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第81話 的中した予感【キールside】

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 ギョルシル村を建ってから二刻目(こくめ)初刻(はつこく)とは違い順調に進んでいた。

 というのも、初刻の時と違い早朝からエナジーフルーツを狙ってくるような魔物も、昼近くの時間帯にバーナードキャラバンの積み荷を狙った盗賊も現れてはいないからだ。


 前刻(ぜんこく)襲撃してきた盗賊達は、本来なら盗賊達が奪った積み荷を乗せる予定だった荷馬車を数本程改造した牢屋付きの馬車に乗せられており、取り上げた武器などは開いているに馬車に収納されていた。


 現在は白子時(はくねどき)の二四(こく)、昼食の時間となっており、護衛についている冒険者達が交代しながら昼食を食べていた。

 旅の都合上、オリソンティエラまでの間バラバラに配置されたヨキ達もこの時間を利用して集まっていた。


「いや〜、昨日は初っ端から襲撃ラッシュだったから一時はどうなるかと思ったぜ」


「そうは言うけど、僕はバンがフルーツビーと戦ってる最中に錬成石(アルケミストーン)を作っちゃった事に驚きだよ?

 本当は専用の道具を使って作るものなんでしょう?」


「更に詳しく言うのであらば、制作が難しいとされる(ブルー)階級(ランク)の錬成石を瞬時に作り上げた事に驚きだ。

 そのせいで事実を知ったリースが卒倒したものだから、大変だったぞ」


「頭の中が一気に真っ白になって、気が付いた時にはメルビィさんの背中でした」


 フルーツビーの気を引くためにヨキが使用した錬成石は、バンが必要な道具や工程を無視して作ったものである事が判明し、それを知ったリースには卒倒してしまう程衝撃が強すぎたようだ。

 加えて、その事を鷹獅子(グリフォン)の西風がいる場で話してしまったものだから、口止めにも苦労した。


「あのなぁ、あのなぁ、ただでさえ大変な状況下にあるのにこれ以上状況をややこしくするんじゃねぇよ!」


「別に良いんじゃない? 逆に魔物とか襲ってきても有効な道具(アイテム)を速攻作れるからキール的にもありがたいと思うよ?」


「馬鹿野郎! これまでの常識が根本的に覆っちまうから問題になってるんだろうが!」


「そう言われてもできちまうもんはできちまうんだし、気にしてもしかたなくねぇか?」


「無理に決まってんだろう! あとお前はもう少し自分の異常さを自覚しろよ⁉」


 フィービィーは必要な工程と道具を必要としない錬金術を目の当たりにし、必要な道具を即席で釣れるのだから問題ないのではと楽観的だった。

 やらかした本人でもあるバンもそれ程気にしていない様子だが、キールはそうは行かなかった。


 アクセプト町での襲撃以降、バンに大きな変化が起こっており、変化の範囲が予想以上に広すぎるため全てを把握できないままだ。

 加えてバーナードキャラバンに護衛として同行する事で周囲の目もあり、なるべく目立つ事はさせたくないのだ。


「兎も角、これ以上何かしでかすんじゃなぇぞ。わかったな?」


「あれ、キール何処行くの?」


「荷馬車の見張りだよ、そろそろ交代の時間になるからな」


「いってら〜」


 ヨキ達の中で一番早く昼食を食べ終わったキールは、使用した食器を返却するとそのまま荷馬車の見張りに戻った。

 荷馬車の方には他の冒険者がおり、そのうちの一人に声を掛けた。


「交代の時間だ、、見張りを変わる」


「助かったよ。丁度腹が減って死にそうになってたんだ」


「腹が減っただけで死ぬなんて事ねぇよ。ほら、行った行った」


 キールと会話をしていた冒険者はそのまま昼食を食べに向かった。

 それを確認すると、キールは荷馬車の後方に行き帷子(かたびら)を少しだけ開けると、その隙間からとある積み荷の様子を覗き込んだ。


(今日も星族の封印が綻んでいる気配はないな……)


