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第82話 緊急回収【ケイside】

 ブックマークありがとうございます。

 二刻目(こくめ)の昼食時間、キールが荷馬車の見張りに向かった事を確認するとケイはバンに錬金術について訪ねた。


「ところでバン、実際の所どのくらい錬金術って使えるんだ?」


「ダメだよケイ、さっきキール君に注意されたばっかりだよ?」


 ケイが錬金術の話題を出した事から、何かしらの悪戯を考えていると気付いたヨキは即座に注意した。

 そんなヨキの心配をよそにバンは錬金術について話し始めた。


「そうだな、大がかりな物は無理でも小物程度なら即席で作れると思うぞ?」


「その小物程度がどのハンイまでなのかを心配されているんですよ兄さん……」


「コイツのカンカクが本当に可笑しいんだけど?」


 小物程度ならば即席で作れるとバンが答えたのに対し、リースとレイアはバンの言う小物程度というのがどの程度の範囲なのかという心配しかなかった。

そんな二人をよそにニヤトがバンに話しかけた。


「それやったら、何やったら作れるんや?」


「そうだな、このそこに生えてたシビレ茸と、レイア、お前が持ってる胡桃(ウォールナッツ)の殻とビーコンバタフライの鱗粉貸してくれ」


「別に良いけど、へんな事するなよ?」


 不安そうな表情をしながらも、レイアはバンに指定された素材を渡した。

 バンは指定した素材を受け取ると、それらの素材を両手で覆うとリュ手の内側から光が溢れた。

 そして次にバンが両手を開いた時には、胡桃の殻の形をした何かが出来ていた。


「何これ? レイアがいつも使ってる煙玉?」


「いや、胡桃型のシビレ爆弾だ」


 爆弾と告げたバンの衝撃発言に、ケイ以外の全員がバンから距離を取った。


「ちいと! なんて危ない物作っとるのよ⁉」


「え? 今ある物で作れる物錬成しただけど?」


「だからって爆弾なんて物騒な物錬成しないで⁉ 心臓に悪すぎるよ!」


「ニヤト、頼むにしてもせめて安全な物を指定してからにして!」


「そんな事言われてもいきなり爆弾が出てくるなんて思えへんやろう⁉」


 バンが爆弾を錬成した物だから、ヨキ達は完全に混乱していた。

 ヨキ達がシビレ爆弾の存在で騒いでいる中、ただ一人その場を離れなかったケイはバンが錬成したシビレ爆弾を手に取りながら観察していた。


「へぇ~、よく出来てるな。

 爆弾って言うからには爆発させるには手動で火を付ける感じになるのか?」


「いや、この程度ならオーラを注ぎ込めば爆発させられるぞ。

 オーラを注ぎ込んでから十(はく)程インターバルがあるからその間に遠くに投げれば使う側も安全だ」


「オーラ?」


魔力(マナ)霊力(チャクラ)理力(フォース)神力(オラクル)の総称だよ。

 もっと正確に言うならどの系統にも属していないようで属している、一般人でも気軽に使える絵の具みたいな物って言えばわかりやすいと思う」


「ん~、言ってる事は難しいけど、要は誰でもでも使えるって事だな」


 アクアシーフとしての本能がそうさせているのか、自身の好奇心がそうさせているのか、どちらにせよケイから見れば錬金術で作られたシビレ爆弾は魅力的な宝物のように見えているらしい。


「怖いよ! ケイが普通に爆弾持ってるから怖いよ!」


「イタズラ好きなケイさんになんて物渡しているんですか兄さん!」


「ねぇあれ、誰でも使えるって事はふとした拍子に爆発するんじゃ⁉」


「いや、先程の説明からしてオーラを流し込まない限り爆発しない筈でごじゃるよ⁉」


 ケイが普通にシビレ爆弾を持っている事に対し、ヨキ達は恐れおののいた。

 バンの話を聞いていたヒバリはオーラを流し込まなければ爆発しない筈と答えたが、ケイが面白半分に霊力を流し込まないか内心ヒヤヒヤしていた。

 誤爆を恐れたラピスは、すぐさまバンとケイに声を掛けた。


「バン、ケイ、今すぐシビレ爆弾をしまえ。今すぐにだ!」


「なんだ。もう移動する時間か?」


「そうかそうか、移動するなら仕方がないか」


「そう言いながらシビレ爆弾をくすねるな! バンに返せ!

