第17話 もう一人のバンとアーカイブの行方
大賢者マーダの提案でトューン・トューンに来たヨキ達。
トゥーン・トゥーンにある古の図書館にあるとされる記録書、『アーカイブ』を探しにきた。
アーカイブに刻まれたスピリットシャーマンの歴史と精霊の心得の核となった水晶、精霊の意志の謎を求めやってきたのだ。
「ここがトューン・トューンか」
「確かマーダの言ってた古の図書館に行けば、オイラ達スピリットシャーマンの歴史と精霊の石の謎が刻まれている古文書、アーカイブがあるんだよな」
「トューン・トューン、古の図書館…」
そう言ったヨキはそのまま何も言わず、その場に立ち尽くしていた。
その様子に気付いたバンがヨキに声をかけるが返事はなく、ヨキはそのままだった。
「皆! ヨキが可笑しくなっちまった!」
それを聞いたリース達は慌ててヨキの近くに寄ると、バンの言う通りヨキの様子は明らかに可笑しかった。
するとリースがある事を思い出す。
それは初めてキールと出会った森にあったナチュラルトレジャーが建てた樹の社の前でヨキが陥った状態と今の状態と同じだったのだ。
その事に気付いたリースはバン達にその事を指摘した。
「兄さん、今のヨキさん、キール君と出会った森にたてられていたいつきの社の入り口付近の時と、じょうきょうが同じじゃないですか?」
「え? 言われてみればそんな気が…」
「何? 心当たりがあるの?」
リルは何が起きたのか分からず混乱し、事情を知っているバンに説明を求めた。
バンはリルに説明する。
「前にもこんな事があったんだ。ヨキに昔の記憶がない事は前にも話したよな?」
「確か、恵みの村に来る前の記憶がないのよね?」
「よくわかんないけど、失くした記憶に関わってる事を聞くとこんな感じになって記憶の一部が戻る…っうぁ⁉」
現在ヨキに起きている事を説明している時、バンは左手に痛みを感じた。
「「バン/兄さん⁉」」
三人は急に左手を抑え込んだバンを見て驚いていたが、バンはこの痛みを二度感じていた。
一度目は初めてヘルシャフトと戦っている時、二度目は自然の社の前でヨキが今の状況になった少し後の事だった。
(この痛み、あの時と同じ…!)
左手の痛みが同じものだと確信した次の瞬間、バンは今の町並みとは違うトューン・トューンにおり、左手にはまだ僅かに痛みが残っていた。
*****
今の状況と左手に残る痛みから、バンはある事を確信した。
《やっぱりだ、左手に痛みが走ると、俺の意識はヨキの失われた記憶の中に入るのか》
するとバンの目の前にローブに着いたフードを深く被った幼い頃のヨキと、ヨキの面影がある少年が現れた。
幼いヨキは少年に話しながら歩いていた。
『ねぇねぇ、ここになにしに来たの? アーカイブってなぁに?』
『アーカイブは僕らスピリットシャーマンの歴史が記されてるんだ』
『そうなの?』
それを聞いたバンは間違いなくこの街にアーカイブがある事を確信した。更に少年は話を続ける。
『それに、アーカイブには大きな秘密が隠されているんだ』
『おおきなヒミツってなぁに?』
『それはね…』
*****
幼い頃のヨキが少年にアーカイブに隠された大きな秘密について尋ねたところで映像は途絶え、バンは今のトューン・トューンに戻っていた。
目の前には心配そうに見るリース達の姿があり、バンは自分の左手を見た。
その時は既に左手の痛みがなくなっていた。
「……やっぱりそうだ」
「え?」
「左手が痛み始めると、俺の意識はヨキの失われた記憶に入ってヨキの記憶を見れるんだ」
「どういうことですか、兄さん?」
バンが何を言っているのか理解できないリースは、バンに説明を求めた。
バンは左手の傷と、ヨキの記憶について説明した。
「俺とヨキがお前を助けに行った時に、ヘルシャフトに左手を貫かれただろ?
