第101話 悪化する現状
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本刻分の移動が終わり、野営の準備に入っていたバーナードキャラバン。
バラバラの配置にいたヨキ達は一度集まってお互いの近況を報告し合おうとした矢先、近くにいた冒険者達が暴れ出してしまった。
「いい加減にしろよテメェ、ここは俺が先に目をつけてた場所だぞ!」
「何言ってやがる! お前が割って入ってきたんだろうが!?」
「ちょっとアンタ退きなさいよ!」
「そっちこそ退きなさいよ!」
「おい、何やってるんだ!
勝手に人の荷物動かすんじゃねぇよ!」
「うるせぇ! 人が通る場所に置いてるお前が悪いんだよ!」
冒険者達は些細な事で喧嘩をし始め、その影響は次第に広がっていく。
いつかこうなるのではないかと予測していたヨキ達も、目の前の光景にたじろいでいた。
「あわわわわわわわっ! 大変な事になってる!」
「ついに実力行使ありの展開になっちゃったぞ⁉」
「ど、どうするでごじゃるか⁉
セッシャ達だけでどうこうできるとは思えないでごじゃるよ!」
「そうは言うけど、早く止めないと被害が拡大するわ!
現に今私達の方にも色々飛んできてる!」
トーチを振るいなが、らディモルフォセカは動揺するヒバリにそう告げた。
ディモルフォセカが言ったように、冒険者同士の喧嘩の余波で付近にある桶やコップ、しまいには地面に埋まっていたであろう岩も飛んできていた。
現在ヨキ達の周辺はディモルフォセカがトーチの炎で弾き落としているため被害は出ていないものの、それ以外では飛んで来た物で天幕が破けたり同じように付近にいた人物に当たったりしていた。
「ヒエ〜、短時間で被害が広がってる〜」
「やむを得ん、こちらも実力で暴れている連中を止めるぞ!
周囲にいる非戦闘員達を避難させろ!
年少組は鬼神の慈愛の所へ!」
「すみませんうちの子達をお願いします!
ラヴァーズ、絶対に鬼神の慈愛の人達から離れちゃダメよ!」
「任された、お嬢ちゃん達も無茶しちゃダメだよ!」
「姉さん達も気をつけて!」
このまま放置するのは危険だと判断したラピスの一声により、ヨキ達はすぐさま暴れる冒険者達を止めに向かった。
この騒動に年少組には重すぎるという事で、リース、ラヴァーズ、レイアの三人は冒険者パーティー鬼神の慈愛の元に預けられた。
マリとスズが周囲にいる非戦闘員達に声をかけて避難を促し、人体被害を減らしていく一方、暴れる冒険者達のもとに来たヨキ達は手分けして止めに入るが、かなり興奮しているのか全く聞く耳を持たない状態だ。
「あ、あの、あの! 暴れるのは、止めて下さい!」
「うるせぇ! 部外者は引っ込んでろ!」
「だからって振り向きざわに棍棒振らないで〜っ!」
「そんなアンタもアンタで小剣で斬りかかろうとすんなよ!」
ヨキとバンのペアはすぐ近くで武器を手に取っている冒険者二人に近付き、攻撃を交わしながら説得を試みるが逆に攻撃されて躱す事で精一杯だ。
「やめるでごじゃる! これ以上暴れたら怪我人が出るでごじゃるぞ⁉」
「うぉっ! 何しやがるこの野郎⁉」
「ニャパパァッ! なんやこれどういう状況やねん⁉」
「ニヤト丁度良い所に!
詳しく説明したい所じゃがひとまず手を貸してほしいでごじゃるよ!」
「な、なんかよくわかれへんけど緊急事態ってことだけはわかった。
おいお前ら、ちゃっちゃと喧嘩やめえや!」
一人で大勢を相手にしていたヒバリのもとに、騒ぎを聞きつけたニヤトも合流した。
最初アチラコチラで起きている冒険者同士の喧嘩に驚いていたものの、ヒバリから救援要請を受けそのまま暴れる冒険者達を止めに入る。
「ちょっと、別に喧嘩するなとは言わないけど周りへの配慮を考えて!」
「なんだ文句でもあるのか⁉」
「これは俺達の問題なんだ、口出しするんじゃねぇよ!」
「かばちも口出しもあるわよこの大馬鹿者共!