 キールが見つめているのは、バーナードキャラバンがヘルシャフトに狙われる原因となった封印箱(ふういんばこ)だ。

 封印箱には禍津悪神(まがつあくしん)と呼ばれる最悪の悪神の肉片、厄災の種の一つが封印されているのだ。


 禍津悪神の恐ろしさを前世で知っているキールからすれば、自分の近くにそんな物があるだけで恐ろしいと感じた。

 だからといって、潔くヘルシャフトに渡すわけにも行かないのだ。


(厄災の種がヘルシャフトの手に渡れば、取り返しがつかない事になる。

 何がなんでもオリソンティエラまで守り抜かないと……)


 バーナードキャラバンに封印箱を預けたとされるスターリット人の冒険者パーティの仲間が、オリソンティエラにいる。

 秘術に秀でたスターリット人に封印箱を渡すことができれば、後はなんとかなる。

 キールにはそう確信できる理由があった。


(現代でも今の星族は問題なく秘術を使えている、それは誰かが正しく情報を伝えているという事になる。

 そんな事ができるのはおいらが知っているだけだ。

 あいつが今も星族とともにあるのなら、厄災の種をどうにかするすべを持っている筈)


「やぁ、調子はどうだね? ロワイヤル君」


 キールが封印箱の様子を確認していると、背後の方からバーナードキャラバンのリーダーであるミザールが声を掛けてきた。

 厄災の種を警戒していたため、思わず短槍(樹の礎)を構え、穂先をミザールの喉元に突き立てた。


「ウォオッ?! 落ち着いてくれ、私だ!」


「ワリィ! 敵と勘違いした!」


 ミザールに気付いたキールは慌てて穂先を喉元から離す。

 自分の喉元から穂先が離れたため、ミザールは安堵のため息を付いた。


「あぁ、驚いた。盗賊やガラの悪い連中にはよく武器を向けられるが、身内から武器を向けられるのは初めてだよ」


「マジで悪かった、例の物(封印箱)に完全に意識を向けてたもんでちゃんと把握してなかった。

 それよりも何かあったか?」


「あぁ、先刻(せんこく)襲ってきた盗賊達の襲撃についてなんだが、先程事情を知るものと話し合った結果途中のルテラ砦で引き取って貰う事になったよ」


 ミザールから盗賊達の処遇を聞いたキールは、現在の状況ではそれが妥当だと思った。

 万が一牢馬車から脱獄され、封印箱に手を出されればその拍子に術式が解かれ、封印されている厄災の種が飛び出してもすれば本当に取り返しがつかなくなるからだ。


「盗賊達を放り込んでる牢馬車は即席だ、耐久性もそんなにない筈だからなるべく早くルテラ砦に引き渡した方が良い」


「それなら昼食が終わった後、進むペースを上げよう。

 幸いな事に今日はまだ何からも襲撃を受けていない、ペースを上げて進めば明日中にはルテラ砦に着く筈だ」


「良し、それで行こう」


 即席で作った牢馬車が破られる事を危惧したキールとミザールは、なるべく早くルテラ砦に引き渡すために、進むペースを上げる事にした。

 ミザールはその事を事情を知る者達に伝えるべくその場を後にすると、入れ違いでサブリナがキールの元にやって来た。


「こんにちはロワイヤル様、先程バーナード様が小走りで去って行かれましたが、何かあったのですか?」


「普通にキールで良い、それから様付けは止めてくれ」


「かしこまりました、それではキールさんとお呼びします。

 先程もお尋ねしましたが、何かあったのですか?」


 キールの呼び方を改めたサブリナは、再度キールに何かあったのかを尋ねた。

 一応サブリナにも伝えておこうと思い、盗賊たちとルテラ砦に引き渡す事を話し始めた。


「先刻襲ってきた盗賊達をルテラ砦で引き渡す事になった。

 例のものがある以上、オリソンティエラまで連れてくなんて無謀な事できねぇからな」


「件の盗賊達ですか、盗賊にしては付与(エンチャント)武器(ウェポン)を持っていたのですよね?」


「あぁ、オイラの仲間の一人が付与武器を持った盗賊に動きを封じられて危うかった。

 中衛で中央右にいたニヤトとフィービィーにも確認した所、そっちにも付与武器持ちが四人いたみたいだ」


「四人ですか? 前衛では二人、中衛で四人、合計六人は流石に多すぎます。

