佐世保 7
ー時は少し遡る。
方円陣を組んだ時点で橋田は焦っていた。
見込んでいた「青龍」からの援護は無く、ただ戦機兵部隊からの攻撃に耐えている状況だ。
向こうからの有効弾はないが、こちらも手詰まりであり、長引けばこちらの防盾を破られる上、敵方の方針変更により爆発を伴う撃破も辞さなくなる可能性がある。
橋田とて腐っても兵俑機戦術の専門家だ。
機体の特性や得意な戦法については熟知している為、今回は自身の考案した陣形に適した機体前面をほぼ覆う大型防盾を持ち出していた。
現状を客観的に分析すれば、今の陣形を崩せばそのまま各個撃破されるのが関の山、機動力もない鈍重な機体では逃走も叶わない。
忌々しいことに「吸血部隊」は通常弾頭ではなく、兵俑機対策に強化炸薬弾を用いているようで、追加でバイタルパートに増設した爆発反応装甲でも防げるかは怪しい。
ましてや敵の領地、こちら側の増援もまず望めないことを鑑みると順当に考えて敗北は時間の問題だった。
それにー、あの癇に障る篠田という女が何をしでかすが読めない。
先程対面した際に、「吸血部隊」の名に違わず、あまりに野蛮な印象を受けた。
恐らく血気盛んに突撃し、白兵戦を仕掛けてくるであろう事は以前の戦闘データからも容易に想像がつく。
一応、それも見越した上で橋田は方円陣を選択し、仮に肉薄されても複数機が固まって大型の盾で押し返してしまえば不得手な白兵戦に持ち込まれることも防げる想定だ。
あるいは真っ先に指揮官である橋田機を落とすことが叶えば、橋田ありきの部隊はいとも容易く崩壊する可能性はあるが、まず外郭を崩さない事には対面すら叶わない。
理屈で考えれば彼女の突撃は勝機のない自殺同然の特攻であるはずだと彼は結論付ける。
ただ、そうと思っていても、橋田は彼女と面向かって対峙してからずっと嫌な胸騒ぎを感じていた。
どういう訳かは分からないが、「彼女は橋田のみを狙って突っ込んでくる」という思考が脳裏を占めている。
少なくとも橋田機は外見上において他の機と何ら変わらない。
その上、方円陣の内側には自機以外にも複数機いる為、篠田が首尾よく外郭をくぐって飛び込んできたとして咄嗟に機体の見分けがつくはずがない。
論理的に考えてもあり得ないのだが、「彼女が橋田機であると認識して襲ってくる」という妙な確信がある。
根拠はない。
強いて言うなら「そんな予感がする」だけだ。
彼は自分にとって都合が悪く、論理的でないものを好まない。
もっと言えば嫌悪すらしている。
仮にこれが「運命」であり、自身の命脈が尽きる様を予知しているものであったとしても、絶対に許容はしない。
周りは自分に降りかかる火の粉を避けるために存在している。
そいつらに「運命」を押し付ければいい。
もっと悪く部隊が殲滅されても、いつでも挽回できる。
そう、自分さえ生き延びれば。
彼が指揮官の立場に立つ理由は、「そうした方が自分にとって都合がいい」からだ。
そして何より。「自身は人の上に立つべき存在」という強い自負が彼の思考を占めている。
己の利己心を満たす為、本心を部下達に漏らさず、言葉巧みに理想を語り、「橋田こそが真に日本の行く末を憂う男」だと信じ込ませていた。
それが薄氷の上の関係性であるとは微塵も考えず、「彼らは自分の為に喜んで命を投げうってくれるだろう」、と思い込んでいる。
