第11話 シャーマンの宝、司る礎
3月13日修正しました。
旅の途中に訪れた広い森でナチュラルトレジャーという一族の少年、キールと出会い、ヨキは自分の正体を知る手がかりがある可能性があるかもしれないと信じてバンとリースの二人と共にキールについていく事にした。
とはいえ、キールが目指している遺跡は森の奥深くにあり、一日で着く事ができる距離ではなかったためなんどか野宿をし、森の奥へと進んでいた。
キールは小さな少年なのに大人並に体力があり、自分より年上のヨキ達の前を歩いていた。
面白そうだと思いついて来たバンは、いまだにキールから聞いた遺跡につけない到着しない事に対して苛立ち始めていた。
「おいキールまだなのかよ?」
「もうすぐだよ。ここを通り抜ければ目の前さ」
そう言ってキールは更に歩くスピードを上げて進み始めた。
キールがあるくスピードを上げて来たため、ヨキ達もキールとはぐれないようにするために歩くスピードを上げたが、少々疲れていた。
「ちょっ待ってよキール君! 早いよ~」
「キール君は体力がありますね」
そんなキールを見てリースは最初にキールに会った時に、少女ではなく人形と間違えられた事をすっかり忘れていた。
そもそもキールと行動する事になったのは、キールが探しているナチュラルトレジャーの遺跡に行きたいとヨキが言いだしたからである。
キールからスピリットシャーマンの話を聞いたヨキは、自分がウィンドウセイジと何かしらの関りがあるかもしれないと思い、ウィンドウセイジと同じスピリットシャーマンであるナチュラルトレジャーの遺跡を見れば、自分が何者なのかわかるかもしれないと思ったからだ。
「遺跡を目指して進み始めてから、大体四日くらいは経ったんじゃないでしょうか?」
「結構深くまで進んじゃったね。キール君、昔のナチュラルトレジャーの人達はどうしてこんな深い森に遺跡を立てたの?」
「そりゃあヘルシャフトから宝を守るために決まってんだろう。
最初に言った通り、俺が探してる宝はヘルシャフトから奪い取った物だ。
連中がその宝を取り戻そうとする筈だから、そう簡単に見つけられない場所に隠した方が安全なんだよ。
何よりこの森は神の加護で守られた”神秘の森”で、尚且つ古の時代から存在している分、ヘルシャフトや悪党どもは絶対に遺跡に近付く事はできねぇ」
「神秘の森?」
「この森の名前だ。古の時代から姿を変える事のない、神の加護に守られた太古の森の一つだ」
「キール君にとってもヘルシャフトにとっても、そのたからは神さまに守られたこの森で守られるほどジュウヨウなソンザイ、っという事なんですね」
神の加護で守られているという神秘の森に遺跡を立て、その遺跡に隠さなければならない程、キールにとってもヘルシャフトにとっても重要なものであると聞き、リースは遺跡にある宝がどんなものなのか全く想像できなかった。
だがその宝にはヘルシャフトに対抗するために必要であるという事だけは理解できた。
前世の記憶がある事で性格は大人びているが、体自体は子供であるため、キールなりに必死だという事はヨキ達でもわかっていた。
それから暫くして、ヨキ達の目の前に古びた遺跡が現れた。
ヨキ達の目の前にある遺跡は、ピラミッドに似た形をしていて壁には蔦のような模様が刻まれていた。その遺跡を見たヨキ達は思わず見入っていた。
「すげー、ここに宝があるのか…」
「当り前さ、これは前世のオイラが死んで二年後、わかりやすく言うなら二九九八年前に建てられたのさ。
そしてこの遺跡に、オイラが探し求めた宝がある」
遺跡に辿り着いたキールは、遺跡を見上げながらヨキ達に説明した。
念願の宝が眠る遺跡に辿り着く事ができたため、あとは遺跡内部に入り、その宝を手に入れる事ができれば第一の目標達成となる。
キールにとってここからが本番だ。
そんな時、キールが話しているとバンはヨキの様子が可笑しい事に気付いた。
「ヨキ、どうした?」
バンに声を掛けられたにも関わらず、ヨキは全く反応せず、ずっとその遺跡を見つめていた。
ヨキの意識はまるで別のどこかに飛んで行ってしまったかのようだった。
心配になったバンはリースとキールの二人に声をかけた。