 あれだけの人数なら二人いても多いというのに……」


 盗賊達が計六つの付与武器を持っていたことに疑問を抱くサブリナ。

 その事に関してはキールも疑問に思っていたようだ。


 付与武器は中々に価値の高い物である以上、そう出回るなんて事はない。

 仮に本来の所持者から奪ったとしても、付与武器で抵抗されれば簡単に奪うなんて事は不可能なのだ。


 疑問は残るが、付与武器が再び盗賊達の手に渡れば厄介気周りない。

 そうならないためにも、付与武器の方も何かしらの対策が必要だ。


「その内の一つはディモルフォセカが壊したから、実質五つとはいえ念には念を入れて付与武器を使えないようにしておいた方がいいな。

 取り上げた付与武器は今どの荷馬車にある?」


「申し訳ありません、私は付与武器がどの荷馬車に保管されてるか存じ上げないのです」


「マジか、一纏めになってたら良いがバラバラだった場合複数箇所で混乱が起こるぞ」


 キールは複数箇所で混乱が起こる事を恐れ、すぐにでも付与武器が保管されているに馬車を探しに行こうとした。

 だが、タイミング悪く号令が掛かった。


「出発だーっ! 全員定位置に戻れーっ!」


「もうそんな時間か……」


「どうしましょう、付与武器の方はまだ何もできてないのに」


「仕方ねぇ。サブリナ、持ち場に戻る前にケイに万が一の時は付与武器の回収を頼むよう伝えてくれ」


「私は構いませんが、独断で動いたと思われませんか?」


「伝言を伝えるくらいは問題ねぇだろう。

 万が一保管した本人以外で付与武器を速攻で見つけられるのは間違いなくケイだけだ」


 いざとなったら自分が対応する気でいるキールだったが、そう簡単には行かないため万が一の時はアクアシーフであるケイに回収させようと考えた。


 次第に冒険者達が定位置に戻り始めたため、キールとサブリナも定位置に戻り、バーナードキャラバンは再びオリソンティエラに向かって進み始めた。


 キールは封印箱が積まれている荷馬車の幌に登り、周囲の警戒に当たる。

 キールが確認する限り、今の所問題なく進んでいるようだ。


(今の所は順調、盗賊達を引き渡すためとはいえペースを上げたが、何も怒らなけりゃあ良いが……)


「キール〜、隣座って良い〜?」


 キールが周囲を警戒していると、ただ一人何処の定位置にも付いていないフィービィーがキールの隣にやってきた。


「フィービィー、こんな時にサボってんじゃねよ」


「良いじゃん、だって暇なんだもん。

 それよりも今回のキールは一段と警戒心が丸出しだね」


(なんでこういう時だけ鋭いんだよフィービィーは)


「そんな警戒する必要ないんじゃない?

 キャラバンに参加する前まで余裕なかったのに参加してからたったの二刻(ふたこく)でルテラ砦の近くまで来たんだよ?

 初刻は色々襲撃もあったけど、問題なく対処できたんだから心配ないって」


 バーナードキャラバンの護衛に参加してから警戒心が丸出しだとキールに指摘したフィービィーは、ことが順調に進んでいるため気が緩んでいた。


 そんな気の抜けた様子のフィービィーを見たキールは、周囲を警戒仕ながら気が緩みすぎている事に対して注意を促した。


「あんまり気を緩めるなよフィービィー、いつ、何処から敵が襲ってくるか分からねぇからな。

 今みたいに油断してるとこっちがやられちまうんだからな?」


「はーい。ところでさ、給仕してくれてる人からお菓子とお茶もらったんだけどキールもどう?」


「ここでは飲み食いするなよ?」


 キールに注意されながらも、やはり何処か気が抜けているフィービィーは給仕から貰ったという甘味と水筒を見せながらキールもどうか尋ねてきた。

 流石に荷馬車の幌を汚す事はしたくなかったので、キールは注意すると同時にそれとなく断りを入れた。


 その後、翌刻(よくこく)中にルテラ砦に着くためにペースを上げて進むが、特に魔物やヘルシャフトによる襲撃の気配はなかった。

 一般の者であれば喜ばしい状況なのだろうが、キールからすれば逆に不気味に感じた。


(今日に限ってなんの襲撃もないなんて、オイラの気にし過ぎか?