アンタ達が暴れとるせいで桶が飛んで来たりコップが飛んできたり果ては岩が飛んできたりでぶち迷惑なんよ!」
「「お、おおっふ、すみません……」」
各々の武器を手に睨み合っていた冒険者に対しては、訛り口調で説教をかますカトレアによって一気に大人しくなった。
以前誰かが言ったように、この状態のカトレアは中々の迫力なのだ。
いくら百戦錬磨と言っても訛り口調のカトレアには逆らえないと直感で感じたのだろう、大人しくなった冒険者達は渋々武器を収める。
カトレアの説教はまさに鶴の一声だとディモルフォセカは思った。
「お前達、これ以上暴れるようなら容赦はせんぞ!」
「うるせぇ! コレは俺達の問題だ!」
「部外者は口出しするんじゃねぇ!」
「その部外者が口出しする程の自体に発展させたのは、貴様ら自身だろう!」
ラピスは植物を操り暴れる冒険者達を拘束し、武力行使で冒険者達を止めにかかる。
拘束し終えたラピスは冒険者達に説教をカマスが、拘束された冒険者達は全く聞く耳を持たない。
「大人しくしろテメェら! 殴られたいのか⁉」
「ヒィッ! つ、罪喰い⁉」
「ゆ、許してくれぇっ!」
罪喰いという二つ名が功を奏したのか、ヒエンはコレまで培ってきた実力とその人相で冒険者達を脅しにかかる。
ヒエンに睨まれた冒険者達はその場で縮こまり、ヒエンに許しを請うていた。
「みなさーん、こちらへーっ!」
「急いで、向こうの方に避難してくださーい!」
マリとスズはお互い別々の方向を示しながら、周囲にいる非戦闘員達を安全な場所へと誘導する。
避難先が二箇所あるおかげか、今のところ避難誘導はスムーズに行われている。
喧嘩の仲裁と避難誘導を行うヨキ達の様子を遠くの方から鬼神の慈愛と見守っていたリース達年少組は、心配そうな表情をしていた。
「ひなんの方はスムーズに進んでますね…」
「あの調子なら問題なくおわりそうだな。
問題はヒエン達だけど……」
「ダメですね、暴れてる人達は完全に頭に血がのぼってるみたいで中々落ち着きそうにありません…」
今しがたリースが言ったように、暴れる冒険者達を抑える作業は良好とは全く言えなかった。
最初こそ話しかける形で落ち着かせようと試みたヨキ達だったが、段々と攻撃される回数が増えてきたためついにラピス以外も実力行使に出た。
「このままじゃ埒が明かない、ヨキ、こうなったら実力行使だ!」
「えぇっ! でも相手が怪我しちゃうよ⁈」
「そんな事言ったらコッチがやられちまうだろう!
どっちみち止めねぇと周りの無関係の人達も怪我しちまうよ!」
「わっわかった!
弓だと怪我させちゃうから、法術の方を使おう、∮ウィンドゥ・ウィンドゥ∮!」
「な、なんだ、おわっ!」
「と、飛ばされる…うわぁ⁉」
相手を傷つけないようにというヨキなりの配慮で、∮ウィンドゥ・ウィンドゥ∮で二人の冒険者が体制のバランスを崩した事を確認したバンが素早く冒険者二人を拘束する。
「あぁもうムシャクシャする! こちとらストレス貯まりまくりなのよ⁈」
「癒やしが、癒やしが欲しい……!」
「モフらせろぉおおおおおおおおおっ!」
「おい待ち、やめろジブンらってギャニャアアアアアアアッ‼」
「ニッニヤトーッ⁉」
一部の冒険者達のストレスが別の方向で頂点に達し、癒やしを求めた結果暴れる冒険者達を止めていた猫族のニヤトに白羽の矢が立ち、問答無用で耳と尻尾を撫で回されるという事態に陥った。
ニヤトを助けに向かいたいヒバリだったが、目の前で暴れる冒険者を取る事で精一杯だ。
「アンタ達ええ加減に暴れるの止めんさいよ!
