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第13話 僅かな再会と別れ、そして出会い

 ブックマークありがとうございます。

 ヨキ達はウィンディアという村にやってきた。

 そこは優しい風の吹く村で、この村にはバンとリースの仲間がいるらしく、ヨキ達は二人の仲間の家に行く事にした。


「ここにお前らの仲間がいんのか?」


「あぁそうだ、名前はクレイとエリルっていうんだ。エリルは凄く可愛いんだぜ」


「って可愛い娘ちゃんの方だけ紹介してどうすんだよおい」


「そう言えばヨキさんとキール君は初めて会いますよね」


「うん、ちょっとだけ楽しみなんだ。どんな人達なんだろう?」


 ヨキは実りの街にいる時からバンとリースの仲間達に会ってみたいと思っていたため、これはいい機会ではないかと思っていた。

 キールはあまり興味はなさそうだが、寂しい目で空を見ていた。

 それからしばらくしてヨキ達はバンとリースの仲間の家に着き、リースは扉を軽く叩いた。


「クレイさんエリルさん、おられますか? リース・レイフォンです」


 するとその声に応じて扉が開いた。そこには黄色い髪の少女が出てきた。


「バン、この人もしかして…」


「そう、ここに来る途中で話してた子さ」


 ヨキは家から出てきた少女が、バンとリースから聞いていた二人の仲間であるエリル本人だと知った。

家から出てきたエリルは、バンとリースの姿を見て少し驚いていた。


「あ! バンさん、リースさん。お久しぶりです」


「おひさしぶりです、エリルさん」


「久しぶりだな! ところでクレイは?」


「お兄ちゃんならそろそろ帰ってくると思いますよ」


「「お兄ちゃん⁇」」


 クレイの所在を確認したリースの質問に対し、お兄ちゃんというエリルの言葉に困惑しながらヨキとキールは顔をかしげた。

 ヨキとキールが不思議がっている事に気付いたバンが、クレイとエリルがどういう関係なのかを説明してくれた。


「そういやクレイとエリルが兄妹って事言ってなかったな」


「あ、兄妹なんだ」


「忘れてたのかよ。てか、普通に言ったよな今?」


 バンはクレイとエリルが兄弟である事を普通に言ったが、その事を伝え忘れていたバンに対してキールは呆れ顔で言った。

 するとエリルはヨキとキールの二人がいる事に気付いた。


「あら? そちらの方達は?」


「ヨキさんとキール君の事ですか? こちらの方は黄昏ヨキさんです」


「でもってこの小さい奴がキール・ロワイヤルっていう名前だ」


「始めまして」


「チワース」


 バンとリースに紹介されたヨキとキールは、簡単な形でエリルに挨拶をした。

 ヨキとキールがバンとリースの知り合いだと知ったエリルは、快く返事を返した。


「始めまして、エリル・グレース・メリエントです。よろしくお願いします」


「なんだ、バン、リース、来てたのか」


 エリルが自己紹介を含めて挨拶をしている最中、急に後ろから声が聞こえて来た事に驚いたヨキは、思わずバンの後ろに隠れた。

 そこにいたのは大きな帽子とポンチョのようなマントを羽織った少年がいた。


「久しぶりだな。ところでバン、後ろに誰かいるぞ」


「え? 後ろって…ヨキ、お前いつの間に後ろにいたんだ?」


 バンはヨキが後ろにいた事に気付いた。

 一方ヨキは、鳴りを潜めていた筈の人見知りが今になって発動したのか、緊張した様子でバンに少年が誰なのかを尋ねた。


「バ、バン、こここの人がグレイっていう人?」


「あぁ、クレイ・マイルス・メリエント、エリルの兄貴だ。わざわざ隠れなくてもいいだろ」


「なんだ、キバとは一緒じゃない代わりに知り合いと来たのか。

 所でこの小さい子供は誰だ? お前達の親戚か?」


 エリルの兄だと紹介されたクレイは、傍にいたキールに気付いて抱きかかえた。

 クレイ本人は何故リースぐらいの子供がここにいるのか疑問に思い、何処から来たのかを尋ねるつもりでいただけだったのだが、クレイが自分を抱きかかえるという行動が気に入らなかったのか、キールは不機嫌な表情になっていた。