「オイッ! ヨキの様子が変なんだ!」
「え、ヨキさんの様子が⁉」
それを聞いたリースは慌ててヨキの傍に駆け寄り、ヨキの様子を確認した。
キールは何が起きたのか全く分からなかった。
「おい、どうしたんだよ」
「それが、ヨキがさっきから呼んでも返事が…痛っ⁉」
なんの反応も示さないヨキの心配をしていると、急にバンの左手が痛み出した。
痛み出した左手を抑え痛みに耐えるバンだったが、もう治っている筈の左手が、何故痛み出したのかはバン自身もわからなかった。
次の瞬間、バンは左手の痛みと共にさっきの場所とは違う場所にいた。
*****
バンはいつの間にか川のない渓谷と思われる場所におり、目の前にはキールの祖先が建てた遺跡に似た遺跡があった。
だがそれは古くはあるが遺跡程ではなく、キールが言っていた程の年月は経っていないようにも見えた。
《こっここは⁉》
自分の知らない場所に移動したバンは、前にもこの不思議な体験をした事を思い出した。
実りの街に現れ、ヘルシャフトに連れ去られたリースをヨキと共に助けに向かった際、崖から落ちかけたヨキを助けようとにダリ手を掴んだ時にヘルシャフトの攻撃を受け、ヨキとバンは左手に大怪我を負ってしまった。
その時にバンとヨキの血が混ざりあい、お互いの記憶を見れるようになったため、バンは再びヨキの失われた記憶の中にいたのだ。
すると後ろの方から声が聞こえてきたため振り向くと、そこにはヨキに似た雰囲気の少年と幼いヨキの姿もあった。
『ねぇ、ここはなぁに? ダレかのおうち?』
『ここは"風の社"と言って、僕らの祖先が二三九八年前に建てたんだ。
この社の中には祖先がヘルシャフトから奪い取った"司る礎"と呼ばれる礎の一つ、"風の礎"が収められているんだ』
《社ぉ? 遺跡なのに神社なのか?》
幼いナキの質問に答えた少年から、目の前に建っている遺跡の名前を聞いたバンは疑問に思った。
バンが思い浮かべた社は寺のような建物だが、目の前に建っているのはピラミッドに似たような形の遺跡。
社というよりも神殿と呼んだ方がまだ納得できるが、何故社と呼ばれるのかまではわからなかった。
*****
そこで記憶は途絶え、バンは元いた場所に戻っていた。
目の前には心配そうにバンの顔を覗き込むリースの顔があり、ヨキの記憶を見ている間、自分もよく動揺に何も反応しなかったのだと気づき、リースに先程までの自分の様子を尋ねた。
「リース、俺、どれくらい無反応だった?」
「え、何言ってるんですか兄さん、ずっと左手をおさえていましたよ? 一刻みもたっていません」
それを聞いたバンは驚いた。バン的には自分の意識がヨキの失われた記憶の中に大分いたと思っていたからだ。
実際はそれ程時間が経っておらず、ただ左手を抑えているだけだったと言われどういう事なのか理解できてなかったが、それよりも放心状態になっているヨキの事を思い出したバンはヨキの体を揺さぶってヨキの名前を呼んだ。
「そうだ、ヨキ! しっかりしろ!」
バンに激しく揺さぶられた事でヨキは我に返り、ようやくバンに返事を返した。
「あっあれ? 確か僕……」
「お前、風の社とかいう遺跡の事思い出してただろ?」
「そう! この遺跡を見た途端、何か建物みたいなのが見えて、それでその建物が風の社だって事を思い出して、それから、それから、わかんないや…」
バンに風の社について指摘され、自分が風の社に関する記憶を思い出したヨキは自分が思い出した事を確認するように呟いたが、風の社以外の事やそれから先の事は思いだせなかった。
バンの口から風の社という言葉を聞き、更にヨキが風の社についてしている事を知ったキールは驚いたようにヨキ達に問い詰め始めた。
「おいどういう事だよ! なんで風の社の事知ってんだ⁉ ヨキって何者なんだよ⁉」
「そっそれは僕も兄さんもわかりません。
ヨキさんとはこのあいだ知り合ったばかりですし、前にも言いましたがヨキさんにはむかしのキオクがないらしく、よほどの事がないかぎりキオクは戻らないみたいです」
リースは混乱するキールにわかりやすく説明した。だがキールはそれでも納得ができなかった。
「オイラの知ってる限り、社の事はオイラや生き残ったシャーマンの子孫しかいない筈だ!