アンタ達が暴れる度にその余波が来て回りにおる人達への迷惑になっとるのよ!
それとも何? ギッタンギッタンのしごうして上げようか?」
「「ヒェーッ! お許し下さいーっ!」」
「カトレア落ち着いて、もうボコボコにしちゃってるから!」
「止めんでディモルフォセカ、この馬鹿共はいっぺん痛い目に遭わせんと理解せんのよ!」
「いやそうだけど、確かにそうなんだけど⁉
困ったわ、一度こうなると中々止まらないのよね…」
怒りが頂点に達したらしく、勢いのままに冒険者達をタコ殴りにするカトレアを止めようと慌てるディモルフォセカに至っては冒険者達を止めるよりカトレを止める事が最優先になっていた。
「クソッ! 暴徒の数が多すぎる、これじゃあキリがねぇ!」
「我々だけでは手に余る、スズ!
冒険者でも護衛でも良い、正常に判断できる者達を連れてきてくれ!」
「「わわっわかった! ってアレ? マリは何処行った⁇」
個別に冒険者を制圧していたラピスとヒエンは、自分達だけでは対処しきれないと判断し避難誘導を終えたスズに正確に状況を判断できる冒険者か護衛を援軍として呼んでくるように指示を出した。
スズはすぐに援軍を呼んでこようとしたが、先程まで自分と同じように避難誘導に当たっていたマリの姿が見当たらない事に気付き、生命探査を使うのも忘れ慌てて周囲を見渡してマリの姿を探す。
「誰かマリ見てない? 見当たらないんだ!」
「えぇ! またマリがいなくなっちゃったのか⁈」
「本当です、マリさんの姿が見当たりません!」
「アレレ? どこいっちゃったんでしょう?」
「ミ〜?」
「盗賊の頭を仕留めたお嬢ちゃんかい?
それだったら……」
スズからマリを見ていないかと聞かれたリース達年組は、釣られるようにして周囲を見渡しマリを探すが、何処にも姿が見当たらず困惑した。
そんな時最年少メンバーの身を預かっている鬼神の慈愛の一人がマリの行き先を知っていたらしく、後方の方を指さしながらマリの居場所を教えようとするが、その前にマリ本人が戻って来た。
「皆大丈夫⁉」
「おーい大丈夫か⁉」
「助けに来たぞ! 人伝に聞いてはいたがかなり荒れてるな…」
「貴方達、これ以上暴れまわるのは止めなさい!
契約違反とみなしギルド本部へ報告するわよ!」
戻ってきたマリの背後には数十人の冒険者と護衛の姿があり、暴れる冒険者達の様子を見て同じように止めに入った。
マリの姿を確認したレイアは、すぐにマリを自分達の元に呼び寄せて何をしていたのかと問いただした。
「マリ、お前ドコ行ってたんだよ⁉
スズからお前がいないって聞いていっしゅんあせったんだぞ!」
「ゴメンゴメン、勝手にいなくなったのは謝るから落ち着いて。
止める側より暴れる側が多いからヨキ達だけじゃ対処できないんじゃないかと思って、近くから人を呼んできたのよ」
どうやらマリは避難誘導をしながら様子を確認し、先んじて援軍を呼びに行っていたらしく、姿が見当たらなかったのはそのためらしい。
「人を呼びに行く時はひと声かけてからにしろよな!」
「まぁまぁレイア君落ち着いて、でもマリさんのおかげでなんとかなりそうですね…」
「それが、そうもいかなさそうなの。
本当はもう少し来てくれる予定だったんだけど、アチラコチラで小規模な喧嘩が始まっちゃってソッチにも人員を割いてる状態なのよ」
「そんな事になってたんですか⁉」
自分達が今いる場所以外でも小規模な喧嘩が発生していると聞いた年少組メンバーは、想像よりも大変な事になっている事に驚いていた。
「それ、ほうっておいてもダイジョウブなんですか?」