その時に俺とヨキの血が入り混じったみたいでさ、それから俺はヨキ、ヨキは俺の記憶を見る事ができるみたいなんだ」
バンがリースにお互いの記憶を見られるようになった事を話していた丁度その時、ヨキが急に言葉を言った。
「大きな…秘密?」
「ヨキ⁉」
「元にもどったんですか⁉」
バン達はヨキの方を見て声をかける。
意識が戻ったヨキはアーカイブに隠された大きな秘密というのが気になり、考え込んでいた。
「大きな秘密ってなんだろう。それにあの人は?」
「ヨキ、大丈夫か?」
バンはアーカイブに隠された大きな秘密について考え、自分達に気付かないヨキに声をかける。
ヨキはようやくその声に気付き、バン達の方を見た。
「え? あ、うん。アーカイブに大きな秘密が隠されてるみたいなんだ」
「「アーカイブの秘密?」」
「なんでお前がその事を知ってるんだ?」
ヨキは意識が遠のいている間、古の図書館にあるとされるアーカイブに大きな秘密が隠されている事を仲間達に伝えた。
それを聞いた三人は不思議そうにしていると、バンはヨキが幼い頃にトゥーン・トゥーンを訪れ、アーカイブを見ていたかもせ入れない事を話した。
「ヨキは前にこの町に来て、アーカイブを見てたかもしれないんだ」
「ほんとかよそれ!」
「バン! どうしてそれを」
「詳しい説明はあとあと! 早く古の図書館に行きましょ」
リルの一言に本来の目的を思い出したヨキ達は、古の図書館を目指して歩き出した。
それからしばらくして、ヨキ達は古の図書館に辿り着いた。
古と呼ばれるだけの事があり、古い建物ながら威厳を感じさせ、これまでの歴史を物語っているようにも思えた。
ヨキ達は古の図書館の中に入り、アーカイブを探し始める。
古の図書館には何万冊の本があり、その中からアーカイブを探し出すのはそう簡単な事ではない。
バンに至っては何万冊もの本がしまってある本棚の数を見て目を回していた。
「だいじょうぶですか兄さん」
「なんで目が回ってるんだよ」
目を回しているバンをリースが心配し、キールが呆れていると、突然ヨキがバンの時のように左手を押さえつけた。
その様子に気付いたリルは驚いてヨキに声をかける。
その声に気付いたリースとキールは二人の方を見ると、そこには痛そうに左手を押さえつけるヨキの姿があった。
「どうしたんですかヨキさん⁉」
「きっ急に左手が、痛み始めて…」
「兄さん大変です、ヨキさんが急に左手を痛めたみたいで」
ヨキが左手を押さえ、痛みを訴えるヨキに驚いたリースはバンに声を掛けるが、バンはまだ目を回していた。
「ってまだ目がまわってる⁉ しっかりして下さいよ兄さん!」
「うぅ、うぅ…」
*****
ヨキが必死に左手の痛みを堪えていると、いつの間にか、ヨキは知らない部屋の中にいた。
その事に気付いたヨキは動揺したが、左手の痛みで我に返った。
すると後ろの方から声が聞こえてきたため振り返ると、そこにいたのはバンとリース、そして顔に傷のある赤褐色の逆立った髪の少年がいた。
少年はバンとリースに話しかけながら何か本を探しているらしい。
『おいヒエン、ここに《炎の古文書》があるって本当か?』
『間違いねぇ、ここにある筈だ。見つからない内に早く探してずらかるぞ』
『でもそれらしき本なんて見あたりませんよ。もしかしてちがうじょうほうだったのでは?』
それを聞いたヨキは不思議そうに声を出した。
《炎の古文書? なんの事だろう⁇ それに二人はどうして僕に気付かないんだろ⁇》
ヨキは炎の古文書が何なのか気になったが、それ以前にバンとリースが自分の事に気がつかない方が不思議で仕方がなかった。
