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第19話 期待通りの手掛かりと予想外の手掛かり

 メディアロルで出会ったヒバリとニヤトの仲間、ボルによって死んだ筈のディモルフォセカの双子の弟、リンドウが生きている事が判明し、リンドウがいたとされる町にやってきたケイ達。

 その町では次々とリンドウらしき少年の目撃情報が手に入り、ケイ達は一度その手掛かりをまとめる事にした。


「今の所、リンドウらしい奴はもう町を出た後みたいだったぞ」


「僕と姉さんもその情報を得ました。けどそれ以外の事は分からないままで…」


「ディモルフォセカや他の皆は?」


 カトレアがケイ達に質問するがニヤト以外全員が首を横に振った。

 ディモルフォセカは幼い頃に死んだ筈の双子の弟が生きていた事を知り、とても喜んでいたがその手掛かりが何一つとして得る事ができず、落ち込んでた。

 そんな中ニヤトはケイ達とは違う情報を話し始めた。


「ワイも皆と同じような情報が多いけど、一応ちゃう情報も手に入れたで」


「それ本当⁉ 何がわかったの⁉」


「ディルカ殿、落ち着くでごじゃるよ!」


 ニヤトが自分達と違うリンドウの情報を手に入れたと聞いたディモルフォセカは、思わずニヤトに掴み掛かり大きく揺さぶった。

 ヒバリはディモルフォセカを落ち着かせ、ニヤトが手に入れた違う手掛かりの事を聞き始めた。


「それで、どういう情報でごじゃるか? ニヤト」


「確か、バラバラになったアーカイブいう部品を探しとったらしい」


「「「アーカイブ?」」」


 それを聞いたケイ達は不思議そうに言った。

 そんな物は見た事も聞いた事もないため、アーカイブがどんなものなのか全く想像できなかった。

 ニヤトはアーカイブについて更に話を続ける。


「なんでもそのアーカイブちゅうのは、色んな歴史が書かれてるんやて。

 しかもヘルシャフトが近付くと、五つになって仕組みになってるんやて」


「って事は今そのアーカイブがバラバラになってて、リンドウはそれを探してるのか?」


 ケイがそう言うとニヤトは頷いた。それを聞いたカトレアはどうも違和感を感じ、そのまま考え始めた。


「どうしたのねえさん?」


「どうしてリンドウがその事を知ってるのかなぁって思ってさ、どうやってその事を知ったのかすら解らないのよ」


「言われてみればそうかも…。ディルカ、なんか心当たりないか?」


 カトレアのその一言がソラ達に疑問を持たせた。

 確かにリンドウが、何故アーカイブがバラバラになっているのを知っていたのか、可笑しい事である。

 それの第一どうやってアーカイブの存在を知ったのかが不自然である。


 リンドウがアーカイブの存在を知っているかどうかは、ディモルフォセカがよく解っている。

 ケイはディモルフォセカに何か心当たりはないか問うと、ディモルフォセカはしばらく考え込み、ある事を思い出した。


「そう言えば…」


「何か思い出したか?」


「今思い出したんだけど、昔父さんから何かの石板の事を聞いて、確証はないけど、もしかしたらアーカイブかの話だったかも」


「成程! それなら辻妻が合うな!」


 納得するケイとは裏腹にカトレアは更に考えた。

 そんなに都合よく話が繋がるとは思えないし、何よりディモルフォセカの記憶では父親から聞いたのは何かの石板の話であって、アーカイブの話ではない。

