~始まりは5才から~
初めて小説を書いてみました。
素人なのであまり面白くないかもしれませんが、
ぜひ読んでいただければ嬉しいです。
唐突すぎる始まり
ピチチ……ピチチ……。
小鳥の鳴き声が聞こえて眠っていた意識が覚醒し始める。
そして目を開けたらーーー。
一面青空が広がっていた。
「は? え?」
あれ?寝る前は確かに自室のベッドで寝ていたはずだ。
そう思い急いで上半身だけ起き上がり周りを見渡すと辺りは草原が広がっていた。
「え?なん……なんで草原にいるんだ?」
もうこの時点で軽く混乱していた。
更に何か全身に違和感を感じ自分の身体を見るとーー全裸だった。ついでに、本来股についているはずの物がなかった。
っていうか身体がなんか小さくなった気がした。
「ハイ!?ちょっ……!ナニがどうなって!?」
混乱はすでに極まっていた。
当たり前だ。一般的な男子高校生だったはずなのに、ある日突然目が覚めたら全裸の幼女の姿で草原で目が覚める。
この状況で混乱しない奴など、まずいない。
「えっと……?」
考えをまとめるのにしばらくの時間が必要だった。
そしてまさかと思いついた結論がーー
「これって、異世界転移、かなにかか……?」
というものであった。転生なのかは実際に死んだのかわからないが。
まぁ、召喚とかではないだろう。性別から変わっているわけだし。
「何がどうなってこうなったか分からんが……。とりあえず……
ステータスオープン!」
異世界物によくある魔法の言葉をいってみた。すると……
目の前に青白いパネルのようなのが現れた。
「あ、やっぱこれで出るんだ」
そんな感想を呟きながら出てきたステータスを見る。
名前 ーーーーー
性別 女
種族 ヒューマン
年齢 5
職業 ーーーーー(勇者兼魔王)
Lv 1
HP 2700
MP 3000
攻撃 2400
防御 2200
体力 2600
魔力 3200
精神 2300
敏捷 2700
ユニークスキル
炎神の加護
エクストラスキル
言語完全理解
残りスキルポイント 5000
というものだった。
うん。名前がないのはなんとなく分かるからいい。
ステータスもレベル1にしては高い気がするがそれもまぁいい。
スキルポイントがいきなり5000あるのはちょっと気になるが、それよりもものすごく突っ込みたいところがある。
そう!!職業のところだ!!
なんだ勇者兼魔王て!!完全に相反するものが兼業できるもんなのか!?いや、しちゃだめだろ!
確かに最近の異世界物には最初は勇者でも後から魔王になったり、その逆もあったりするけど!
最初から2つ揃ってんのは見たことないぞ!
……これはあれだな。絶対バレたらめんどくさいことにしかならないだろーな。頭が痛くなりそうだ。
そして言いたいのは、それだけじゃない。
見て分かっていたけど、やっぱり女に性別が変わっている。し・か・も、5才だ。完璧幼女だ。
いろいろと盛りすぎだろーが!もうどうしろってんだ……。
そんで、今全裸……。どうしよう。もうなにも考えたくない。
しかし、ここにいてもなにも始まらない。まずは、誰かに出会わなければ……。そう思い、歩き始めた。そんなこんなで最初から問題しかない唐突すぎる異世界生活が始まった。
「へくしっ」
とりあえず、服がほしいとそんなことを思いながら……。
そして歩き始めてしばらくしたあと。
さすがに寒くなり足の裏にダイレクトに伝わる小石の感触に痛みを感じ始めた頃に、道らしき場所に出た。
「ここが本当の道で誰かが通ればいいんだけど……」
ここから道なら誰かが通るのを待つか、どっちかに進んでみるか、しばらく悩んでいるとガタガタと何かの音が聞こえてきた。音がする方を見てみると馬車らしきものが目に入った。
運良く誰かが通りかかったようだ。話の通じる人だといいが。
「あ、あの、すいません!」
勇気を出し、そう声をかけてみると目の前で馬車が止まった。
御者の人がこちらを見てきたと思ったら次に馬車の窓が開き、この馬車の主であろう男性の顔がこちらを見てきた。
「なにかようか嬢ちゃん?というかなんで裸なんだ嬢ちゃん?」
2つ目の質問には答えられない。何故なら自分でも分からないから。というかどう説明すればいいんだろう。とりあえずさっくりとでいいか?
「えっと、近くの町か村まで送っていただきたいのですか……」
「んー、それ自体構わないんだが、お父さんやお母さんはどうしたんだ?何でこんなところに一人でいるんだ?見たところ魔物や盗賊に襲われた風でもなさそうだが?」
「えっと、気がついたらここにいたんです。親は……良くわからないです」
「ふぅん、分かった。俺たちもちょうど帰るところだ。そこまでは送ってやろう。名前は?」
「え?」
「名前だよ。それぐらい覚えてるだろ?」
名前……、名前か……。えーっと、ええい、もうこれでいいや!
「ルナです」
「ルナか……。俺はドルガだ。ほれ、早く乗りな」
「ありがとうございます!」
ふぅ……。良かった、話の通じる人で。そして、ホントに運がいいなわたし。……あれ?いま一人称が「わたし」になってなかった?もしや、精神の性別は肉体の性別に引っ張られるというやつか?影響出るの早すぎやしないか?