仮にシャーマンの転生者だったとしても、社の事は知らねぇ筈だ!」
その事をキールに指摘されたヨキは痣を見ながら、本当に自分が何者なのかを考えた。
そんな中、バンは幼いヨキが話しかけていた少年の言っていた司る礎と呼ばれる、風の礎が気になった。
そして三〇〇〇年前に前世のキールが戦ったヘルシャフトとの戦いが何故か二四〇〇年前の事になっている事を不審に感じていた。
という事は社ができたのはニ九九八年ではなく、ニ三九八年前に作られた事になる。
「なぁキール、この遺跡本当に二九九八年にできたんだよな?」
「なんだよ。オイラが嘘ついてるとでも思ってんのか?」
「いや別に、さっさと行こうぜ」
「おいコラ先行くな、樹の社の中は危ないぞ!」
こうしてヨキ達は樹の社と呼ばれる遺跡の中に入って行った。
樹の社の中は迷路のような作りになっており、入っていきなりバンの姿が見えなくなった。
「あっあれ? バンが消えた⁈」
「そんなバカな! 入ってソウソウにきえるなんてありえません!
兄さん、ふざけてないで出てきて下さい!」
「ほら言わんこっちゃない。あの馬鹿なら多分、ここだな」
バンの姿が見えなくなったためヨキとリースは慌てたが、幸いにもキールのおかげですぐに見つける事が出来た。
バンは興味本位で触れた石像に仕掛けられた仕掛けを動かしてしまい、樹の社に組み込まれていた隠し部屋の中に閉じ込められていた。
「あっ! バンが出てきた!」
「いきなりなにしてるんですか、兄さん」
「あ~、びっくりした。入っていきなり狭い所に閉じ込められるとは思ってもみなかったぜ…」
「今お前が閉じ込められたのは、樹の社に入った侵入者を永久手時に閉じ込めて二度と出られなくする罠だな」
「「樹の社の中にいる間は勝手に行動しないでね/くださいね!」」
バンが無事だった事に安心したヨキとリースは、キールからバンが閉じ込められていた場所は侵入者を永久的に閉じ込め、二度と出られないようにするための罠だと聞いたため、危険な場所で勝手に行動しないように厳しく言いつけた。
その後ヨキ達はキールの先導のもと、樹の社を進んでいくが、そう簡単にはいかなかった。
「遺跡の中にしては、凄く明るいね…」
「まさに宝探しって感じだなぁ」
「兄さん、さっきも言いましたけどかってなコウドウはひかえて…」
遺跡の雰囲気を楽しんでいるバンに対し、リースは再度注意を促したのだが時すでに遅く、バンは樹の社の壁に触れていた。
それと同時にバンの触れた壁の一部がガコンと動き、ヨキ達の足元から先端が尖った長い杭が数本飛び出してきた。
「あっあばばばっばば…」
「兄さん!」
「コラそこ! 勝手な事するんじゃねぇ!」
「わっワリィワリィ…」
樹の社に入った侵入者を迎撃するために仕掛けられた罠が作動し、作動させたバン本人はリースとキールに叱られてしまった。
ヨキに至っては殺意むき出しの罠に晒され、涙目になりながら硬直していた。
その後も他の種類の罠なども沢山あって避けるのも一苦労だが、キールは器用に罠を避けていき、その後を辿るようにヨキ達は進んでいく。
そしてついに、宝がある部屋に辿り着いた。
「ずいぶん広いバショに出ましたね」
「さっきまで迷路みたいな場所を進んでたのに…」
「ここに宝があるのか?」
「あぁ、ここは祭壇の間って呼ばれる場所だ。あそこを見てみな」
キールが指さした先には、祭壇のような物があった。
そしてその上には、キールの痣に似た形をした、木の枝に絡みつく蔦を模した一つの緑色の石が置いてあった。
「あれは司る礎の一つ、『樹の礎』さ。オイラが探し求めた、ヘルシャフトと戦うために必要不可欠な切り札だ」
「あの宝石みたいな石が、ですか?」
「一見宝石に見えるだろうが、あれが特別な石だってのは保証する」
「んじゃあ、早く手に入れてここ出ようぜ」