 せめて私かヒバリに渡せ!」


「それじゃあ俺はちょっくらマリの所に顔出してくるわ」


 ラピスに注意され話を中断するものの、ケイは手にしていたシビレ爆弾をちゃっかり自分の鞄の外ポケットにしまった。

 ラピスはすぐにでも取り上げねばとケイに詰め寄るが、ケイはそのままスルーしてその場から離れた。


 そしてシビレ爆弾を持ったまま、ケイは使い終わった食器や調理器具を洗うマリの元に顔を出した。

 マリの近くには、護衛として木にもたれかかっているヒエンの姿があった。


「お~いマリー」


「あらケイ。もう食べ終わったの?」


「おう。さっきまで錬金術について話聞いてたんだ。

 マリとヒエンは洗い物か?」


「ヒエンはキャラバンの給仕係の人達の護衛よ。

 私は給仕の手伝い、今の私じゃ裏方ぐらいは役立たないと。

 ところで錬金術と言えば、やっぱり昨日の事?」


「おう、これ見てくれよ」


 マリから錬金術に関する質問をされたため、ケイは鞄の外ポケットからシビレ爆弾を取り出した。


「ジャジャーンッ! これなんだと思う?」


「それってレイアの煙玉? それにしては微妙に違うような……?」


「実はこれ、バンが錬金術で作ってくれたシビレ爆弾って道具なんだ♪」


「今すぐバン君に返してらっしゃい!

 そうかヒバリかラピスさんに預けてきなさい!」


 ケイにシビレ爆弾を見せられたマリは、爆弾と聞いてヨキ達と似たような反応になり、近くにいたヒエンも表情を歪めながら、ケイとマリの元に駆け寄る。


「馬鹿野郎、シビレ爆弾は戦闘時に使うもんだ、無闇やたらに見せびらかすんじゃねぇ」


「なーんだ、悪戯には使えないのか」


「そう言って鞄にしまわないの!」


 ラピスやマリが危惧していた通り、シビレ爆弾を悪戯目的で使おうとしたようだ。

 悪戯で使えないとわかったものの、バンに返却したりヒバリかラピスのどちらかに預ける気は更々ないようだが。

 すると周囲に聞こえるように、出発を告げる号令が聞こえて来た。


「出発だーっ! 全員定位置に戻れーっ!」


「あら、もう出発の時間?」


「だな。それじゃあ俺はヒバリと合流して翡翠の渡り鳥(ミグラテール)の所に戻るわ。

 ヒエン、マリの事よろしくな」


「テメェの方こそうっかりシビレ爆弾を起動させるんじゃねぇぞ」


「へーい」


 ヒエンにシビレ爆弾について警告されたケイは、たいした事はないという様子で定位置である左中央に向かい始めた。

 その途中、僧侶風のワンピースを身に纏った女性冒険者に声を掛けられた。


「ケイ様、お待ち下さい」


「はい? どちら様で⁇」


「ワタクシはサブリナと申します。

 キールさんからケイ様宛の言付けを預かっております」


「キールから言付けって事は伝言?(なんで様付けなんだ?)」


 サブリナに声を掛けられたケイは、自分が様付けで呼ばれている事を気にしながらもキールから預かったという伝言の内容を尋ねた。


「はい。言付けの内容は『万が一の時は付与(エンチャント)武器(ウェポン)の回収を頼む』との事です」


「付与武器の回収ぅ? なんでまた⁇」


 万が一の時は盗賊達から取り上げた付与武器の回収を頼むというキールからの伝言を聞いたケイは、何故そうなったのか理解できなかった。

 ケイの疑問に対し、サブリナはこう答えた。


「旅にはトラブルが付きもの。

 何かしらの手違いで盗賊達が逃げ出し、再び付与武器を手にされぬよう確実に見つけられるであろうケイ様に回収して欲しいとの事です」


「(今回のキール、妙に警戒心が高いな?)