『もっもうだめだ。何がんだか#$%&*+@¥』
『何言ってんだ』
『しっかりして下さいよ兄さん。ニンムチュウなんですよ!』
するとバンが後ろに倒れて一冊の本に手をかけると、その本は『カチッ』という音を鳴らした。
次の瞬間、本棚が動き出し、そこに秘密の入口が現れた。
*****
そこで記憶は途絶え、ヨキは古の図書館の中に戻っていた。
「いっ今のは⁉」
「ヨキ、大丈夫か⁉」
キールはヨキが我に返ったのを確認して声をかける。
「そっそれが、僕知らない場所にいて、そこにバンとリース君にヒエンって人がいたんだけど僕に全然気付かなかったんだ」
「おいそれバンの記憶じゃねえか?」
「そのあとどうなったの?」
「確か、バンが今みたいになって後ろに倒れて本に手をかけたら本棚が動き出して・・・」
その時、バンが後ろに倒れて一冊の本に手をかけた。
するとヨキが見た時と同じように、『カチッ』という音が鳴り、本棚が動き出し、そこに秘密の入口が現れた。
それを見たヨキ達は驚いた。そこでようやくバンは正気に戻り、後ろの入口を見て驚いた。
「なんだこりゃ! 秘密の入口か⁉」
「もしかしてこの先にアーカイブがあるんじゃ…」
「行ってみるだけの価値はありそうだな」
そう言ってヨキ達は秘密の入口に入り、奥へ奥へと入って行った。
ようやく部屋の奥にたどり着くと、そこには一つの鏡が立っていた。
「鏡? あれがアーカイブ?」
「いや、あれは違うと思う。それよりアーカイブを探そうぜ」
そう言ってキールはアーカイブを探し始めたため、ヨキ達もアーカイブを探し始める。
不意にリルは鏡に近づいた。
鏡には自分の姿は映らず、ある鏡の事を思い出した。
「どうしたんだリル?」
「これは精霊鏡っていう鏡で、精霊の心得と同じように精霊の意志から作られた鏡なの」
「へ~、精霊の意志からできてるのか」
「あまり知らないからわからないけど、何故か人の姿を写さないの」
それを聞いたバンは鏡を見る。すると精霊鏡が急に光、精霊鏡にはバンの姿があった。
だが少し違いがあり、瞳が白銀で髪の長さはバンより短めの長い髪を一つくくりにし、服は自分が来ている服に少し似ていた。
バンとリルが精霊鏡を見ていると、アーカイブを探していたヨキ達が二人の元に集まってきた。
どうやら部屋中探したが、アーカイブは見つからなかったようだ。
すると突然知らない少年の声が聞こえてきた。
「戻って探しても無駄だよ。アーカイブはもうここにはないんだからね」
その声に驚いたヨキ達はあたりを見渡したが、声の主はいない。
隠れられるとすれば、リルの言っていた精霊鏡の裏しかないが、そこには誰もおらず、声は更に聞こえてくる。
「ここだよここ、ここだってば!」
声は何故か精霊鏡の方から聞こえていた。ヨキ達は精霊鏡に近づいた。
「この鏡、精霊鏡か」
「えぇ、私もついさっき気がついたんだけど、普通精霊鏡は人の姿を写さないのにバンを映したの」
「もしかして俺が初めてだったりしてな」
すると突然、精霊鏡に移されているバンに似た姿が勝手に喋り始めた。
「違うよ。自分と同じ姿の奴しか写さないのさ」
「「「しゃっ喋ったー⁈」」」
それを見たヨキ達は動揺した。間違いなく精霊鏡に映っているバンの姿が喋っており、その声は突然聞こえてきた声だった。
次の瞬間、精霊鏡の表面が怪しく揺れ始め、ヨキ達は驚いて精霊鏡の傍から離れた。
精霊鏡から左腕が出て、次に右足、頭、顔と次々と精霊鏡から出て、最後には左足が躊躇うようにして出てきた。
ヨキ達の目の前には今、精霊鏡から出てきたもう一人のバンがいた。