……まぁ、いいか。これから女として生きていかざるを得ないんだし。今考えても仕方がない。
「どうした?乗らねぇのか?」
おっと、少し考えすぎていたようだ。ドルガさんが、馬車の扉を開けて待っていた。
「の、乗ります!」
あわてて馬車に乗り込む幼女ことわたし。
そうしてなんとか町に行く手段を手にいれることが出来た。扉が閉まり、ガタガタと馬車が動き出した。
「とりあえず、これでも身体に巻いときな」
そういって差し出されたのは少し古びたマントだった。お礼を言って、ありがたく身体に纏わせる。
こっそり再びステータスを確認してみた。すると、
名前 ルナ
となっていた。ふむ、誰かに名前を名乗ったからステータスにも表示されるようになったのかな?
ちなみに由来は、ユニークスキルから取った。……いいのが思い付かなかったので。シンプルザベストで。
そしてそして異世界ファンタジーの要素の1つ!スキルについてみてみた。スキルポイントは5000とそこそこあったはずだ。
なにか習得出来るかな?そう思うとスキルのリストっぽいのが出てきた。早速見てみる。鑑定とかのスキルはないかな?っと、出てきた。
検索的なことができるのか?取得に必要なポイントは100。早速習得だ!
スキル 鑑定レベル1を習得しました
あ、レベル制なのか。スキルポイントで上げられる?
スキル 鑑定をスキルポイント200でレベル2にし ますか?
お、上げられるのか。じゃあ……、5ぐらいまで上げとこう。
これで、残りスキルポイントは3500…結構持っていかれるな。
あと、アイテムボックスか収納とかのスキルはないかな?
……あった。けど、高いな。2000だってさ。まぁ、今後のことを考えると取っておくべきかな?
スキル アイテムボックスを習得しました
おや?レベルがない?鑑定で見てみよう。
おお、大きさや重さなどに左右されず物を出し入れできると。時空間も特殊なため、取り出すときは入れたときの状態のまま取り出せると。かなり高かったけど、それ相応の性能だね。
残りスキルポイント1500か、とりあえずこんな感じで。
あと、ユニークスキルというチートなイメージの響きがする炎神の加護というスキルを見てみる。えーっとなになに……、まず1つ目は焔華月という刀を瞬時に喚び出したり消したり出来ると。
2つ目に、MPを消費して、炎を変幻自在に操れあらゆる場所から発生させられると。また、あらゆる効果を付与することができる。
さらには、炎熱に対して完全耐性を持ち、相手の炎耐性系や熱耐性系のスキルを完全に無視する。
……うん、十分チートだね。まだまだ不確定な部分もあるけど、強そうだ。……出せるかな?こう手のひらからボワッと。
「ひゃっ!?」
「どうした?」
「な、何でもないです……」
びっくりした!思っていた以上に簡単にできた……。
むやみに使わない様にしないと。こちとら、まだ異世界に来てから1時間たったかどうかぐらいの幼女だから。
そう思っていると、馬車が止まり御者の人が慌てた声で、
「だ、旦那ぁ!魔物が!」
「なに!出たのか!?」
あ、やっぱり魔物っているのか。って、のんびりしてる場合じゃない!?この馬車護衛らしき人がいないよ!?どうすんの!?
そう思っていたらドルガさんが、馬車から飛び出した。
え?もしかして戦うの?あ、帯剣してる。
「ブラッドベア1体か。なら、問題はねぇな。」
そう言いながら、ドルガさんは剣を抜き体毛の赤黒い熊の魔物と対峙した。と、思ったら一気に懐に入りその首をすれ違い様に一回の斬撃ではねた。そして、剣についた血を振り払い剣を鞘に戻す。
しかし、その瞬間倒した魔物と同じ魔物が飛び出しドルガさんを奇襲した。
「危ない!」
そう言うと、火球をイメージしてそれを飛ばし攻撃を試みた。その結果、炎で熊の頭を消し飛ばした。
「嬢ちゃん、お前……」
ドルガさんは、かなり困惑した顔になり、すぐになにかを確信したような顔をした。
あ、これはヤバイか……?そう思ったがドルガさんはなにも言わず馬車に戻って来て、再び馬車は走り出した。
「嬢ちゃん。もしかして『異界の者』か?」
不意に、ドルガさんに問いかけられた。
異界の者?どういう意味だ?首をかしげると、ドルガさんは苦笑しながら、
「ああ、異界の者っていうのは、全く違う世界から何らかの形でこの世界にやって来た奴らのことだ。まえの世界のままの姿から来た奴もいれば、生まれ変わってきたり、全く違う姿で来る奴もいる。異界人という呼び方が、一般的だがな。もう一度、聞く。嬢ちゃんは異界の者か?」
そう説明され、聞かれたのでコクンと頷いた。
「やっぱりそうか……。なら、しばらく俺の屋敷で面倒見てやる」
「……屋敷?ドルガさんの?」
「ああ、言ってなかったか?広くはないがここらの領主をやってんだ。そんで今向かってる町が俺の屋敷があるとこだ。よろしくな。嬢ちゃん」
そう言い終わると、馬車が止まった。
「旦那、着きましたぜ」
「さぁ、歓迎するぜ!異界の嬢ちゃん!」
……どうやらそこそこの地位の人に出会ったようだ。そう思い、馬車を降りると、目の前にはそこそこ大きい屋敷が建っていた。
こうして領主のドルガさんと出会い、わたしの物語が始まった。
……いい加減まともなちゃんとした服がほしいな、とそんなことを思いながら。
読んでいただき、ありがとうございます。
初めて書くのでそこはあしからず、です。