 とりあえず分かったよ、それじゃあ俺は持ち場に戻らせて貰うな」


「はい、ワタクシも持ち場に戻らせていただきます。

 二四の理の導きがあらん事を」


 そう言うとケイはヒバリや翡翠の渡り鳥がいる左中央に向かった。

 キールからの伝言を伝え終えたサブリナも、自分に割り当てられた配置に戻って行った。



*****



 そして時は流れ、最初の中継地点であるルテラ砦近くまで進み日が暮れたため、ルテラ砦近くの平原で野営をする事となった。

 そしてケイはヒバリと共に、非戦闘員の行商人や見張りに就いていない冒険者が休憩に使っているテントで休んでいた。


「いやぁ、今日はこれといったトラブルはなかったな」


「良い事ではごじゃらぬか、何もないという事はそれだけ順調という事でごじゃるぞ」


 何もなかった事からつまらないという様子のケイに対し、ヒバリとしてはシビレ爆弾を使う機会がなくてかなり安心しきっていた。

 そんな時、全員に聞こえる音量で男の魔法使い(メイジ)の伝達魔法が響き渡った。


《敵襲、敵襲! 牢馬車にいた盗賊の一部が脱走、全員注意されたし!》


「牢馬車の盗賊が脱走⁉」


「そんな、いくら即席とはいえしっかりとした作りだった筈でごじゃる!」


 即席の牢馬車に入れられていた盗賊の一部が脱走したと聞いたケイやヒバリを含めた、その場にいる冒険者全員が驚きを隠せないでいた。

 そこに他のテントで休んでいたがケイとヒバリがいるテントに飛び込んできた。


「大変よ、脱走した盗賊の一部がこっちに向かってきてる!」


「なんだって! 動ける奴は今すぐ迎撃準備だ!」


「ここには行商人を含めた非戦闘員がいる、絶対に食い止めるぞ!」


 セレンの報告を聞いた冒険者達は、枕元に置いていた武器を手に取りそのまま外に飛び出した。

 ヒバリも刀を手に取りセレンの後について飛び出そうとしたが、ケイはサブリナ経由で伝えられたキールからの伝言を思い出した。


「やべぇ、これってキールが言ってたパターンかも……」


「どうしたのケイ君? 何か心配事⁇」


「こうなった場合、真っ先に付与武器を回収してくれってキールに頼まれてるんだ!