 カトレアの中ではまだ断言するには早すぎる気がした。

 そこで思い浮かんだのは、生きていたリンドウがいままで何処にいたのか、という疑問だった。


「ねぇ、今思ったんだけど、リンドウってどうして自分が生きている事をディモルフォセカに知らせなかったのかしら?」


「どういう事? カトレア」


「だって、生きていたのならディモルフォセカに知らせるのは筋だと思うの。

 二人が生き別れてから十年近くも経っているのよ? なんだか変よ」


 カトレアはディモルフォセカ同様、ヘルシャフトの襲撃で生き延びたリンドウが何故一度もディモルフォセカに連絡を入れなかったのか、その事を指摘した。

 そのカトレアの疑問に対し、話を聞いていたヒバリがある仮説を答えとして話した。


「それならばディルカ殿と同様に、リンドウ殿もディルカ殿が死んだと思い込んでいるのでは?」


「その可能性は低いと思うわ。リンドウがこのエターナル大陸にいたのなら、なおさらね」


「どうしてそうなるんや?」


 ディモルフォセカ同様、リンドウがディモルフォセカは死んでいると思い込んでいる可能性は低いと断言したカトレア。

 ニヤトに何故その可能性が低いのか尋ねられたカトレアは、何故その考えに至ったのか説明し始めた。


「レイトゥーンでディモルフォセカが起こしてたヘルシャフト襲撃事件を思い出して。

 ディモルフォセカは鬼女として何度もヘルシャフトを襲っていた。

 その事は私が暮らしていた村やリトアにも新聞で報道されていたのなら、ガイア地方以外の二つの地方にも伝わっている可能性がある。

 っという事は?」


「そっか! リンドウさんもそのきじを見れば、レイトゥーンでジケンをおこしているのがディルカさんだってきづく。

 そうなれば、リンドウさんはディルカさんが生きていることをしることができる!」


「レイトゥーンにいたスピリットシャーマンはディルカだけだからな。

 新聞を見たリンドウが真っ先に思い浮かぶスピリットシャーマンの女は、自分の姉であるディモルフォセカだ!」


 ディモルフォセカがレイトゥーンで起こした事件が田舎町であるリトアにまで知られていた事から、自分達のいるエターナル大陸中に知られている可能性があると考えたカトレアは、リンドウがエターナル大陸にいたのならば新聞を見てディモルフォセカの生存を知る事ができた筈だと推理した。

 レイトゥーンはエターナル大陸ガイア地方の内側であるため、当時のリンドウがエターナル大陸から他の大陸に移動する手段を持っているとは思えないと考えたのだろう。


「だったら、リンドウを保護してくれた人が他の大陸に連れて行ったっていう可能性は?」


「それもなくはないけど、アタシ達はこの間リンドウの目撃情報を聞いたばかりなのよ?」


「言われてみれば、ボルがリンドウ殿を見たのはガイア地方の南西にあるこの町でごじゃったな。

 時と場合にもよるが、リンドウ殿がディルカ殿の生存を知っていても可笑しくないでごじゃる」


「じゃあ、リンドウは私が生きている事を知っていて、私に生きている事を知らせなかったって事?」


 仮に当時のリンドウを保護した人物が他の大陸に移動する手段を持っていて、その人物のおかげでエターナル大陸から出る事ができたとしても、現にボルがエターナル大陸でリンドウを目撃しているため、時期によってはリンドウがディモルフォセカの生存を知る事はできた筈なのだ。

