかできないんだな、『堀田』」
「・・・何だと?」
呼ばれた彼が表出し、思わず反応する。
「鼬の最後っ屁って奴か?相変わらず余計な一言が多い」
「そう思ってくれても構わないよ。ただ、君は君の中の『彼女』の手助けが無いとこうやって復讐もできないんだなって」
「それがどうした。そうであったとしても負けたのは事実だろう」
「勝った気でいるところ恐縮だけど違うね。君は彼女がいなければあのまま負けていた。部隊の戦闘そのものは確かに我々が負けていたかもしれないが、少なくとも君と私との戦いはそうなっただろう」
「勝負に負けて試合に勝った」ー、橋田はこの状況においても尚、彼を見下し、煽る。
少なくともここから状況が好転するのはとても望めないし、激痛で気がおかしくなるところまで来ている。
だからこそ、彼を見下し嘲笑することで精神の均衡を保とうとしていた。
当の彼は橋田の思惑通り、みるみる喜色が失せ、表情が消えていく。
「自殺したのも私とその取り巻きのせいにしているが、『自身の意志だけでは死ねなかった』話だろう。自分の生殺与奪ですら自分で決めれない奴が君だ。そうやって他人のせいにしていれば弱い自分を責めなくてもいいからな」
答えの代わりに持っていた空き瓶で力任せに橋田の頭部を殴りつけた。
瓶が割れ、ごく少量残っていた液体が手に付着し熱傷を起こしたが、構わず割れた空き瓶で顔面を殴打し続ける。
こいつにだけは言われたくないー。
他責思考を繰り返すゴミが癇に障るー。
もっと苦しめないと、もっと嬲らないと、もっと死ぬまで甚振らないとー。
飛び散る破片の一片が頬を掠め、血が滲む。
だが、殴る手は止まらない。
「彼女」が何か言って制止をするが、ひたすら湧き出す憎悪と殺意の念の前には声は届かず、目の前の醜悪な男をどう苦しめるかしか考えていなかった。
「図星だろう。君は本当に要地で単純だ。本当に面白い。だが、君のような奴には絶対なりたくない」
「同じ穴の狢がー」
ホルスターからM&P9を抜き、橋田の左太股を撃つ。
放たれたホローポイント弾は腿の中で弾け、彼の骨肉を抉りながら広がる。
苦悶の呻きを上げるが、脂汗が浮かびながらも橋田は口角を吊り上げた醜悪な表情を崩さない。
「同類と言い出したのは君の方だろう。もしかして怒りに我を忘れるほどの事を言ってしまったかな」
「次に余計なことを言ってみろ、今度は床一面にお前の腐った脳漿が飛散するぞ」
先程までの愉快そうな笑いは消え、ただただ強い殺意に突き動かされた「堀田」は真顔でトリガーに掛ける指の力を強めつつ、目の前の同類の額に銃口を押し当てる。
「そういう解決しか出来ないんだな。一方的な状況でしか嬲れない小心者が」
何でもないような一言一言がひどく気を苛立たせる。
「自身へ向けられた言葉などを良くも悪くも余さず覚えている人間」が、「その時々でコロコロ意見を変える上、無自覚に他人を見下す言動を繰り返した挙句に言った事を忘れてしまう人間」との相性は絶望的だろう。
良くて絶縁、最悪は今のように命のやり取りにしかならない。
そして忌々しい事に「あちら側」で交友があった故にこの男が次に言うであろう言葉は容易に想像がついた。
この男は精神病理を由来とする「他人に対する感情の欠落」が自身に対する評価が両極端になる主要因を占めていると言っても過言ではない。
まずは相手の気に障る事項を遠慮会釈なしに衝き、相手の精神に大きく揺さぶりをかける。
そこに対してすかさず独壇場である話術で言いくるめ、自分に有利な条件を引き出したり、自分の正当性を確保するという手法を最も得意とする。
それが後になって冷静に考えれば不条理極まりないものであったとしても、その場においては言葉巧みに相手の思考を「彼の言う通りかもしれない」と思わせることが出来た。
言ってしまえば詐欺師の手口であるし、事実、彼と同じ精神病理を有する人間はそういった犯罪を上手くできる人間が多いとされるが、彼の場合は特筆してそれが上手く、多くの人間と表面上の交友を築く事に長けていた。
他方、言われた側で反論できなかったり賛同できなかった人間も一定数いる。
彼らからすれば自尊心を著しく傷つけられる上に正当性でもって感情に蓋をされる形になる為、余計に始末が悪い。