 するとクレイに災いが降りかかった。


「ロング・ロング!」


「のぁ! 何するんだよキール!」


 キールが突然法術を唱え、ロング・ロングで伸びた木の枝の先端はクレイの顔に直撃した。

 何処から取り出したのかわからない木の枝を使ってクレイを攻撃した事に驚いたバンは、慌ててキールを引き離した。


「痛! 何が起きたんだ⁉」


 グレイは突然の出来事に驚いていた。否、突然すぎて混乱していた。

 エリルも目の前でキールが持っていた木の枝が伸びる現象に驚いたのか、呆然とキールの方を見ていた。


「わっワリぃ、詳しく説明すると時間が掛かるんだ。リース、説明頼む」


「ハイ兄さん」


「説明弟まかせかよ」


 自分達の説明を弟のリースに頼んだバンの対応に、キールはため息をつきながら呆れていた。

 バンにヨキとキールについての説明を頼まれたリースは、クレイとエリルに実りの街からウィンディアに来るまでの出来事を話しながら、現在の自分達の状況について詳しい説明をし始めた。


 リースから詳しい話を聞いたクレイとエリルは半信半疑ではあったが、目の前でキールが持っていた木の枝が伸びた事と、ウィンディアでもヘルシャフトの話を聞くようになっていたため、リースの説明を信じた。


「今の所ウィンディアはヘルシャフトに襲われてはいないんだな」


「あぁ。この通り俺達やウィンディアの住人全員無事だ。

 だが、ヘルシャフトに関する噂もここ最近増えてきていて、大きな街に非難した方が良いんじゃないかっていう声が上がってきているんだ」


「やっぱり、恵みの村や実りの街以外にもヘルシャフトに襲われてる場所があるんだ…」


 クレイからウィンディアに流れてきているヘルシャフトの噂を聞いたヨキは、恵みの村とレイフォン兄弟の故郷である実りの街以外にも襲われている場所があると知り、不安になっていた。

 ヘルシャフトは自分達の天敵であるスピリットシャーマンの殲滅を第一に考えているようだが、恵みの村を襲ってきたヘルシャフト達も、実りの街に現れリースを連れ去ったヘルシャフトも、ヨキからしてみればヘルシャフト以外の種族、特に人間を見下しているように見えた。


「どちらにしても、オイラ達スピリットシャーマンにとってヘルシャフトとの戦いは避けては通れない宿命だ。

 あちこち移動しながら暮らしている今のオイラの家族も、連中と戦っているだろう」


「こうなるとなるべく早く、ケイさんとマリさんのお二人を見つけ出すひつようがありそうですね」


「二人とも、無事だといいけど…」


 ヘルシャフトがかなりの範囲で行動していると知ったヨキは、謎の竜巻で離ればなれになったケイとマリの安否が気がかりだった。

 今の自分と同じように、ヘルシャフトに襲われている可能性も考えたのだろう。


「くよくよしてても仕方ない。今は地道に情報を集めて、ヨキの記憶とニ人を探しながら旅をしていこうぜ」


「そう、だね…」


「もしよろしければ、今日は私達の家に泊って行って下さい。

 美味しいお料理をご馳走しますから」


 バンに励まされる不安そうなヨキの心情を察したのか、ヨキを励まそうとエリルはヨキ達に自宅に泊まっていくよう提案した。

 エリルの提案に甘え、ヨキ達はクレイとエリルの家に泊めてもらう事にした。

その夜、全員がキールの叫び声に気付いて飛び起きた。


「グリフ、許せ―っ‼」


「なんだ⁉」


「キール君⁉」


「…Zz」


 キールの叫び声を聞いて何事かと思ったが、当の本人は眠っていただけで、更にヨキ達が聞いたキールの叫び声は寝言だったため、飛び起きたヨキ達は取り越し苦労だったと知り思わずため息をついた。


「またキールの寝言かよ。本当に紛らわしいなぁ」


「もうこれで二十回目ぐらいですよ」


 実際の所、キールが寝言で叫ぶという事は今回だけではなく、旅の道中でも同じ事が繰り返されていた。

 夜になるとキールはいつもこうなってヨキ達を起こすのである。

 最初にキールの寝言を聞いて飛び起きたヨキ達は、ヘルシャフトの襲撃を受けてキールがやられたのだと勘違いし、生死を確認するため寝ていたキールを叩き起こし、その結果キールに叩きのめされてしまった。