「えぇ、幸いその場にいた冒険者や護衛の人達が対処してくれてるし、ここより規模が小さいから問題ないとは思うわ。
けど、そのせいで思ったように人手を集められなかったのよ」
「何言ってんだい、少数でも連れてこれただけ御の字だよ!」
「そうそう、気にする事ないわよ。
少数でも援軍を連れてきてくれたんだ、初っ端から対応してる子らからすればありがたい筈だよ」
バーナードキャラバン内で起こっている小規模な喧嘩のせいで思ったよりも援軍の人数を集められなかった事に対するマリの落込みようを見た鬼神の慈愛は、気にするなとマリを励ました。
「私、もう一度援軍としてきてくれそうな人を探してくるわ!」
「わかった、一応言っとくけどマリも十分に気をつけ…」
「ミ? ミミミミミミッ!」
「危ない! 下がって!」
「「「わぁーっ⁉」」」
「キャアッ⁉」
マリがもう一度援軍を探しに行こうとした直後、投擲用と思われる短槍がマリ達の方に飛んで来た。
幸いヒールスライムの鳴き声に反応し鬼神の慈愛の一人が気付いて年少組を強引に後方へ下がらせ、マリはその場を動かなかったため事なきを得た。
「三人共大丈夫⁉」
「は、はい! 僕達は平気です!」
「そういうマリは大丈夫なのか⁉」
「私も平気、すぐ動かなかった事が功を奏したみたい。
でもここまで攻撃が飛んでくるなんて……」
「ここもかなり危険だ、まだ残ってる人達も避難させたほうが良さそうだ。
三人も避難した方が良い」
喧嘩の余波が離れた場所にいた年少組の元まで飛んでくるほど激しくなってきたため、スズはこことは別の場所に避難したほうが良いと進言した。
スズが言ったように、援軍が来たとはいえ冒険者同士の喧嘩は激しさを増しており余波の範囲が広がり、最早暴徒と化していた。
「坊やの言う通りだね、おチビちゃん達、ここを離れましょう」
「え、でも、姉さんは?」
今いる場所から離れると言われたラヴァーズは冒険者達を止めに入っているカトレアの方を見た。
先程の事もあってか不安そうな表情をしており、無意識にヒールスライムを抱きしめる腕に力が入る。
ヒールスライムも突如身に降りかかった災難に酷く驚いたらしく、ラヴァーズの腕の中でゼリー状の体をブルブルと震わせていた。
どちらにせよ、ここにいても年少組に出来る事はないのだ。
「心配ないさ、援軍を呼んできたおかげで多少なりともヨキ達の負担は減った筈だよ」
「私ももう一度手伝ってくれそうな人達を探すから、皆は早くここから離れて」
「マリさんの言う通りです、ここにいると兄さん達の邪魔になってしまいます」
「ここは二人の言う通りにしよう、それにソイツに何かあったらケガ人が出た時の人手が足りなくて困る」
「ミ〜」
マリ達に説得された事や自分の腕の中で震えるヒールスライムに早くここから離れようよと訴える視線を感じ、ラヴァーズは不安ながらもこの場を離れる事に納得した。
「わかり、ました。
マリさんやスズさんも、あまりムチャしないで下さいね…」
「えぇ、三人も気を付けてね」
「行きましょう、ラヴァーズ君」
「さぁ、そうと決まればここから早く離れるよ」
「おチビちゃん達、慌てずしっかり着いてきてね」
鬼神の慈愛に誘導されながら、年少組は暴徒化した冒険者達が暴れる現場から離れていった。
年少組が離れた事を確認したマリとスズは、再度避難誘導と援軍要請に向かう。
「みなさーん、ここは危険でーす! 急いで避難して下さーい!」
「やっぱりそう⁉ ありがとう!」
「すみません、向こうで複数人の冒険者が暴れているんです!