 だが、肝心の本人はディモルフォセカの元に現れる気配がない。

 どころか、双子の姉であるディモルフォセカに自分が生きている事すら知らせていない。


「そうなると、リンドウはなんでレイトゥーンに帰らず、ディモルフォセカにも知らせなかったんだ?」


「もしかしていちどはレイトゥーンにかえったけど、すれちがいになっちゃったんでしょうか?」


「それやと、なんでディルカやなくてアーカイブの部品探してんのんや?」


「ますますわからないでごじゃる…」


 リンドウがディモルフォセカに会いに来ようとしない理由と、リンドウがアーカイブの部品を探す理由が全く分からず困惑するケイ達。

 ケイ達はリンドウがディモルフォセカに会いに来ようとしない理由と、アーカイブの部品を探す理由を考えるが、どれもしっくりこないため余計にわからない。

 姉であるディモルフォセカでさえ、全く心当たりがないそうだ。


「何か、会えない理由でもあるのかしら?」


「まさかとは思うけど、ヨキみたいに記憶喪失なんて事…」


「冗談でもやめて! それだけは絶対にないから!」


 リンドウが自分を忘れてしまったのではないかという系の考えを聞いたディモルフォセカは、リンドウが自分を忘れるわけがないと断言する。

 だが、十年近く会ってなかったという事や、ヘルシャフトに襲われた時の事を考えると、もしかしたら 本当に自分の事を忘れてしまっているのではないかと不安になった。

 するとそこへ、姿を見せなかったタメゴローが戻ってきた。


「お、タメゴロー。ごくろうやったな」


「そう言えば、タメゴローは今まで何処にいたのでごじゃるか?」


「町中の猫達に話を聞きに行ってもらっとったんや!」


「ニヤトさんネコのコトバ分かるんですか?」


「まぁな~♪ それで、なんかリンドウの事について分ったか?」


 ニヤトはタメゴローがリンドウに関する情報を見つけて来たのではないかと期待し、情報収集の結果を尋ねた。

 ニヤトに聞かれたタメゴローは身振りでリンドウの事について語り始めた。


 タメゴローの言葉がわかるのはニヤトだけであるため、ニヤトがいないとタメゴローが何を言っているのかが分からないままである。

 するとその話から、リンドウが向かった町とリンドウとは関係のない人物の事である事が解った。


「何⁉ リンドウはアーカイブの一部がある町に向かったんか⁉

 しかもその前に誰かがそこに向かったやと⁉」


 それ聞いたケイ達はリンドウ以外でアーカイブの一部がある町に向かった第三者がいると知り、タメゴローにそれが誰なのかを尋ねた。


「それどんな奴なんだ⁉」


「おとこのひと? おんなのひと?」


「まさかとは思うけど、ヘルシャフトって事はないわよね?」


「それだともっと噂になっていると思うでごじゃるよ」


 ケイ達にアーカイブを探す第三者が何者なのかを聞かれたタメゴローは、再び身振りで伝え始めた。

 それをニヤトが通訳して話を進めていく。


「えー何々、顔に雷見たいな傷を持った赤褐髪の男と小っこい奴⁉」


「それはもしや、ヒエンとレイアではないか⁉」


 ヒバリとニヤトはタメゴローが手に入れて来た第三者の情報を聞き、心当たりがあるようだった。

 それを聞いたケイはヒバリとニヤトに、先ほど出て来たヒエンとレイアとは誰なのかを尋ねた。


「なぁヒバリ、誰なんだそいつら? 一人特徴的な奴がいるみたいだけど…」


「一応、せっしゃらの仲間でごじゃるが、神出鬼没ゆえいつ会えるか分からないでごじゃる」


 一応ヒバリとニヤトの仲間とされているヒエンとレイアの事を聞いたケイは、話に出てきた二人がどんな人物か想像がつかなかった。

 ケイがヒエンとレイアについて想像していると、タメゴローが身振りで話を続けている事に気付いたニヤトはタメゴローが何を訴えているのかを通訳していた。

 するとケイ、ディモルフォセカ、ラヴァーズ以外全員が驚いたのだ。


「フムフム……何ぃ! 二人の他にも女の子がいた⁉ んなアホな!」


「それは間違った情報ではごじゃらんかタメゴロー⁉」


「待ってそれ歴史的スキャンダルになるわよ!」


 ヒエンとレイアが少女と行動していると聞いたヒバリ、ニヤト、カトレアはタメゴローが持ってきたその情報がデマではないかと考えた。

 ヒバリ達同様にタメゴローが持って来た情報を聞いていたケイ達は、どうしてそこまで驚いているのかが解らなかった。


 ラヴァーズはヘルシャフトとして育ち、ディモルフォセカはヘルシャフトを倒すために努力を積み重ねていて、ケイは山の中にある恵みの村で育ったため世間の事は全然知らなかった。