 それからもキールの叫び声と間違う寝言が続き、そのせいでバンとリースは寝不足がちになる事が多いのだが、ヨキはすぐにでも寝てしまうため寝不足にならないのだ。

 が、バンとリースはそんなヨキを不思議に思った。

 キールの寝言は隣の部屋にいたエリルまで起こしていた。


「どうしたんですか⁉ さっきキールさんの声が聞こえたんですけど」


「いや、寝言らしい」


「えぇ、さっき聞こえた叫び声、寝言なの?」


 ヨキ達同様にキールの寝言を聞いて飛び起きたエリルは、キールに何かあったのかと駆け付けたようだったが、クレイから先程聞いたのがキールの叫び声ではなく寝言だと教えられて驚いていた。

 ヨキ達全員が飛び起きる程の声量にとなると、事情を知らないものであれば普通に叫び声にしか聞こえないため誰も寝言とは思わないのが当たり前だ。

 不意にヨキが、キールの寝言の事である事を思い出した。


「そう言えば僕、前に違う寝言を聞いた事があるよ。確か、『フィービィー、ごめん』って」


「フィービィー?」


「こいつ、過去で何があったんだ?」


 ヨキから違う寝言の内容を聞いたバン達は、一人眠っているキールの方を見た。

 ともに旅をするようになったヨキ達といえど、幼少期をどう過ごしていたかについては聞かされていないため、何も知らない。


 五歳の頃から旅をしていたというのは知っていたが、ヨキ達と出会うまでの間に何があったのかは誰も知る事はなかった。

 そして朝が来た。あれから何度かキールの寝言で起こされたため、ヨキとキール以外は全員寝不足になってしまった。


「ふわ~、あんまり寝れなかったぜ」


「うぅ、僕もです」


「俺もだ」


「私もです、ヨキさんはぐっすり眠れたんですか?」


「うん、普通に眠っちゃったよ」


 バン達はキールの寝言のせいで眠れなかったのに対し、ヨキは問題なさそうに笑って答えた。

 ヨキの反応を見たバン達は、思わず心の中で似たような疑問を呟いていた。


((なんで普通に眠れるんだコイツ?))

((どうしたら普通に眠れるんでしょうか、ヨキさんは?))


