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されどやはり事件は起こる

 この世界来てから、そしてこの町に滞在すること一月と1週間が過ぎた。

 この日は、のんびり昼寝をしていたら、突然ガンガンガンと金属を打ち鳴らす音がして目が覚めた。


「ん~?なにぃ?魔物でも襲ってきたぁ?」


 そう呟いていると、部屋の扉が勢いよく開いて使用人さんが入ってきた。


「大変です!!大量の魔物の群れがこの町に近づいていて危険です!!一刻も早く避難所に避難を!!」


 うん、やっぱりそんなこったろうと思っていたよ。しかしどれぐらいいるんだ?単純な遠距離攻撃なら少しは戦力になれるかな?


「群れってどれだけなんですか?大丈夫なんですか?」

「のんびりしている場合ではありません!早く避難を」


 避難……していいんだろうか?ステータス的には弱いとは言いがたいと思うんだけど。それにレベルを上げるに丁度良さそうなんだけど。

 ただでさえレベル上げるの大変だからなぁ。……交渉してみようか、ドルガさんに。

 というわけでダッシュでドルガさんを探そう。


「あれ!?どこにいくんですか!?」


 なんか言ってるけど無視します。

 そして5分程度でドルガさん発見、交渉に入る。なんかぎょっとした表情でこちらを見てくるドルガさんと兵士の皆さん。

 分かってます!小さい女の子が1人で(ただし、普通じゃないスピードで)こんな危ない所に来てはいけないことぐらいは!!

 だが、今回わたしのわがままを貫かせてもらいます!超迷惑なのは百も承知で!!


「嬢ちゃん!?なにしてんだ!早く避難を……」

「やです」

「……やですって言われても……」

「私も連れてってください。後方支援ぐらいならいいでしょう?」

「嬢ちゃん、これは訓練じゃないんだ。実戦だ。命を落とすこともある危険もある。何が起こるか分からないんだ。だから……」

「後ろから炎弾撃ち込むだけです。威力だけならドルガさんも見たはずです。練習してちゃんとコントロールできるようにもなりましたので、味方の兵士さんたちには当てません。……ダメですか?」


 そこまで言うと、ドルガさんは悩み始めた。立派な戦力になり得るとは思ってはいるのだろう。もう一押しかな?


「きちんとドルガさんの言うことは聞きます!危なくなったら避難もします!お願いします!私も力になりたいんです!」

「……分かった。だが必ず約束してくれ。危なくなったら避難所に避難することと、余計なことをしないと」

「ありがとうございます!!」


 よし、これでレベルをあげられる!!それに何より貴重な実戦と集団戦の経験ができる!

 こうして、魔物の群れの迎撃戦の参加が決まった。

 そして、魔物の群れが目に見える所まで来た。


「よし、弓を使える奴は構えろ!……よし、打てーー!」


 ドルガさんの合図で矢が一斉に放たれる。この攻撃で何体かは倒れ後続の魔物たちに踏みつけられる。あれではさすがに生きてはいないだろう。だが、それだけだ。数があまりにもーー


「ああ、くそ。やはり効果は薄いか」

「次は私がやります!念のため気を付けてください!」

「分かった!聞こえたなお前ら!構えとけよ!」


 さぁ、どんどん打つよーー!

 内心で、そんなことを思いながら、右腕を真っ直ぐ伸ばし左手を添える。火の玉を生み出し、即座に打ち出す。それをひたすらに、繰り返す。

 最初の1発が魔物に当たり、爆発を起こす。当たった魔物はそれだけで絶命し、周りの魔物たちも爆風で大きく姿勢を崩し、向かってくる速度は一瞬だけ止まり、またもや後続の魔物たちに踏みつけられる。それを確認した私は、出来るだけ広範囲に攻撃していく。


 ……なんかだんだん弾幕ゲーのような感じがして、楽しくなってきた。炎弾を放つことになれてきた私は、左腕も伸ばして両腕で炎弾を次々と魔物たちに放つ。うりゃうりゃーー!


「……すげぇ」

「今回、俺達要らなくねぇか?」

「……気持ちは分からなくもないがそんなことは言うな」


 ……何か兵士の人達とドルガさんが言ってるけど、まぁいいや。

 そんなこんな言ってるうちに、いつの間にか魔物たちは大きく数を減らし、片手で数えられる程度にまで減っていた。そこで、私は一旦炎弾を放つことをやめる。


「……ふぅ。あとは任せてもいいですか?」

「え?あ、ああ。後は俺達で片付けるか。おいお前ら!ボケッとしてないで残りは俺達で片付けるぞ!」

「お?おおう!」


 そして、無事に今回の迎撃戦はなんの被害もなく終わった。

 町を守ることや初の集団戦で貢献できたことや、ついでのレベル上げという目的も達成できて良かったと、そんなことを思いながら。

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