 それとも……)


 野営の準備進む中、何も起きない事に対し自分の気にし過ぎかとも考えたが、他の案も考えていた。

 どちらにしてもこのままでは埒が明かないのへ明白であるため、キールは今の内に仮眠を取って夜に備えた方が良いと判断した。


「マリ、悪いが夜食向きの食事も作ってくれないか?」


「別に良いけどどうしたの?」


「今の内から仮眠を取っておこうと思ってな。

 この体(今の体)で夜の間起きていれば腹も減るだろうから、軽く食べれる物でもあった方が良いと思ったんだよ」


「その年で夜間の警備に回るって真面目すぎない?

 もう少し周りに甘えても良いと思うんだけど??」


 キールから夜食を作って欲しいと頼まれたマリは、あまりにも真面目すぎるキールの対応に首を傾げた。

 マリは忘れているようだが、キールは三〇〇〇年前に起きた精霊戦争で死亡したナチュラルトレジャーの転生者。


 そのため元々のメンバー間では精神年齢だけで言えばキールが一番年上になるのだ。

 だからこそキールは現代に転生した今の自分の体を不便に思っているのだ。


「念には念を入れておきたいんだ」


 そう言い切るとキールはマリから夜食を受け取り、そのまま封印箱が積まれている荷馬車に戻っていった。

 仮に何かがあったとしても、荷馬車にいればすぐにでも対応できると考えての事だ。


(今の世代に、禍津悪神の恐ろしさを知っているやつが少ない以上、オイラがしっかりしねぇと……)


 そう考えながら、キールは荷馬車の運転席に座り、仮眠を取り始めた。

  仮眠を取り始めてからしばらくして、肩をゆすられる感覚がしたため目を開けると、ミザールの専属護衛であるカプリースの姿があった。


「こんなところで寝てたら風邪引くぞ、寝るなら向こうのテントで寝てくれ」


「やべぇ、結構眠りが深かったか。

 なぁカプリース、今って大体何時くらいかわかるか?」


「ざっと見積もって黒亥時(こくいどき)ジャストくらいだな」


 カプリースからおおよその時間帯を聞いたキールは、抱え込んでいた短槍を背負うと、幌の上に登り周囲の警戒を始めた。

 見た感じでは他の冒険者が交代交代で周囲の警戒に当たっているため、問題はないように見えた。


(オイラが寝ている間は何もなかったみたいだが、妙に静かな気がするな)


「お~いチミっ子、見張りは俺たち大人の仕事だから無理しなくても良いんだぜ?」


「問題ない、オイラがキャラバンに参加したいって言い出したからにはそれなりの責務は果たす必要はあるんだ!」


 下の方からカプリースに見張りに参加しなくても良いと言われたキールだったが、妙な違和感を感じるため断りを入れた。


(オイラの思い過ごしで終わってくれれば良いんだが……)


 だが、その思いも虚しくキールが警戒していた通りの事が起きた。


《敵襲、敵襲! 牢馬車にいた盗賊の一部が脱走、全員注意されたし!》


 突然聞こえて来た男の魔法使い(メイジ)の伝達魔法に反応したキールは、幌の上から牢馬車がある方向を確認した。

 牢馬車が止められている場所では、先程聞こえて来た内容通り盗賊の一部が脱走し見張りをしていた冒険者に襲いかかっていた。


 脱走した盗賊の一部が他の牢馬車を襲撃し、中にいる仲間を脱走させるだけではなく、脱走した一部のものは休憩を取っている商人や冒険者の一部がいるテント、キールがいる荷馬車に向かっていた。


「これはヤバイ、脱走した盗賊の一部が仲間を開放してテントとこっちに向かってきてるぞ!」


「それはマズイぞ! この荷馬車以外の商品は最悪捨てても問題ないが、テントの方には非戦闘員の商人が大勢いる!」


 キールから盗賊達の動きを聞いたカプリースは、テントにいる商人達が人質に取られる事を危惧した。

 人質を取られればこちらが思うように動けなくなる、最悪人質が殺される危険があるからだ。


「荷馬車がオイラが受け持つ、お前はテントの方に行って非戦闘員を守れ!」


「正気か? 俺が言うのもあれだが、一人で対応できるもんじゃないぞ!」


「それに関しては考えがある! それより早くテントの方へ!