 夜中に何度も起こされたにも関わらず、ヨキがどうやって睡眠をとる事ができるのか疑問になっていた。



*****



 そんなヨキ達の様子を遠くから見る少女がいた。

 それは、恵みの村がヘルシャフトに襲われ、竜巻に引き離されて以降、行方知れずとなったマリだった。

 マリは偶然にも、このウィンディアに来ていたのだ。


「ヨキ、無事だったのね…よかった」


 マリはヨキとケイの二人と離れ離れになってからも、少年と小さな少年と旅をしながら、二人の行方を探していた。

 ケイは持ち前の明るさで一人になっても大丈夫だろうと考えていたが、ヨキは気が弱く、人見知りという事もあってマリはヨキがどうしているか心配だった。


 だが、ヨキがバン達と親しく話している様子を見て大丈夫だと安心した。

 その様子を見るマリに気付いた小さな少年はマリに声をかけた。


「行かなくていいのか? 会いたかったヤツなんだろ?」


「いいの、今はまだ。もう決めちゃったのよ、あの真相を確かめるまではケイとヨキには会わないって」


「ふ~ん、コウカイしても僕は知らないからな」


 ヨキを見つけたが、マリは会いに行こうとはしなかった。

 明白な理由はわからないが、マリはどうしても確かめなければならない事ができ、それを確かめるまではヨキとケイを見つけたとしても会わないと心に決めたらしい。


 小さな少年は後悔しても知らないと言いながらも、事情を知っている起案は心配そうにマリを見ていた。

 マリと小さな少年のやり取りを近くで見ていた赤褐色の逆立った髪の少年が、二人に声を掛けてきた。


「おい、さっさとこの村を出るぞ。ここには何も手掛かりはなかったからな」


「OK」


「解ったわ。ヨキ、またいつか会おうね」


 結局マリは直接ヨキに会う事なく、小さな少年と顔に傷のある赤褐色の逆立った髪の少年と共にウィンディアを去って行った。

 ウィンディアに吹く優しい風が、長く伸ばしたマリの紫がかった白銀の髪を揺らし、ウィンディアを照らす朝日に照らされ輝いていた。



*****



 バン達と話し込んでいたヨキは、離れた所から見えた紫がかった白銀の輝きに気付き、そこに見覚えのある後姿を見つけたため目を見開いた。


「どうしたヨキ?」


「今のは……マリ⁉」


 先程見た紫がかった白銀の光と後姿がマリだという事に気付いたヨキは、急いで紫がかった白銀の光が見えた場所に近付いたが、既にマリの姿はなかった。

 何事かと思ったバン達もヨキの後を追い、何かあったのかとヨキに尋ねた。


「どうしたんだよヨキ、そんなに慌てて」


「さっきまでマリがここにいたかもしれないんだ! でも、いなくなっちゃって」


「マリって、ヨキさんが探しているというおさななじみのじょせいですよね?」


「だが、誰もいないぞ?」


 マリがいたかもしれないというヨキの証言を聞いたバン達は、何故マリが姿を現さなかったのかと疑問に思い、まだマリが近くにいるかもしれないと考えたヨキは、近くを見回しマリの姿を探した。

 そんな時、ヨキ達の目の前で何か雫のようなものが落ちてきた。


 雨が降っている訳でもないのに、地面の一部が濡れたように色が変わっていたため、疑問に思ったクレイは地面に落ちた雫に触れてみた。

 すると指が赤く染まった。それを見たクレイは顔が真っ青になった。


「どうしたんだクレイ、顔が真っ青に…うわぁっ! 血⁈」


 バンはクレイが地面に落ちた雫に触れた指に血が付いている事に驚いた。地面に落ちた雫は血だったのだ。

 それを知ったヨキ達は酷く動揺していた。

 何故空から血が落ちてきたのか、原因は全く分からなかった。



*****



 マリがウィンディアを去る少し前、遥か上空では一人の少女が白い翼をはためかせ、何かから逃げるように必死に飛んでいた。

 少女の体は傷だらけで、体のあちこちから血が流れ、それでも少女は飛ぶ事をやめなかった。

 飛んで、飛んで、飛び続けて、少女は後ろを振り返った。

 後ろには何もおらず、誰もいないかを確認するように辺りを見回す。


(誰も、いない、逃げ、切れた…)


 逃げ切った、その事に安堵した少女はそのまま意識を失い、地上へと落ちて行った。



*****



 空から血の雫が落ちてくるという謎の現象に遭遇したヨキ達は、何故そのような現象が起きたのか分からず混乱していた。

 すると空からまた血の雫が落ちてきた。


「きゃあ! また…⁉」


「上に何かあるんでしょうか?」


 そう思ったリースは視線を空の方に向けた。すると何かが落ちてくる事に気がついた。


「なっ何か落ちてきますよ⁉」


 それを聞いたヨキ達は一斉に上を向くと、確かに上から何かが落ちてきていた。

 だが落ちて来るものの正体が何かはわからず、それどころかその何かが落ちる先にバンがいたのだ。

 その事にいち早くキールが気付いた。


「おい、あれバンの方に落ちてきてねぇか⁉」


「えっあっ! 本当だ! バン危ないよ!」


「何ぃ⁉」


 それを聞いたバンはパニックになった。どうすればいいか分からなくなり、避けるどころではなくなったのだ。

そうこうしているうちにそれはバンの上に落ちてきた。


「わあぁぁぁ⁉」


「「「バン/さん!」」」


「兄さん大丈夫ですか⁉」


バンの上に何かが落ちて来たのを見たヨキ達は、慌ててバンの傍に駆け寄る。

幸いな事に、バン自身に怪我はなかったようだ。


「あっあぁ、なんとか。それより一体何が落ち…⁉」


 バンは何が落ちてきたのか確かめようと起き上がると、自分の服を掴む手があった。

良く見ると一人の少女が自分にもたれ掛かっている事に気付いた。

バンは驚きのあまりに言葉が出なかったが、ヨキ達は空から少女が降ってきた事に対して驚いていた。


「えっ! 女の子⁈」


「「「えぇ⁉ なんで⁉」」」


 空から少女が降ってきた事に困惑するヨキ達。

 この少女は何者なのか、何故空から降ってきたのか、全く理解する事ができなかった。

 ご覧いただきありがとうございます。

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