そう言ってバンが樹の礎を取りに行こうと祭壇に向かい走り出そうとしたが、そうなる前にキールが止める。
「コラ待て! ここにだって仕掛けがあるんだ。
それがわからないんじゃ進めねぇし、最初に言ったが樹の礎はオイラじゃなきゃ触れられないっての忘れたのかよ?」
「じゃあどうするんだよ?」
「僕にまかせて下さい」
キールに注意されて、バンがふてくされていると、リースはポケットから護符を数枚取り出した。
それからブツブツと呪文のような言葉を唱えると護符を中に投げ捨てた。
すると護符は奇妙な生き物になっていく。
「ぼくのトクイブンヤです。このコウモリ型のシキガミを使って、ドコに何があるかさがさせられるんです。
すごいでしょ?」
「お前その年で呪術師だったんだな。確かに凄いけど、ヨキがビビりまくってるぞ」
リースは祭壇の間に仕掛けられた罠を探すために、自分の得意分野である呪術からコウモリ型の式神を生み出したのだが、それを見たヨキは怯えてバンの後ろに隠れていた。
リースが呪術師だとは知らなかったらしく、顔は既に真っ青になっていた。
「ヨキ、お前どんだけ憶病なんだよ」
「とっとにかくワナをさがしましょう」
まさかヨキがここまで怯えるとは思っていなかったが、リースはコウモリ型の式神達に指示を出して罠を探させ始めた。
すると壁のあちこちから蔦が生え、リースが放ったコウモリ型の式神を一体残らず倒してしてしまった。
壁から生えて来た蔦を見たヨキ達は、祭壇の間に至るまでに潜り抜けてきた罠とは比べ物にならないと感じた。
「なんだよ今の⁈ あれも罠、なのか?」
「どうやらこの部屋全体に法術を掛けてあるみたいだな。
ナチュラルトレジャーであろうと、祭壇に近付けば発動する仕組みにしてあるのをみると、こりゃ聖痕を持つ奴に課せられた試練のつもりだろう」
「こっこれ危なくない⁉ 大丈夫なのキール君⁉」
「平気さ、お前らは下がってな」
ヨキ達はキールに言われた通りに下がった。
そしてキールは集中力を高め、目の前に見える樹の礎を見据える。
次の瞬間、キールは一気に走りだした。
キールが祭壇に向かって走り出した直後、リースのコウモリ型式神の時と同じように壁のあちこちから蔦が生えてきただけではなく、地面からは巨大な針まで出現し、キールに襲い掛かった。
キールは自分に襲い掛かってくる巨大な針に驚く事はなく、冷静に躱していく。
「えぇーっ! 地面からデカイ針がえぇ、えぇえええっ⁉」
「罠って壁の蔦だけじゃなかったの⁉」
「それ以前に、当たり前のように蔦と針を躱しているキール君の方が凄いですよ」
壁だけではなく地面にも罠が仕掛けられていた事に困惑していたヨキ達だったが、それ以上に、当たり前のように躱しているキールにも困惑していた。
キールは自分に襲い掛かる蔦と巨大な針を躱していき、蔦に飛び乗って移動し、地面に突き刺さった針を手に取ると巨大な針を弾き落としていく。
その動きは完全に子供ではなく、長年旅を続けてきた熟練の冒険者の動きそのもの。
そして祭壇の近くまで来ると、短いロープを取り出し、法術を唱えた。
「ロング・ロング!」
するとキールが持っていたロープは急激に伸び、そのままロープの先端は祭壇の柱に絡みつく。
ロープの先端が祭壇の柱に絡みついた事を確認したキールは、再び法術を唱える。
「リベレー・リベレー!」
キールがリベレー・リベレーと唱えると、ロング・ロングで伸びたロープが突然縮み始め、その勢いを利用して祭壇に辿り着くと、キールはそのまま、祭壇に置かれている自然の礎に触れた。
すると樹の礎が光り始め、そのまま形を変えていく。
樹の礎は元の木の枝に絡みつく蔦を模した形から、キールに合わせた大きさの槍に形を変え、キールの手に納まった。
「やったーっ!」
暫く樹の礎が姿を変えた槍を見つめていたキールは、嬉しさのあまりに飛び跳ねた。