止めようにも人手が足りなくて困っているので、手を貸してくれませんか⁈」
「そうなのかい? 分かった、仲間達と一緒にすぐ向かうよ!」
マリとスズの献身的な避難誘導と援軍要請のおかげもあって、暴徒と化した冒険者を止めるための人手も少しずつ増えていた。
だがそれでも暴徒化した冒険者達の暴走は止まらない。
「どうしよう、全然喧嘩をやめてくれないよ⁉」
「これは、どう見ても平行線の瞳の影響だけじゃないぞ!」
「待って! それってどういう事⁉」
「きっと平行線の瞳以外にも精神異常を起こす仙具が仕掛けられてたんだ!
そのせいで必然的に険悪なムードが続いて、冒険者同士の喧嘩が多かったんだ!」
「それじゃあ、この大喧嘩もそれが原因って事⁉」
暴徒化した冒険者達の対応をしている内に、平行線の瞳以外の精神異常を起こす仙具の存在を感じたバンから、その話を聞いてヨキは動揺した。
そして大勢の冒険者達を一気に暴徒化させる仙
具の存在に恐怖する。
仙具が何処に仕掛けられているかもわからないため手の施しようがなく、落ち着かせようにも仙具の影響を受けているためか冒険者達は全く落ち着く気配はなく、止めに入った冒険者や護衛の言葉に聞く耳を持たない。
「ど、どうしよう、仙具の影響だとしたらどうにもならない……?!」
「ヨキ、∮ピュアラファ・ピュアラファ∮を使ってみてくれ!
精神異常もある意味では汚染みたいなものだから効果があるかもしれない!」
「わ、わかった、やってみる!
∮ピュアラファ・ピュアラ∮!」
バンの進言で暴徒化した冒険者全体に行き渡るように∮ピュアラファ・ピュアラ∮を発動させ、自体の沈静化を試みる。
ヨキが発動させた∮ピュアラファ・ピュアラ∮は白く輝く風となって全体に行き渡るが、暴徒化した冒険者達が落ち着く気配はなかった。
「やっぱり効果なし⁉」
「いや、興奮しすぎて実際は効いてるかもしれない、別の刺激を与えてれば落ち着くかも!」
「退いてくれ退いてくれ! ∮ウォーター・ウォーター∮!」
バンが別の刺激と言った直後、背後から見知った声が聞こえて来た。
ヨキとバンは咄嗟に左右に別れ場所を開けると、先程まで二人が立っていた場所の後方から、凄まじい量の水が放水された。
放水された水はその場にいた者達を次々と水浸しにしていき、ヨキとバン以外の全員突然の事に驚き混乱する。
放水される水の水源は、騒ぎを効いて現場に駆けつけたケイだった。
「ケイ! 来てくれたの⁉」
「悪い、ココまで来る道中喧嘩の仲裁に入ってたから来るのが遅くなった!
全員これで頭冷やせ!」
「うわぁっ! なんだコレ⁉」
「ヒャアッ! つ、冷たい!」
法術で作られた水とはいえ白季の水は非常に冷たく、その冷たさに驚いた暴徒化した冒険者達が次々と動きを止めていく。
ケイと共に現場に駆けつけたキールが、仕上げと言わんばかりに種を周囲にばら撒いて法術を発動させた。
「∮グロウ・グロウ∮! からの、∮パルフェ・パルフェ∮!
フィオルン頼む!」
《任せて!》
「地面に花が沢山咲き始めた!」
「うわぁ、凄く良い匂い……」
キールが発動させた法術により、咲き乱れる花々から心地よい花の香が漂い始めた。
その香りを嗅いだヨキは心地よい気持ちになり、焦燥感が消えていくのがわかった。
そして風の注意精霊であるフィオルンの手助けもあり、香りはバーナードキャラバン全体に行き渡り、アチラコチラで喧嘩していた冒険者達がその香りを嗅いで落ち着きを取り戻していく。
「なんだ、この、甘いけど甘すぎない匂いは?」
「なんでだろう、凄く心地が良い気分だわ…」
「俺、なんであんな些細な事でキレてたんだろう?」
暴徒化した冒険者達も次第に落ち着きを取り戻していき、やが争う事を止めたのだった。
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