それを見たヨキ達は驚きを隠せず、もう一人のバンをただただ見つめる事しかできなかった。
「凄い驚いてるみたいだね。ま、無理もないか。
この鏡はとっくの昔に忘れ去られてるもんな」
「へと、あの、その、あっあなたは?」
リースは動揺しながらも、もう一人のバンに聞く。すると意外にも、もう一人のバンはリースの質問に答えた。
「俺? 俺はスズ。スズ・ベストフレンド。
そこにいる女の子と同じ、堕天のヘルシャフトさ」
それを聞いたヨキ達は驚いた。今まで出会った堕天のヘルシャフトは、共に旅をしているリルしか知らないからだった。
つまり、突如目の前に現れたスズが二人目の堕天のヘルシャフトである。
「それよりも君には感謝してるよ」
「へ? え? どういう事だ⁇」
バンは急にスズに感謝していると言われて、自分が何をしたのかが解らなかった。スズは当たり前のように話す。
「そう! 君が来てくれたおかげで、俺はあの精霊鏡から出られたんだ」
するキールがある事を思い出した。それはスズが精霊鏡から出る前に言っていた言葉である。
キールは迷う事なくスズに聞いた。
「おいスズ、お前精霊鏡から出る前に『同じ姿の奴しか映らない』とか言ってたが、どういう事だ?」
それを聞いたスズは当たり前のように言った。
「簡単さ。この鏡は精霊の意志からできてるせいか、人間やヘルシャフトを封印する事ができる力があるのさ」
「「「ヘルシャフトを封印する⁉」」」
精霊鏡にヘルシャフトを封印する力があると知ったヨキ達は、更に驚く。
精霊鏡の存在を知っていたリルと、前世でヘルシャフトと戦ったキールでさえそれは知らなかったらしい。
「この鏡案外狭くてさ、思うように動けなかったんだよな」
平然と喋るスズを見ていたヨキ達はその態度を見て呆然とし、キールは驚きの連続で頭を抱えていた。
するとリースが、スズが「もうここにアーカイブはない」という言葉の存在を思い出した。
「それよりもスズさん、なぜここにアーカイブがないと言ったんですか?」
それ聞いたヨキ達は突然スズが現れたことに驚いていたせいで本来の目的を忘れていた。
「多分知らないと思うけど、アーカイブはかつて、賢者と呼ばれる人達が精霊の意志から作った石板なんだ」
「じゃあ、アーカイブは礎や精霊鏡と同じで特別な力があるって事なのか?」
「そう。アーカイブができた後、賢者達はアーカイブをここに隠したらしいんだ」
するとリルがある事に気がついた。
「でも、どうしてアーカイブがなくなってしまったの?」
「四年前、俺が封印されていた精霊鏡をここに置くために他のヘルシャフトがここを選んで中に入った時に偶然見つけたんだ。
でも俺ですらわからない事に、アーカイブが光りだして一気に五つになったんだ」
「ヘルシャフトが近づくと、分裂するよう仕組みになってたんだろうな。
それで、分裂したアーカイブはどうなったんだ?」
それを聞いたスズはいとも簡単に答えたが、その答えを聞いた途端、ヨキ達は衝撃を受けた。
「そのまんまこの部屋を飛び出してどっかに飛んでったよ」
「えぇー⁉」
「それじゃ探せないよ!」
ヨキ達はアーカイブの行方が分からない今、どうすればいいのかすら解らなかった。
するスズが意外な事を言い出した。
「アーカイブを見つけたいなら、ここを出てその手掛かりを探せばいいんじゃないか?」
「そうか! ここはアーカイブが隠されていた場所だから、手掛かりが見つかるかもしれない!」
「そうね!」
早速ヨキ達は急いで秘密の部屋から出ようとすると、スズが声をかけた。
「ねぇ、俺も君達と一緒に行っていい?