そして悪運の女神は橋田に微笑んだ。
短い時間とは言え、「青龍」が潜行時に密かに射出していた遅延性ミサイルポッドによる攻撃が「吸血部隊」の包囲を崩し、一部を戦闘不能に追い込む。
「自身の生存できる可能性を見出す」というただ一点に於いて、恐るべき嗅覚を有している彼はこの絶好の機会を待ち侘びていた。
「よし、包囲が崩れた山岳方面より虎口を潜り抜けるぞ。魚鱗陣にて射撃しながら突撃だ」
好機と見るや、即座に浸透突破すべく隊員たちに下知、即座に陣形を変えて歩を進める。
当然、自分は魚鱗陣の内側で最も攻撃が通りにくい地点で陣形の一つに組み込まれる形だ。
これで今回も生き延びられる。
最悪、盾はいくらでもあるのだから自分だけでも生き、彼らの為に報いようー。
彼の利己的な独善が暴走している他方、兵俑機パイロットたちは、自分たちが橋田に盾程度にしか思われていないという事実を知らない。
彼らは自分で考えることを出来ないのだ。
いや、厳密には出来るのだが、それが面倒だと感じている。
だからこそ、自分たちの分も考え、導いてくれる橋田についていく道を選んだ。
それが自身の生殺与奪権を利己心の塊である人間に預けているなどと考えもよらなかった。
ー時系列は兵俑機部隊が組んだ魚鱗陣の右翼方向から篠田率いるアルファ隊が吶喊を開始した所に戻る。
彼女ら4機は姿勢を低く保ちながら魚鱗陣の頭を抑えんとホバー走行で疾走していた。
当然、敵機からの反撃はあるが、兵俑機は足を止めない射撃に関してはてんで弱く、強烈な反動を抑えらずに発砲された弾達は、篠田らの頭上を空しくすり抜けていく。
彼我の距離が残り数百メートルになった時点で先陣を切った篠田機はホバーを切り、脚部が地面を掴んでしゃがみ込む。
そして背部スラスターを最大出力で点火、30メートルほど跳躍し、彼らの頭上を取る。
わずか数秒の滞空時間、陣形を組んでいた彼ら全員が、援護射撃を開始したアルファ隊そっちのけで頭上の篠田機に視線を奪われた。
彼女からはどの機体に奴が搭乗しているかなど見分けもつかない。
だが、「彼」を通して感覚で認識できた。
中央より少し左寄りの機体、そこに確かにいるー。
根拠はない。
強いて言うなら「そんな予感がする」だけだ。
篠田の22型はスラスター噴射を停止したことで上方への慣性力を喪い、徐々に重力によって降下を始める。
各部スラスターで降下地点を奴の機体に向かって微調整をかける。
橋田も篠田の意図に気づき、手近にいる僚機の陰に隠れる。
彼女が眼帯を捲り、「彼」が叫ぶ。
「島崎、死ねよー」
「ーお前、堀田なのか」
橋田は自身の口から飛び出した「堀田」という名前に強い違和感を感じた。
何故、彼の名前が分かり、「島崎」と言われたことに疑問を感じないのかー。
何故。眼前に居る「女である篠田」を「堀田という男」だと認識しているのかー。
覚えのない記憶に気味の悪さを感じながら、着地してきた篠田機に対して掴んでいた僚機を押し付ける。
「橋田同志、何をー」
掴まれ、押し出されたパイロットは眼前の22型が降りてくるなり、コックピット部分のある胸部に高振動ナイフ「クリムゾンエッジ」を突き立てられた。
パイロットの悲鳴が部隊員達のインカムに響き渡る。
篠田は舌打ちしながらも刃を更に押し込むことで、厚みのある刀身の切っ先がコックピットブロックまで達し、内部は機器がダウンしたことによる漆黒とブレードの甲高い振動音に包まれた。