キールが自然の礎を無事に手にした事を確認し、駆け寄ろうとしたヨキ達だったが、祭壇の間に仕掛けられている法術による罠のせいでキールの元に行く事ができなかった。
暫く祭壇の方ではしゃいでいたキールは槍を手にヨキ達の元に戻って来たが、その道中に罠が発動しなかった。
それを見たヨキ達は何故罠が発動しなかったのかと混乱しキールの無事を確認すると、樹の礎が祭壇から離れた事で祭壇の間に仕掛けられていた罠が起動しなくなったのだとキールが説明した。
そして四人は樹の社を出て一息つく事にした。
「今回はヨキの記憶が少し戻ったな」
「それにしても凄かったですね。あんな動き、ボクでも無理ですよ」
「そりゃあ五年も旅してりゃあ子供の体でもあれくらいできるぞ?」
「まって下さいまって下さい! 五年って、キール君今いくつですか⁉」
「今の年齢は、間違ってなけりゃ十だな」
キールの年齢を聞いたリースは、キールが五歳から旅をしている事になるためキールの感覚について行けなくなっていた。
するとヨキは、キールが使っていた法術の中で気になる物があったため、その法術についてキールに尋ねた。
「キール君、ちょっと聞きたい事があるんだけど…」
「ん? なんだ?」
「リベレー・リベレーっていう法術があったでしょ?
それを唱えたら長くなったロープが短くなったけど、あれってどういう法術なのかなって」
ヨキが気になっていたのは、キールが使っていたリベレー・リベレーという法術についてだった。
キールがリベレー・リベレーを唱えた途端、ロング・ロングで伸びたロープが元の長さに戻ったのを見てどのような効果があるのか気になったようだ。
そんなヨキの疑問に対し、キールはリベレー・リベレーについて説明し始めた。
「リベレー・リベレーは解く法術だ」
「解く?」
「とくって事は、なんか良い事が起こるのか?」
「そっちの得じゃねぇよ。わかりやすく言うんなら、呪いとか封印を解く事ができる法術なんだ」
リベレー・リベレーが呪いや封印を解く事ができる法術だと知ったヨキ達は、リベレー・リベレーを使って祭壇の間の罠を解く事は出来なかったのかとキールに尋ねたところ、リベレー・リベレーを使って罠を解除していればそれと同時に祭壇の間の出入り口付近に仕掛けられていた罠が作動して、串刺しにされるのがオチだと言われた。
それを聞いたヨキ達は、自分達が立っていた場所にまで罠が仕掛けられているとは思っていなかった他、キールが罠を解除していたら今頃串刺しになっていたかもしれないと思うとぞっとした。
するとリースがキールにこれからどうするのかと尋ねた。
「キール君はこれからどうするんですか? このまま一人で旅を続けていくんですか?」
「いんや、お前らと行くよ。ヨキの事気になるし、それに面白そうだしな」
「おっしゃあ! 仲間が増えたぜ!」
「へぶしッ!」
ヨキの事が気になったキールはこのままヨキ達の旅に同行すると伝えた。
樹の礎を手に入れた後の行く当てはなかったのだろうが、ウィンドウセイジの転生者である可能性が高いヨキが何故風の社の事を知っていたのかという事が気になったため、ヨキ達の旅について行く事にしたのだ。
キールが自分達の旅に同行すると聞いたバンは、旅仲間が増えたと喜んだが、喜んだ拍子に腕を上げたせいで、またしてもヨキの顔面にバンの拳が直撃した。
「兄さん、またヨキさんの顔に拳が当たってますよ!」
「わーッ! またやっちまった!」
「バン~」
(へへ、ほんとに面白いな♪)
キールは目の前で騒ぐヨキ達のやり取りを面白そうに見ていた。
こうして新たにキールが仲間に加わり、ヨキ達の旅は賑わいが増すのだった。
ご覧いただきありがとうございます。
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