幼女はこの世界をちょっとだけ知る
この町に来てから3日程たった。
この3日間である程度この世界についての最低限の常識なんかを教えてもらった。
例えばお金。小さい順から、銅貨、銀貨、金貨、白銀貨となっている。ラノベでよくあるのと同じだ。銅貨100枚で銀貨1枚分なのもテンプレだ。
国も色々あるらしいけど、とりあえずこの大陸の5つの大国を知っておけばいいらしい。
まず1つ目はこの大陸の中央にある国、クラムリッド王国でわたしがいる国でもある。ちなみに、ドルガさんの領地は北の国の最も近い場所だそうだ。
まぁ、無難なスタート地点だね。
2つ目の国は東にあるセイリアス聖国で、とある重大な役割を担っている。大分昔にきた異界人の仲間であった人が作ったとある施設を中心にして発達した国らしい。興味が湧いてくる国だ。行ってみたいかな?
3つ目は、西の国はレグランド王国という国で、カジノや観光などがたくさんある国だ。すべての国の中では最も財力を持ち、かなり大量のお金と物が毎日動いている。
その分、かなり大きな裏の面もあるため注意が必要。気付けばとんでもない事件に巻き込まれていることも割とよくあることらしい。
正直、行ってみたいような行きたくないような。
4つ目は北の方、ヴァルキニッシュ帝国という国で、簡単に言えば侵略軍事国家だ。最近は、どうやら異界人をかき集め、更なる戦力増強を図っているという。
異界人は、必ずと言っていいほど強力なステータスとスキルを持っているようで、誘拐や洗脳してでも軍部に取り込んでるとか。つまり幼女ではあるが異界人であるわたしも十分に狙われる可能性があるということだ。いやだ、この国超怖い。ガクブルガクブル。
そして最後は南
に位置するトリバラン共和国で、唯一の共和国だ。他のと何が違うのかと言うと、単純にトップが1人だけではなく複数人が治めていることだ。漁業や造船が盛んで、リゾート地としても有名だという。いつか行ってみたいな。とても楽しそうだ。
国に関しては、大体こんなものだろう。
で、次が一番わたしにとって重要。勇者と魔王についてだ。
勇者は簡単に言うと隠し職業みたいなもので、本人以外は視ることが出来ないそうだ。ただ、例外もあるらしく普通の鑑定スキルでは視えないが、それに特化したスキルならば視える可能性があるそうだ。
話がずれた。勇者という存在は、過去に何度も召喚されてきているらしい。その際は、必ず6人召喚されると言う。そして、召喚以外では勇者という存在は確認されていないとされている。
また、勇者の分かりやすい証明の仕方があり、それぞれの勇者には1つだけ特別な武器をその場で虚空から呼び出したり消したりできるので、嘘かどうかはすぐにわかるとか。
魔王の方は、2種類の魔王がいるとか。
一般的に呼ばれる魔王とは、悪魔が進化した物を呼ぶのだという。
しかし、進化する際には大量の命が必要とされているため悪魔は見つけ次第討伐される。だが、魔王に進化するととても強大な存在になり、魔物を短期間で大量に生み出し操ることができるらしい。
そして、もう1つの魔王は、どうやら勇者という職業とほとんど同じ物であるらしい。違うところは、いつの間にかその職業に目覚めているという点とそのあり方だそうだ。「魔を統べる王」ではなく「魔を滅ぼす王」という表現になるようだ。
事実目覚めた者は、異常な程魔物や悪魔を憎悪している……らしい。曖昧な表現なのは、目覚めた者が少なく、歴史でも片手で数えれる程度しか確認されていないからだそうで。
……うむ。実に面倒臭い状態だな、わたしは。ついでにいうと、勇者と魔王の職業は、レベルアップする時、ステータスの伸びが2倍になるそうだ。反面、必要な経験値も2倍になってしまうとのこと。
つまり、わたしの場合伸び幅が4倍になるが必要な経験値も4倍になってしまうということ。……大器晩成型過ぎない?
ただし、ステータスで2つか3つの値が1万超えてたら世界的な英雄クラスになるらしい。
そこでわたしのステータスを思い出してほしい!レベル1にして最低値が2000越えなのだということを!十分チート級なステータスなんだよね。見た目幼女なのに。
あと、異界人は思ってたよりいるっぽい。ただ、珍しいのには変わりがないようだけど。
この3日間で得た知識はこんな感じ。これだけ知っておけばなんとかなるとのこと。将来的にはもっと知識を蓄えておきたいが。
さぁ、今日から本格的に訓練するぞ!といっても、スキルのなんだけど。
少し意識するだけで、簡単に火が出るし、操れちゃうんだよなー。
練習と言っていいのかもわからないぐらいにできる。なので、主に制御や特性の付与についての検証をすることにしている。
……もちろんお庭でやってるよ?やらかしで火事はおこさないように。……もちろん全裸でもないよ?屋敷についたその日に、いくつか服を見繕ってくれたから。結構可愛らしい幼女用の服だけど。
「おはよう、ルナちゃん」
「あ、おはようございます」
今挨拶したのは、ドルガさんの奥さんのティラーナさんで、
2人とも元冒険者だという。ドルガさんの活躍が認められて、爵位を与えられ領主になった時にプロポーズされ結婚して今に至ると。
「こんな朝早くからどうしたの?」
「ちょっと色々1人で試したいことがありまして」
「そうなの?もう少ししたら朝食の時間だから遅れないように。
そして、くれぐれも危ないことをしないように!」
「わ、分かってますって!」
苦笑いを浮かべつつ、そう言って早足に庭へと向かった。
そういえば、この世界の言葉と文字は日本語が標準語なんだよね。
言語完全理解のスキルの意味とは一体……そんなことを思いながら。