振動により高熱を帯びた刀身は叫び続けるパイロットの目の前に現れ、そのまま容易く刺し貫く。
高熱によって血飛沫はすぐに蒸発し、貫かれた部位から肉体が融解していく。
断末魔すらもブレードの発する金切り音に遮られ、そのままパイロットは数秒程度灼かれ、事切れた頃には炭化した物質になっていた。
振り向いた付近の数機がライフルを構えるも、味方機と密集し過ぎによって誤射の危険性があり、撃てない。
止む無くシールドを篠田機に突き出し、包囲にかかる。
「馬鹿、まだ周りの敵機が―、」
橋田が言うより早く、篠田機に追従していたアルファ隊数機が背を向けた外郭の機に対し、脚部目掛け斉射をかける。
振り返り直すことも叶わず、機体は腰から下を射抜かれ、糸が切れたように足を折り、転倒する。
また、後続も斉射で転倒した機に足を取られ転倒し、陣形が破綻した。
「陣形はもういい。右翼は突っ込んできた機体の対処、左翼は距離を置いた部隊を見ておけ」
橋田は篠田機から突き出されたナイフを辛くも避け、怒号する。
陣形は破壊され、後は兵俑機が最も望まない乱戦になった。
篠田機から繰り出されるナイフを搔い潜り、隙あらばその腕をつかんで引き倒そうと目論む。
傍から見れば22型相手に互角に戦っているようにも見えるが、実態は異なる。
「いやはや恐れ入った。流石にに大層な部隊名の長だけあっていい動きだ」
ナイフを突き出しながら篠田が仰々しく喋る。
「それとも何か、俺の思考が視えているから対処できるだけか」
橋田は内心ぎくりとする。
実際、彼の言う通りだった。
どういう訳か篠田の次の動きが脳裏に浮かんでくる。
その動きに対して予め動作を先行入力していたことで対峙できているように見えただけだ。
それと同時に先程から橋田の知らない記憶も一緒に脳裏に出力され、思考をぐちゃぐちゃにされていた。
吐きそうな感覚に囚われながら、必死に篠田の攻撃を捌く。
「黙っているという事は図星だろう。そういうところだよ島崎」
先程まで読めていた篠田の未来の行動が脳裏から突如消え、困惑した直後、肩を掴まれ、22型の膝が機の胴体に入る。
コックピットが激しく揺さぶられ、橋田は思わず嘔吐する。
「万に一つを考えて誰にも手の内を明かさない。まぁ、そういう在り方も結構なことだがなー」
橋田機の頭を掴み、吊り上げる。
「お前は自分の利益の為、他人を貶める為だけに誰に対しても手の内も本心も悟らせたくないだけだ。矮小な精神性だよ」
その声は低く、無線機越しでも伝わるほど強い憎悪が滲んでいる。
同時に橋田の脳内には「島崎」が「堀田」に行ってきた事が鮮明に浮かぶ。
ー島崎は、堀田と同じサークルに属している同級生で、彼は堀田が「姫」にモーションをかけるよう煽っていた。
向こうがどう思っていたかはともかく、島崎自身、堀田と仲がいいとは思っていなかった。
ただ単に彼が何かやらかす度に第三者として、恥を晒している様を間近で見て楽しめるから共に行動しているだけだ。
今回煽ったのも、ただ「面白そう」だからに過ぎない。
「堀田如きが女を落とせるワケがない」と高を括っていたし、実際に堀田は女性関係について浮いた話が無く、どちらかと言えば疎まれやすい性格と行動をしていた。