 ディモルフォセカは何に驚いているのか分からないためニヤトに聞いた。


「何そんなに驚いてるの? その女の子は貴方達の仲間、という可能性は?」


「驚くも何も、あのヒエンが女の子と一緒におるんやで! 普通はありえへんのんや!」


「ヒエンはプライドが高いゆえ、レイア以外の誰かと一緒にいるというのが驚きでごじゃるよ」


「アタシも噂でしか聞いた事ないけど、女の子と一緒なんて聞いた事ないし、ヒバリとニヤトが言うなら間違いないわね」


 それを聞いたケイは更にヒエンがどういう人物なのかを想像したが、余計に想像がつかなかった。

 ケイがヒエンの人物像を想像している内に、ラヴァーズはヒエンとレイアと行動している少女がどのような人物なのかをタメゴローに聞いていた。


「その人はどんな人かわかる?」


「ニヤト、翻訳お願い」


 それを聞かれたタメゴローは身振りでどんな人物なのかを伝え始めた。


「髪と瞳の色が変わっとる? 紅玉(ルビー)みたいに赤い瞳やったんか?」


 紅玉のように赤い瞳と聞いたケイは、とても驚いていた。

 ケイの脳裏に一人の少女の姿がよぎる。その少女は、未だ再会する事ができない従姉のマリだった。

 ケイは迷わずタメゴローにマリの特徴を聞いた。


「タメゴロー、その子珍しいオーロラみたいな紫がかった白銀の髪を地面が付くぐらいに伸ばしてて、野薔薇を沢山あしらった赤い髪飾りつけてたか⁉」


 タメゴローはその通り! という身振りをケイに示した。

 そのタメゴローのー反応を見たヒバリ達は全員ケイを見た。

 何故タメゴローがまだ言っていない事をケイが知っている事に驚き、ヒエンとレイアと行動している少女とどういう関係なのかわからなかった。


 タメゴローからヒエンとレイアと行動を共にしている少女がルビーのように赤い瞳だけではなく、紫がかった白銀の髪と赤い髪飾りという特徴を持っている事を聞いたケイは確信した。

 ケイの様子を見ていたヒバリがはっとしてケイにマリの事を尋ねた。


「ケイ、もしや…」


「間違いない。きっとマリだ。そうに違いない…!」


「「「マリ?」」」


「って確か、ケイが竜巻に攫われた際に、行方が分からなくなった従姉の女の子の事?」


 ディモルフォセカがその事を聞くとケイは黙って頷いた。

 ここにきてまさかリンドウ以外に、マリの手掛かりが手に入るとは思ってもみなかったのだろう。

 ディモルフォセカに続いて更にケイにも喜ばしい報告が入った。

 ケイは他にマリについて何かわからないかタメゴローに問い、ニヤト経由で帰ってきたのは、マリもリンドウと同じようにアーカイブの部品を探しているという情報だった。


「リンドウ殿に続いて、マリ殿までアーカイブの部品を探していたとは…」


「偶然に偶然が重なった、にしては都合よすぎるかしら?

 アーカイブって一体何なの?」


「わからないわ。聞いたのはかなり小さい頃だったと思うから、はっきりと覚えていないの」


「そもそもなんでヒエンとレイアがマリと一緒に行動してるんか全くわからんし…」


 リンドウだけではなく、マリまでアーカイブの部品を探していると知ったケイ達は、マリとリンドウが探しているアーカイブがどういうものなのか疑問に思っていた。

 ニヤトに至っては何故ヒエンとレイアがマリと行動しているのかという理由が全く分からず、頭を抱えていた。


 ケイはヒエンとレイアの二人といる少女がマリかもしれないと思うと、いてもたってもいられなかった。

 ケイは思い切ってタメゴローに尋ねた。


「その町がどこかわかるか⁉」


 タメゴローは身振りで解ると伝えると、走り始め、ケイは迷わずタメゴローの後を追って走り出した。

 それを見たディモルフォセカ達も慌てて走り始めた。

 ディモルフォセカは生き別れた双子の弟リンドウ、ケイは行方知れずのマリの手掛かりを追う事になったのだった。

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