 盗賊の手元に戻ったら面倒だってらしくって……」


「あ~そっか、いくらスキルを使えないようにしても付与武器があったらこっちが不利になっちゃうわ」


「確かにそこまで考えていなかったでごじゃる」


 いくらスキルを封じたとはいえ、付与武器が盗賊達の手に渡れば被害が拡大する事に気付いたヒバリとセレン。

 肝心の付与武器が何処にあるのか分からないまま、そのためにも付与武器が何処にあるのかを特定する必要があった。


「付与武器は多分、荷馬車に積んである筈なんだ。

 急いで探しに行かないと!」


「あ、待つでごじゃるケイ!」


「待って、二人だけで行動するのは危険よ!」


 ケイは盗賊達よりも先に付与武器を回収するべく、テントを飛び出した。

 ヒバリとセレンも慌てて追いかける。

 外では既に脱走してきた盗賊と冒険者達が戦っており、その中には翡翠の渡り鳥のリーダーであるガントゥと中衛を担うラファとシファの姿もあった。

 三人の姿を見たケイ達はすぐさま傍に駆け付ける。


「リーダー、ラファ、シファ! 大丈夫⁉」


「セレンか! こっちの方は大丈夫だ、お前達は非戦闘員の護衛に回れ!」


「そうしたいのは山々だけど、先に付与武器を回収しないとこっちが不利になるかもしれないのよ!」


「リーダー、セレンの言っている事は案外間違いではないと思います。

 あそこを見て下さい」


「あれれ? 盗賊達が何人か荷馬車に向かったよ!」


 ラファとシファが指を差した方向を確認すると、牢馬車から脱走した盗賊の一部が荷馬車の方に向かっていた。

 どうやらキールの読みが当たっていたらしく、付与武器の回収が目的のようだ。


「マズいでごじゃる、奴ら付与武器を取り戻そうと荷馬車に向かっているでごじゃるよ!」


「やむを得ねぇ、セレン、坊主達を連れて付与武器の回収に向かってくれ。

 絶対に盗賊共の手に付与武器を渡すな!」


「わかったわ!」


「急いで荷馬車の方に向かおう! ダッシュ・ダッシュを使えば先に付ける筈だ!」


 盗賊よりも先に付与武器を回収するために、ケイは自分を含めたヒバリとセレンにダッシュ・ダッシュを掛けようとした時、ラファとシファが待ったを掛ける。


「待って、でしたら僕が道を作ります。ハァ!」


「それなら壁もあった方が良いよね? そぉれ!」


 ラファとシファが機転を利かせ、ラファが少しでも早く着けるように氷の道を、シファが盗賊に邪魔をされないように土の壁を作る。

 そして近くまで来ていた盗賊の一人を、ガントゥが愛用の片手剣(グラディウス)の柄で腹を殴り、戦闘不能にする。


「ここは任せて、お前達は早く行け! セレン、二人に同行して前衛に立て!」


「ありがとうオッちゃん!」


「感謝でごじゃる!」


「リーダー達も気を付けて!」


 ガントゥ達のアシストにより、安全かつスピーディなルートを確保する事が出来たケイ達は、ラファが作り出した氷の道を滑り、一気に荷馬車まで辿り着いた。


「良し、着いたわね。

問題はここからよ、盗賊達よりも先に付与武器を探し出さないと……」


「いくつもある荷馬車からどうやって見つけ出すでごじゃるか?」


 数十台ある荷馬車の中から付与武器を探し出すのは至難の業、一台一台中に入って調べられるほど余裕はない。

 ケイは二台を一つ一つ見回しながら、神経を集中させる。

 するとケイの目に四台程の荷馬車が光って見えた。


(この感じ、炎の(やしろ)で始めてフォルシュトレッカーと戦った時と同じだ!)


 その感覚が始めてフォルシュトレッカーと交戦した際、ラヴァーズの首に付けられた首輪を外すための鍵をシュッツェ(射手座)が隠し持っている事に気付いた時と同じである事に気付いた。

 光って見える荷馬車に付与武器が積んである事に気付いたケイは、すぐにヒバリとセレンに四台の荷馬車の事を伝えた。


「ヒバリ、セレンさん、あそこの二台の荷馬車と蔦模様が施された荷馬車、それから青い(ほろ)の荷馬車に付与武器が一つずつ乗せてある!」


「え、それ本当⁈」


「そうと決まれば急いで回収するでごじゃる!

 セッシャが蔦模様の荷馬車にある付与武器を回収するでごじゃるよ!」


「今バラけるのは危険だけど、仕方ないわ。

 それなら私は青い幌の荷馬車を調べるわ、回収できたらすぐに集まって味方と合流しましょう!」


「残りの二台は俺に任せて!」


 誰がどの荷馬車にある付与武器を回収するか決まると、三人はすぐさま行動を開始した。

 ケイが最初の荷馬車に乗り込むと、もう一度神経を集中させて積まれている積み荷を一つ一つ確認していく。


 そして一つの積み荷が光って見えたため、すぐさまその積み荷に駆け寄り中身を確認した。

 その積み荷の中には先刻(せんこく)ディモルフォセカが盗賊と交戦した際に、動きを封じられたという水系統のスキルが付与されている付与武器だった。


「見つけた! 水属性(ソウル・ウォーター)の付与武器!」


 一つ目の付与武器を見つけたケイは、手にとってすぐさま荷馬車から飛び出して二つ目の荷馬車に乗り込み、もう二つ目の付与武器を探し始める。


「二つ目の付与武器は、あそこだ!」


 二つ目の付与武器がしまわれている積み荷を見つけると、先程と同様に駆け寄って中身を確認する。

 次に見つけたのは、放った矢が電気をを纏うという効果を持つ雷属性(ソウル・サンダー)の付与武器だ。


「危ねぇ、コイツが盗賊に渡っていたヨキがポンコツ化してたぞ」


「あったでごじゃる!」


「こっちも見つけたわ!」


 ケイが二つ目の付与武器を見つけたのと同時に、別々の荷馬車を調べていたケイとセレンも付与武器を見つけたようだ。

 二つ目の付与武器を回収すると、ケイはすぐさま荷馬車から降りて合流を試みた。


 その時、軽と同じように付与武器を回収して青い幌の荷馬車から降りてきたセレンが、ケイの方を見ながら血相を変えて叫んだ。


「ケイ君伏せて!」


 そう言い切るとセレンは自分が持っていたピジョップ(僧侶)棍棒(メイス)をケイに向かって投げつけた。

 それを見たケイはとっさに身を屈め、飛んできたセレンの棍棒を(かわ)した。


 その直後、ケイの後方から鈍い音が聞こえて来たため振り向くと、そこには強面にセレンの棍棒がめり込んだ盗賊の男が倒れていた。

 どうやら付与武器を取り返そうと、付与武器を持ったケイを待ち伏せしていたようだ。


 ケイとセレン同様付与武器を回収して来たヒバリも合流し、急いで味方がいる方面に向かう。

 荷馬車の停留所を抜けると、そこでは冒険者と盗賊達の攻防戦が繰り広げられていた。


「うわっ! もの凄い事になってる⁉」


「こちらで戦っている冒険者が妙に少ない気がするでごじゃる。

 何故人が少ないでごじゃろうか?」


「きっと戦況がちゃんと把握されてないんだわ。

 多分だけど、テントの防衛に戦力が偏っているせいでそれ以外の場所がおろそかになってるのよ!」


 戦力が偏っているせいで荷馬車側の防衛ラインがおろそかになってしまっており、付与武器を回収できたとしても不利であれば意味がない。

 どうしたものかと考えていると、ケイは鞄の外ポケットに入れているシビレ爆弾の事を思い出した。


「そうだ! コイツを使えば一発逆転を狙えるかも?」


「ケイ君、その胡桃は何?」


「それはシビレ爆弾! ケイ、それをどうするつもりでごじゃるか⁉」


「(確か霊力を流し込んだ十拍後に爆発するんだったな、投げるとすれば牢馬車がある方向!)