加えて彼は「姫」とは極力近づかないよう避けている節すらあった為に、島崎達は「意識している」「いける」などと適当なことを宣って面白半分で囃し立てていた。
だが、何の因果か彼は「姫」と付き合う運びになる。
自身は取り巻きと共に安全なところから囃し立てていただけだったのだが、まさか首尾よくいくとは思ってもみなかった。
失敗し、恥を晒すのが彼の「良さ」であったのにこれではあまりに面白くない。
自然、島崎達は堀田を除け者にするようになった。
個別のSNSなどはやり取りを続けているものの、周りに誰かいる際に無視を決め込み、名前こそ明かさないものの、聞こえるような声で彼の陰口を取り巻きと叩き続ける。
まるで「堀田と一緒にいることで不利益を被るから」というような態度だ。
また、島崎は「姫」の気性についても理解していた為、堀田が女性と少しでも会話するや否や、動向を彼女に逐一報告し、彼女が彼に対し強く当たるのを見て愉しむ事で憂さを晴らしていた。
その後、それだけでは面白みに欠けるとして、次第に取り巻き達もエスカレートし、堀田への暴行も辞さなくなっていく。
島崎は止めることもせず、ただ「自分よりも愚かな連中が下らないことをやっている」と一笑に付す。
彼もまた加害者ではあるのだが、万が一、類が及ぶ事を考え、見物客に徹している風を装っていた。
それでいて堀田に相談を受けた際には「殴られる原因を作ったのは君のせいだ」と諭し、「姫」の癇癪で疲弊しきった精神を更に追い詰めている。
自然、堀田は島崎含めた人との関わりを避けるようになり、快活さは少しずつ失われていった。
そして「あの日」、堀田と島崎の関係は決定的な破局を迎える。
その日の夕刻、篠田は人通りがまるでない大学が所有している自然林で、幹のしっかりした大木の太い枝に縄を括り、台座の上に立っていた。
縄を握り、震えている彼から少し離れたところで取り巻き達が騒いでいる。
堀田の目は光が喪われ、縄の輪の間から沈みゆく夕陽を見つめていた。
「ほら、何してるんだよ。やるって言ったんだろ。さっさと括れよ」
「動画撮ってるんだから早くしろよ、時間が押してるんだよ」
島崎の取り巻き達が煽り、ゲラゲラ笑う中に島崎当人も含まれていた。
「空気感」そのものに支配された彼らの中に「こんなことは間違っている」と声を上げる者はいない。
疑問に思う者はいないわけではないが、身内の手前で糾弾する度胸も勇気もなく、声を上げれば「仲間」の認定を剥ぎ取られ、今度は自分があの絞首台に立つ羽目になる。
互いが馴れ合い続けた結果、彼らは既に倫理が破綻している事すらも黙殺し、その場の空気を優先する歪な集団と化していた。
堀田は震えた手で縄を握りながら、島崎を一瞥する。
「なぁ、これが俺に求めていたモノなのか」
「さぁ、どうだろうね」
島崎は気にする風もなく、少しだけ口角を上げる。
「僕は君の意思を尊重するだけだ」
「・・・仮にこのまま俺が括らなかったら」
「それも君の意思だ。ただ、今後ずっとポーズをするだけのメンヘラ構ってちゃんというオモチャとして見られるだけだけどね」
堀田の頬がピクリと動き、すぐに無表情になった。
島崎の言葉は「先日堀田を振り、すぐ他の男に乗り換えた情緒不安定な『姫』と同じ性質」という屈辱以外の何物でもないレッテルを堀田に貼り付けたことになる。
明言こそしないだけで、彼とて堀田が首を括る事を望んでいるのだろう.
