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再生の能力

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「!!!!?っがああああああぁぁぁああ!!!!!」


暗黒龍ダリアの前脚が俺の四肢を容赦無く叩き潰して来た。

いきなりの出来事に驚いたものの、追随する様に潰された痛みが瞬時に身体を襲い俺は絶叫する。

歯を食いしばり抗議をしようとするも、俺はその激痛を耐えるので精一杯なためダリアを睨みつけることしか出来なかった。


『言ったであろう?死にかけろと』


何でもないかのようにそう告げるダリア。

全くもって意味が分からない俺は息も絶え絶えで声をひねり出す。


「な…何の…ため…に……!」


『決まっておろう』


ダリアは吐き捨てるように告げた。



『マクスウェル、今のお前はあまりにも脆弱すぎる。故にまずはお前の肉体を作り変えるのだ』


作り変えるだと…?

俺のこの身体を…?


「じょ…冗談じゃねぇ…俺は…俺の…身体は…」


『反論は聞かぬ。まずは黙って堕ちるがよい』


言い終わると同時、ダリアは再生し始めていた俺の四肢をそのまま踏み抜き文字通り真っ平らにした。


「あがっ!!………」


追い討ちのごとく踏み潰された俺はとうとう激痛に耐え切れなくなり、脳が意識を強制的にシャットアウトしたのだった…



【暗黒龍ダリア】


『ようやく気を失ったか…』


踏み潰していたマクスウェルの四肢にかけていた力を僅かに抜く。

するとマクスウェルの持つスキル【再生】が発動し始め、潰れている四肢を再生し始めた。


なぜ我がマクスウェルを殺しかけているのかだが、我は別にこやつが憎いわけでも何でもない。

むしろ数百年振りに我の前に敵意を持たず現われた大事な客人である。

先ほどマクスウェルに鍛えると言ったのを実行しているにすぎない。

我がこうしているのにはちゃんとした理由がある。

それはマクスウェルの持つスキル【再生】である。


人間の身体の造りが今も変わらぬのであれば、疲弊や破壊された筋肉が回復した時、その筋肉や筋繊維は以前のものよりも強く強靭に再生される。

それを繰り返すことによりどんどん肉体を強化して行くことが出来るのだ。

しかし人間の回復力などたかが知れている。

完治するまでには長い時間を要することになるだろう。

では完治させるために回復魔法で治せば良いと言われるとそれは違う。

回復魔法で治った傷や怪我というのはあくまでも元の状態に戻すというものでしか無い。

つまり回復魔法では肉体は進化しないということである。

つまり肉体を強化、進化させるためには自力での再生で身体の構造を治すしか無いのである。


先にも述べたが、人間の再生能力は自然完治するまで多大な時間がかかる。

だがマクスウェルのスキル【再生】は我が見るに驚異的な回復速度であった。

瀕死の重傷を負っていたにもかかわらず、マクスウェルの身体が完治するまでにかかった時間はおよそ2時間程でしかなかったのだ。

当然、我は回復の手助けなどしていない。

マクスウェル自身の再生能力で治った身体は間違いなく我のこの住処に落とされた頃よりも強く頑丈になっていただろう。

気を失っている間にレベルも上がるというのには正直驚いたものだが…


ともあれ、こういった理由の上で我はマクスウェルを踏み潰しているのだ。


ある程度再生が進んだところで、我はまた添えていた脚に力を込め四肢を踏み潰す。

その瞬間、踏み潰されたマクスウェルの身体がビクンと反応し痙攣するが、再生のスキルによりやがてその痙攣も収まり身体を再生し始める。

痛々しく思うがこれもマクスウェルには必要な下準備である。


『今のままで鍛え始めたところで我の攻撃には耐えられぬ。まずは我の攻撃に耐えられるだけの肉体を持て』


聞こえてはいまいが、我は構わずそう告げる。


こうしてマクスウェルの肉体の再生と破壊を何度も何度も繰り返し、ようやく我の圧力に反発するだけの肉体強化が完了したのは、外で言うのならおよそ1週間が経った頃のことであった。


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