 パワード・パワード!」


 投げる方向を確定させると、ケイは自身の右手にパワード・パワードを掛け腕力を強化する。

 そして取り出したシビレ爆弾に霊力を流し込むと、盗賊側の後方目掛けてシビレ爆弾を投げつけた。


 そしてケイがシビレ爆弾を投げてから十拍後、盗賊側の後方から黄土色の煙が巻き起こった。

 効果的面だったらしく、後方にいた盗賊達が次々と倒れていく様子が見て取れた。


「おいどうした! 何があった⁉」


「なっなんだこれ、から、体、痺れびれ……」


「敵の動きが鈍ったぞ、畳みかけろぉ!」


 痺れ爆弾の効果により、後方にいる味方の動きが鈍くなった事に盗賊達が動揺する中、冒険者達がそれを見過ごす筈はなく、一人の冒険者の号令で一気に畳みかけに入った。


「この様子なら、ここは問題なさそうね。まだ回収してない付与武器はある?」


「確か押収された付与武器は全部で五つ、あと一つ回収できていないでごじゃる。

 ケイ、最後の一つが何処にあるか分かるでごじゃるか?」


「今に馬車の方を確認して……えっ⁈」


 ケイが最後の付与武器を探している際、偶然テントがある方向に視線が向いた。

 だがケイの目に、テント広場がある方角から煙が上がっている様子と、一つの光が映った。


「最後の一つが盗賊の手に渡ってる、テント広場の方から煙が上がってる!」


「なんじゃと⁈」


「大変、ちょっとこれ預かってて!」


 最後の付与武器が盗賊の手に渡ったと知ったセレンは、誓うにいた冒険者に回収した付与武器を押しつけると、急いでテント広場の方に向かった。


 三人がテント広場に着く頃には、盗賊の大半が制圧されていた。

 そして運良くテント広場の防衛に当たっていたガントゥ達と合流できたケイ達は、ガントゥ達から詳しい話を聞く事にした。


「リーダー、大丈夫⁈ 煙が出てたみたいだけど人的被害はどうなの⁉」


「お前達、無事だったか! 冒険者も非戦闘員も全員無事だ。

 今ラファが周囲の状況を把握しているところだ」


「煙の方は砂埃が思いっきり巻き上がっただけだから、心配ないよ~」


 ケイが見た煙の正体は巻き上がった砂埃であり、味方からも犠牲は出てはいないようだ。

 それを聞いたケイ達は一先ず安心したが、問題は最後の付与武器の在処だった。

 そこにテント広場の様子を確認しに行っていたラファが戻ってきた。


「リーダー、周囲の状況の確認終わりました」


「おぉ、ラファか。状況はどんな感じだった?」


「それが、盗賊の頭と思われる人物が付与武器を手に襲撃してきたそうですが、冒険者に仕留められたそうです」


「それってつまり、南無阿弥陀仏的流れ?」


 ラファから盗賊の頭が討たれたと聞いたシファは、合掌しながら確認した。

 ラファはうなずきながら報告を続ける。


「なんでも、行商人の一人が子供を庇って一時的に人質状態になってしまったそうなのですが、その場に居合わせた冒険者が僅かな隙を突いて盗賊の頭をへし折ったそうです。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を付けているという特徴から、恐らく女性かと」


 ラファの報告を聞いたガントゥ達は、盗賊の頭を仕留めたのが女性だと聞いて少々驚いていた。

 だが、ラファの報告を聞いたケイは、その冒険者の特徴を聞いてある事を連想した。


「(ラファのいう冒険者の特徴、俺が知ってるのは一人だけ……)

 盗賊の頭を仕留めたのは、マリ?」

 ご覧いただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言]  こんにちは、御作を読みました。  ケイサイドも連携が繋がって強いなあと感心しました。  報告連絡相談が的確に出来ているし、氷の道などの使い方にも唸らされ、ワクワクして読みました。  でも、…
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