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08 一難去ってまた一難?

「涼珠姉ちゃん?」


 突然絶叫を上げた私に驚きつつも、心配そうに神楽ちゃんが声をかけてきた。

 落ち着け私、落ち着くのよ。ここで悲嘆に暮れていても何も進展しない。

 神なんてものは、どこかぶっ飛んでる連中が多いんだから……まずは気持ちを切り替えよう。


「驚かせてごめんね。今のことも含めて、大地が正気を取り戻したら三人で状況を整理しよう。前世のこととかね」


「っ! うん、分かった」


 私の言葉に神楽ちゃんは一瞬驚きを見せるも、すぐに察してくれた。

 精神的絶体絶命の危機を救ってくれたし、神楽ちゃんは私にとっての救世主だわ。


 さて、問題は大地が正気に戻っているかどうかだけど――戻ってなかったらどうしよう……お願いだから戻って!

 そう切実に思いつつ、ちょうど池から出てきた大地のもとへと神楽ちゃんと一緒に向かう。

 その際に、視線を合わせないように注意して、大地の状態を探ってみた。




状態:正常




 どうやら魅了は無事解けたようで、心の底から安堵する。本当に。


「ふぅ、酷い目にあった……というか俺はいったい……」


「あ、いつもの普通なときの大地兄ちゃんだ」


 神楽ちゃんの言うとおり、素の大地だ。とりあえず、落ち着いて話せそうでよかった。


「大地は魅了に掛かってたのよ。詳しくは後で説明するけど、原因は一応私にあるからそこはごめん」


「そうか……いや、俺の方こそ迷惑を掛けたみたいですまん……」


 なんだろう、冷静になったことでお互いに気まずくなったようなこの雰囲気は……。


「ボクたち三人無事に揃ったことだし、涼珠姉ちゃんが言ってたとおり状況の整理をしようよ!」


「「……そうね(そうだな)」」


 数秒続いた沈黙を破ってくれた神楽ちゃんに感謝し、私たち三人はようやく落ち着いて話をすることになったのだった。




 謎の光に包まれ、ここで目覚める前に不思議な夢を見たことは、三人ともに共通していた。

 二人とも夢の内容を思い出したのか苦い表情だけど、ここからが本題。


「それで夢の中の自分が前世の自分だったとしか思えないのよね。……因みに私はウラノスよ」


「っ!?」


 大地が未だかつてないほどに驚愕の表情を浮かべている。気持ちは分かる。


「大地、自分のことを時間神クロノスって言ってたけど、本当は違うでしょ?」


「な、何を言っているのだ……わ、我の前世は時間神クロノスで間違いないぞ……! それに涼珠がち、ウラノスなんて冗談もいいところ」


 一人称がまたおかしくなっているし、まったくといって動揺を隠しきれていない。


「私の目はごまかせないよ。嘘だと思うならその目で確かめてみれば。一応私と視線を合わせないようにね」


 ウラノス同様クロノスも性質は違うものの、本質を見抜くことができたと記憶している。

 しばらくすると大地が膝から崩れ落ちた。


「そ、そんなことって……あんな筋肉ゴリラだった父上がこんなに可愛いはずがない! それに今は幼馴染だって……」


 うん、私も自分を討った元息子がこんなに残念で今は幼馴染だなんて、訳が分からないよ。

 それに、今の大地は動揺しているからか、前世のクロノスに引っ張られている感じがするというか、そうだよね?


「なんてことだ……これからは涼珠のことを父上と? いや、今の見た目では父上ではおかしいな。うむ、母上と呼ぶことにしよう」


 どうしてそういう結論に至った!?


「いやいやいや! いつもどおり涼珠でいいから!」


「それでは我の気が済まん! それに気づいてしまったのだ。父上、いや母上が母ガイアと結ばれたように、真実の愛に!」




状態:錯乱




「正気に戻れぇえええ! バカ息子ぉおおお!」

お読みいただきありがとうございます。


なんとか間隔を空けずに更新できました。


この作品はギャグなのか?

八話にして未だ冒険が始まる気配を見せない……どうしてこうなった。

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