俺堕天って事もあって帰れないんだ。それに行くあてもなくてさ、困ってんだよね」
それ聞いてヨキ達はしばらくの間考えた。
既にリルがいるというのに、更にもう一人堕天が増えるとなると、旅が困難になる。
それに、ただでさえスズはバンと瓜二つの姿をしているため、見分ける事すら大変である。
全員で話し合った末、スズを連れていく事にした。
「解った。付いてきていいけど、勝手に一人で動くなよ?
ただでさえバンに物凄く似てるんだから、バンと間違えられちまうからな」
「よッしゃラッキー♪ ありがと! それより君達、名前は?」
「僕は黄昏ヨキ。幼馴染と、僕が失くした記憶を探してるんだ」
「俺はバン・レイフォン。こっちは弟のリース」
「リース・レイフォンです」
「オイラはキール・ロワイヤルだ」
「リル・レッドべリルよ」
「そっか♪ ヨキ、バン、リース、キール、リル、よろしくな♪」
スズは嬉しそうにヨキ達について行き、秘密の部屋を後にした。
それからヨキ達は古の図書館にある本全てを調べていると、リースが一冊の本を見つけた。
「これは…。みなさん、これ見て下さい!」
リースに呼ばれたヨキ達は、リースがアーカイブの手掛かりを見つけたのだと思い、リースの周りに集まった。
「リース、何か見つけたのか?」
「アーカイブについて書かれている本を見つけました!」
「見せてみろ!」
キールはリースから本を受け取り、その部分にはなんと、アーカイブについて詳しく描かれていた。
それを見たキールはアーカイブについて書かれている事を確信した。
「間違いない、アーカイブについて書かれてる文章だ!」
「やったなリース!」
「はい! それで、なんと書かれてるんですか?」
「キール君読んでみて!」
「あぁ」
キールはヨキ達日本の内容がわかるように、声に出してアーカイブについて書かれている文章を声に出して読みだした。
そこに書かれているのはスズが言っていた事、そしてキールの予想通りの事も書かれていた。
アーカイブは出来上がった直後から歴史を刻み込む、まさにアーカイブと呼ぶに相応しい物だった。
更にそこには驚くべき事が描かれていた。
「アーカイブは『樹の古文書』、『炎の古文書』、『水の古文書』、『氷の古文書』、そして『風の古文書』に分かれてしまった場合、全てを揃えないと元の姿には戻らない…だと―⁉」
それを聞いたバンとリースの二人以外の三人は驚いた。
二人は炎の古文書と聞いた途端、急に考え始め、その様子に気付いたスズは二人に声をかけた。
「どうしたんだよバン、リース」
「それが、その本に出て来た炎の古文書の事なんだが」
「僕たち、きいたことがある気がするんです」
「それ本当⁈」
「いつの話だそれ⁉」
バンとリースのレイフォン兄弟が炎の古文書について聞いた事があるという証言を聞いたヨキ達は、二人が何処で炎の古文書の事を聞いたのかを尋ねた。
二人は炎の古文書について思い出しながら説明し始めた。
「えーっと、確か三年前に任務先に行く途中で内容を聞きながらだったよな?」
「はい、たしかその時はくわしく知らなかったので」
「てか任務ってなんだよ任務って」
その話を聞いたヨキはある事を思い出した。
それはアーカイブを探している時に、バンが混乱している間に見た、バンの過去だった。
その時に二人はヒエンという少年と炎の古文書を探している事を思い出し、ヨキは迷わずに二人に聞く。
「もしかして、ヒエンって人と一緒の時じゃないかな?