事実、周りが見ていない内に堀田に向けてハッキリと顎で合図をした。
「早くしろ」、と。
あるいはどこかで島崎が止めてくれることを望んでいたのかもしれない。
だが、彼にとって自分は都合のいいオモチャに過ぎず、この自殺とて彼らにとっては面白いコンテンツでしかなかった。
絶望と強い憎悪が堀田の脳を支配する。
もう、どうでもいい。
どうせ彼女にも捨てられた身だ。
存在価値のない自分が生きている必要は無い。
全てに諦観し、縄の方を向き直ると稜線に入ってゆく夕焼けを見つめながら、堀田は縄に首を通した。
ー記憶はそこで途切れ、橋田は我に返る。
「私に限った事ではないだろう。勝手に括ったのは君だ。それに、『吸血部隊』として散々殺してきた奴が今更そんな事を語る資格なんてない」
あたかも「お前が悪い」と言わんばかりの覚えが無い記憶を見せつけられ、吐瀉物を拭いながら橋田が激しく反論する。
「『そんな事』、か」
今度は未来の行動が橋田の脳裏に浮かぶ。
それは同時に回避不能だという事も理解したまま、殴打を食らい、コックピットのあちこちで強かに体を打ち付ける。
「俺はな、お前が言う『そんな事』の為にお前を殺しに来たんだよ」
普段は眼帯に隠された紅い瞳が血走って更に赤みを増している。
「・・・正論を言われて苛立つ気持ちは分かる。だが、君のそれは理性的じゃない。私はそれをするだけの覚悟と立場がある。ただ報復と快楽の為に殺す君が他人をとやかく言う資格はない」
「殺したことを正当化する為に『大義』だとか嘯くお前よりはよっぽど純粋だと思うがね」
「いちいち癇に障る言い方をする」ー、と思いながら篠田は再度橋田機の頭を掴み上げる。
「走狗の君には理解できないようだね。腐った日本には犠牲を伴う改革が必要だと」
「革命家気取りのテロリスト共の道理など分からんさ。そうやって詭弁を重ねた結果がこのザマか」
視界が広がると同時に篠田が言い終わった直後、先刻までまるで耳に入ってこなかった通信が、急に部下達の悲鳴と怒号に支配される。
状況は最悪の一言に尽きた。
篠田機と共に突入してきた数機によって、橋田の周辺に居た機は軒並みコックピットやバイタルパートを破壊され、主を喪った巨人達は沈黙。
少し離れた左翼側の機体も二正面を強いられた為にどう対応して良いか分からず右往左往し、一機ずつ確実に脚部ないし腕部を射抜かれて行動不能。
残存機も盾を使いながら辛くも抵抗するが、あちこちに被弾が目立ち、撃破されるのも時間の問題だ。
橋田が選抜した彼らは、橋田の采配に何の疑問も持たずに実行できる優秀な人材である、
ただ、戦闘単位で言えば自己判断ができるものの、戦術単位で思考する能力については誰もが欠落していた。
これは、橋田自身が意図的に彼の忠実な手足として機能するよう、采配にケチを付けない者ばかりを選抜したことが大きい。
また、彼自身が絶対正しいという判断の元、副官にも指揮権すら与えておらず、また与えるつもりはなかった。
本来であれば戦機兵や兵俑機は歩兵の延長線上にあるという事は、各々で状況に応じて適切に判断する力量も求められる。
ところが橋田はそれを念頭に入れず、「自分の命令した通りだけ動く忠実な駒」を求めた結果、実戦の土壇場において悪癖が露呈した結果となった。
「俺にだけ気を取られたばかりに、お前の手足は全部もがれた訳だ」
倒れ込んだ橋田機を篠田機が執拗に踏みつける。
橋田は揺さぶられるコックピット内で負傷した側頭部を抑えながら沈黙を通さんと、唇を強く嚙み締めている。
彼は眼前の篠田よりも、自身のままならない「手足」に強い憤りを感じていた。
格下相手に手間取る無能のせいで私が恥辱を受けているー。
何故身を挺して私が掴みかかられたところを止めなかったのかー。
本当にどうしようもない、揃いも揃って愚図ばかりー。
こうなれば頼りは「青龍」だけだー。
自身で集めた手駒に見切りをつけると、雲仙から逃げようとしている「青龍」への通信回線を開く。
「『青龍』、聞こえるか。返事はいいから私の指示に従え、艦長命令だ」
返事を待たずして、言葉を続ける。
「即時、緊急浮上してこちらにありったけのミサイルを撃て。撃沈されても構わん、私にだけ当たらないようにな」
およそ橋田1人と兵俑機1機の戦力では、原潜と釣り合うコストではない。
だが、本人はあたかもそれが最適解と言わんばかりの口調で語気を荒げる。
「万一敵航宙艦に沈められることがあるなら、沈む前に核を撃て。持ち腐れは許容しない」