 テントにはオイラん所のチビっ子がいるんだ!」


「わかった! けどあんまり無理はするなよ⁉」


 そう言うとカプリースは商人達がいるテントに向かって走り出した。

 カプリースがテントに向かった事を確認したキールは、短槍を構え荷馬車に向かってくる盗賊達を迎え撃つ準備をした。


「敵の動きからして、まずは奪われた付与武器の奪還が連中の狙いか……。

(サブリナ経由でケイに伝言は伝わっている筈だが、どの荷馬車に保管されているか分からない以上少しでも早く制圧しねぇと)」


 盗賊達の動きを観察して狙いが付与武器の奪還である事に気付いたキールは、どの荷馬車に保管されているか分からないため早く制圧する必要があると感じた。


「かなりの人数がこっちに来てるみたいだな、それなら都合が良い。

 一網打尽にしてやる、シード・シード!」


 キールがシード・シードを唱えた事で、馬車の骨組みから先端に蕾が付いた枝が生え、荷馬車に向かってくる盗賊達に向け種による砲撃で盗賊達を牽制する。


「うわぁっ! なんだ⁉」


「イデデデデデッ! なんだこの大量の、石の(つぶて)か⁉」


 シード・シードによる牽制を受けた盗賊達は、一斉射撃による攻撃を受けるとは思っていなかったようでタジタジだ。

 盗賊達の統率が乱れた事を確認したキールは、弾幕として使われた種を利用し一気に鎮圧を試みる。


「恨むんだったら外道に落ちた自分を恨みな、アイビー・アイビー!」


 キールがアイビー・アイビーを唱えた事で、担当の穂先が緑色に輝きその光が弾幕として使用された種に飛んでいく。

 種が光を浴びた瞬間、種が割れて芽吹き、瞬時に蔦として成長し盗賊達に絡みついた。


(本当ならテンドリル・テンドリルの方が拘束力も強いが、媒体になる植物が必要になる。

 その点アイビー・アイビーはシード・シードの種を媒体にすればすぐに生えてくるから応用が利く、一先ず荷馬車側の盗賊達の制圧は出来たな)


 盗賊達が蔦に絡まれているのを確認したキールは、荷馬車側の制圧を完了できた事に安堵した。

 牢馬車の方も確認すると、事態を把握したラピスがヨキと鷹獅子の西風の一部を連れて脱走しようとした盗賊の制圧をしていたため、そちらも問題はなさそうだった。

 残るはテントに向かった盗賊の制圧のみだが、そこでまたしても想定外の事が起きた。


「大変だ! テントの方から煙が出てるぞ⁉」


「なんだと⁉」


 それを聞いたキールは慌ててテントの方向を確認すると、確かにテントの方向から煙が出ていた。


(どういう事だ⁉ 盗賊連中のスキル持ちは全員スキルを封じた筈……っ!)


「前方に止めてある荷馬車の一つが盗賊に襲撃されたみたいだ!

 誰か荷馬車に何が積まれていたか分かる奴はいないか⁉」


「前方の荷馬車が襲撃された? しまった!

 その荷馬車に取り上げた付与武器が保管されたんだ! ローゼス・ローゼス!」


 襲撃された荷馬車から付与武器が持ち出された事に気付いたキールは、残りの荷馬車を中心にローゼス・ローゼスの茨で周りを囲い、テントの方に向かい始めた。


(別々に保管されてたのか一辺に奪われたのかまでは分からないが、急がねぇと被害が出ちまう!)


 自分達側から犠牲が出る事を恐れたキールは、急いで商人達がいるテントに向かう。

 テントの方に着くと幸か不幸か、商人達を襲っていた盗賊の大半は制圧されていた。

だが、一つのテントに人だかりが出来ていた。


(なんだ、何があった⁉ まさか誰かが犠牲になったのか⁉)


 最悪の結果が頭をよぎったキールは、急いで人だかりが出来ているテントに向かう。

 人だかりを避けてテントに向かうと、キールの目に映ったのは頸が向いてはいけない方向に向いて倒れている大柄な盗賊と、青ざめた様子で座り込んでいるマリの姿だった。

 ご覧いただきありがとうございます。

 もしよろしければコメント、いいねお気軽にいただけたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言]  こんにちは、mystery様。御作を読みました。  マリちゃん、敵が目の前になにやってるのー?Σ( ̄。 ̄ノ)ノ  今回はキールの焦燥感にスポットライトが当てられて、なるほどと思いました。…
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