あの時、二人共炎の古文書を探してたもん!」
「それですよ! まちがいありません!」
「あの時、俺達任務でヒエンから聞かされて……ってかなんで知ってんだ?」
「バンが混乱してる時に、その時の映像を見たんだ」
「「「それで炎の古文書は⁉」」」
ヨキがバンの記憶を見た事に驚くよりも、炎の古文書が今どこにあるのかが気になったキール達は二人に炎の古文書をどうしたのか問い詰める。
ヨキ達に聞かれたバンとリースは戸惑いながら話した。
「その後に炎の古文書を持って帰って、そのままどこに隠したか解らないんだ」
「「解らないの⁉/てかさっきから任務任務ってなんの事なんだよ?」」
キールとスズに突っ込まれながら聞かれたバンとリースは、ヨキ達が予想もできなかったことを話し始めた。
「みなさんは一年前まであった『インバシオン』という、ソシキのことは知ってますか?」
「「「インバシオン?」」」
それを聞いた三人は不思議そうな顔をした。
キールは知っているように話し始めた。
「確か世界を支配しようとしてたアホな組織けど、まともな冒険者に潰されたって聞いた事があるな」
「実は、俺達そのインバシオンにいたんだ」
それを聞いたヨキ達は信じられないという様子でバンとリースを見た。
ヨキに至っては、実りの街に来てからずっと一緒に行動していたため、バンとリースの二人が悪人とは思えなかった。
これ以上話していたらややこしくなると判断したキールは、バンとリースに炎の古文書がどうなったのか問いただした。
「んな事はほっといて、炎の古文書はどうなったんだ⁉」
キールはバンとリースが昔インバシオンにいた事を置いておき、炎の古文書がどうなったのかを聞いた。
「いろんな国の軍や警察がインバシオンの秘密基地に行って、色々調べて中にあった物を持って行ったけど、持ってなかったよな?」
「見つけられずにまだあるとすれば、あそこぐらいですよね」
「ガナドール会場の地下にあるインバシオンの特訓施設ぐらいしか」
それを聞いたヨキとキールは驚いた。
リルとスズは何が何なのかすらわからず、少し混乱していた。
それを見かねたキールは二人に話した。
「エターナル地方には年に一度のビックイベント、ガナドールっていう大会があるんだ」
「僕も噂でしか聞いたことがないけど、エターナル地方で一番強い人を決める大会らしいよ。
意味は確か、開催地の国の言葉で勝者って意味が由来してるんだって」
それを聞いたリルとスズは興味津々だったが、炎の古文書がある可能性があるインバシオンの秘密基地がガナドールの開錠地下にあると知ったキールは、これはそう簡単に解決できる事ではないと思い、バンとリースにどうするのかと問いただした。
「それでどうすんだよ? 特訓上はその会場の地下にあるって事は、間違いなく封鎖されてるぞ」
その事を指摘されたバンとリースは二人で話し合い始めた。
「まだ使えると思うか? あの道?」
「あそこは見つかりにくいですから、一年たっても見つけられてないと思いますし…。
そこしかないと思います」
バンとリースが話し合ってる間、キールは今にも怒りを爆発させかけていた。
それを見かねたヨキは慌ててバンとリースに声をかけ、その事を知らせる。
「ふっ二人とも早く! キール君が怒っちゃうよ!」
それを聞いたバンとリースは不安げな顔で言った。
「多分、使える道が一つだけあると思う」
「本当か⁉」
「はい。僕たちがよく使っていた道で、見つかりにくいばしょにあるのでヘルシャフトにも気づかれていないはずです」
「よし、早くそこに行こう!」
「そうだね。他のヘルシャフトが気付かない内に」
こうしてヨキ達は古の図書館を飛び出し、トューン・トューンを出てそのままガナドール会場のある街に向かった。
その地下にあるインバシオンの特訓施設に隠されているかもしれない炎の古文書を求めて。