そういった反発に対してこの男のしてきた事は自身の信奉者である取り巻きに対し、「反発した人間がいかに愚かであり、自分たちと違う異形の存在であるか」を吹聴し、焚き付けた。
自然、信奉者は自らの崇拝対象に反目する者を同様に見下し、強い敵意を抱く。
彼らは集団でもって反発した者を貶める発言の意見交換会から始まり、やがては対象に向けた直接的な暴言、酷い者は暴力に走る。
この対人様式であるから彼に対する評価は絶対的な信奉か徹底的な敵対のどちらかにしかならないのだが、自身の周囲をコントロールする事で自らの手を下さずとも敵対者を排斥してきていた。
その男が堀田の今の根幹を為す核心を衝こうとしている。
「そんなんだからあの女に捨てられたんだよ」
辞めろ。
「そう、本当はお前はー」
言うな。
「ーあの女を『心から愛していた』というのにな」
直後、3発分の銃声が室内に響いた。
銃口からは硝煙の臭いと共に白煙が上がる。
彼の眼前にはさっきまで橋田だったモノが噴水のように血を噴き出している。
2発は胸部、最期にはなった1発は正確に眉間を射抜き、顔面を破壊していた。
既に事切れた仇からもう癇に障る言葉は出てこない。
出てこないのに未だに憎悪が収まらず、死体に向けて続けて発砲を続ける。
既に弾が切れたというのに上の空であるかのように未だにトリガーを引き続けていると隣室の上等兵が飛び出してきて、銃を取り上げる。
銃を取られても呆然と眼前の死体を見つめ続ける上官を見て、二、三言葉をかけるが、聞こえてこない。
彼は自身の思考に沈み切っていた。
今度もまた、「勝負に負けて試合に勝った」。
いや、今度ばかりは試合すらも負けた。
可能な限り苦しめて生き地獄を味あわせるつもりが、思惑に乗せられたまま激情に駆られた。
その結果がこれだ。
そしてその思考している際中、死んだはずの眼前の男が血まみれのまま顔を上げ、彼に語り掛ける。
「ほら見た事か。結局君は他人のせいにしかできない。自分が愛していた女に別れを告げられた事ですら誰かの責任にしたい奴なんだよ」
ぐちゃぐちゃの顔面のまま、彼に微笑いかける。
「俺を殺した事ですら俺に逆上された事にするんだろう」
「そう、君はそのままでいい」
「一生誰かのせいにしてみっともなく卑怯者のまま生きていなよ」
はっと目を見開くと、先ほどまで話していた橋田はまた死体に戻り、吊られたまま事切れている。
ただ、至近弾の衝撃でひしゃげた顔には、まるで「勝った」と言わんばかりの悪辣な笑みが張り付いたままであった。
・不法戦闘員の要件
ジュネーブ条約においては、「交戦する権利がないにもかかわらず戦闘行為に直接参加したすべての者」とされ、捕縛された際に「捕虜」としての扱いを受けないとされている。
実際、米国では上記を根拠としてアルカイダなどの対テロ戦争においてテロ組織の構成員を捕虜条約 4 条に規定される戦闘員としての識別性を有していない為、捕虜資格を否定し、「戦争犯罪人」として扱い、条約に則った保護を行わずに拷問などを行ったのではないかとされている。
しかし、米国はアルカイダとの戦闘を「国際的武力紛争」と定義しており、「国際的武力紛争」であるならばアルカイダは米国との「交戦権」を有しており、「構成員は捕縛された際に『捕虜』としての扱いを受けるべきでは」という考え方もある。
そうでなくても「不法戦闘員」であった場合において、人権の観点で最低限の保護をすべきだったが、米国はあくまで「戦争犯罪人」として扱い、拷問などを行っていた痕跡があった。
ちなみに日本臨時政府は解放軍に対して明確に「不法戦闘員」として扱い、「交戦意志のない解放軍構成員には最低限の人道的保護のみを行う」と宣言している為、篠田が行っていたる投降した解放軍構成員の虐殺や拷問は権利侵害にあたるし本人もその事実を認識していたが、敢えてその部分は国際法に明るくない橋田に対して意図的にぼかして話している。
どのみち統合軍では篠田以外でも一部兵士の間では投降した相手の殺害は半ば常態化しており、厳密に裁くのであれば関与含めた相当数の人間が法廷に立つ羽目となりとても対応できない為、見て見ぬふりをしているというのが現状。




