サキュバスが配下に加わった
目を開けると空は青色へと、その色を変えていた。
俺は起き上がり、辺りを見回す。
警戒を行なっていたゴーレムの足元には液体状の何かがあった。
すらいむ…?
俺はゴーレム達へと指示を出す。
「辺りの警戒をしながら俺に着いて来い」
その命令と共に木のゴーレムは立ち上がり、荒野で作ったゴーレムと土のゴーレム2体は俺へと背を向けたまま近付いてくる。
あれ?あのボロボロゴーレムは?
まぁいいか
そう思い、俺は荒野で作ったゴーレムに乗り、歩き出させる。
荒野ゴーレムが歩き出すのを確認し、俺は本を読み始める。
【ゴーレム作成に於ける基本】
【想像力も大事だが、記憶からの引用も可能
記憶から形を引用する場合、その引用したい物の名を念じる】
これは…
俺は木のゴーレムへと視線を移す。
木のゴーレムでやったな
そう思い、そのページにあるもう一つの項目を見る。
【死霊術によって使役できるのは肉の付いた死体だけでは無い。死体であればなんでも使役できる】
死体…
【例として、白骨死体を使役すればスケルトンができる。
人骨を使役する場合、その素材となるスケルトンが”生前何をしていたか“やその骨の資質等によって種族が決まる。
スケルトン種には基本的に
何も資質を持たないが、辺りの骨と合体できるスケルトン
過去に兵士や剣士をやっていた人の遺体がなるスケルトンソルジャー
弓を扱っていた人がなるスケルトンアーチャー
等がある。
剣技を扱うスケルトンナイト等も存在するが、戦力にならないので捨て駒として扱うと良い】
あれ?モンスター講座?
【スケルトンやゾンビの上位種には暗黒騎士がいるが、これはレベルが60位にならないと作成できないから気を付けて!
まぁそこら辺にいる暗黒騎士なら力さえ誇示すれば仕えてくれるけど】
なんかユルいな…この本
まぁいいか
そう思い、ページを捲ると死霊系統のモンスターが記載されているページが現れる。
ゾンビやゾンビナイト、暗黒騎士、漆黒騎士等に関する情報が記載されていた。
その中には”エルダーリッチ“という項目もあった。
俺はエルダーリッチが気になりその項目を確認する。
【エルダーリッチ
スケルトンでもあり、ゾンビでもある
生前に魔法という力を求め過ぎた大魔法使いの成れの果て
強大な魔力を保有し、凡ゆる魔法を操る
作成に必要な素材
魔法使いの死体
必要レベル:30】
なんか強そう…
つか魔法使いの死体だけで良いのか
俺は辺りを見回す。
右には森があり、左には草原が広がる。
暫くすると巨大な門が現れる。
街…?
そう思いながらも眺めていると、やがて門の間近まで来る。
隣には高速道路の受付の様な建物があり、そこには無精髭を生やしたおっさんがいた。
おっさんは驚きながらも聞いてくる。
「おい坊主、この街に入りたいのか?」
おっさんに質問された為俺はイエスと答えた。その結果として金を要求される。
ギルドカードでも構わないとは言われたが、そんな物持ってるはずもなく追い返された。
俺は右を向き、ゴーレムに歩かせる。
暫くすると門は後ろに消え、山が見えてくる。
その山から冒険者らしき人達が姿を表す。
あの防具は…戦士か?じゃああのパーティは戦士、魔術師、剣士、魔術師…いや片方は僧侶か?
目の前には紫色のローブに身を包み、如何にもな杖を握り、フードを深く被る少女と白いローブを身に纏う少女。
男陣は鎧をゴッテゴテに纏い、背に大剣を担ぐ大柄な男と、如何にも私服そうな服を着、鞘に納められた剣を腰に帯びる男がいた。
冒険者か…
俺は正直ゴーレムに乗ってて恥ずかしいが、今更隠れても恥ずいだけだよな…
俺は諦め、ゴーレムに身を任せ、進み続ける。
あの冒険者ども…俺を見るや否や笑いやがって…
俺は怒りを心に留まらせながら次々と現れる魔物をゴーレムに倒させ、ゴーレムの倒した魔物をネクロマンサーのスキルで使役し、配下を増やしながら進む。
暫くして倒れている女性を見つける。
その衣装は露出が多目で、肌が白く、悪魔の様な尻尾を生やした女性であった。
サキュバスかな?
そう思いながら女性へと近付く。
俺はその女性に声を掛ける。
「大丈夫ですかー?起きてますかー?おーい」
なんの反応も示さない女性。
俺は女性の首に触れる。
女性の首に触れると冷たく、脈も無かった。
ヤりたい
そんなスケベ染みた考えが頭を過るが、チェリーボーイな俺にはそんな事する勇気は無い。
俺はその女性を使役する。
女性は起き上がる。
その表情は虚ろであった。
「大丈夫ですか?」
再度声を掛けてみるが、応答は無い。
俺は本を開く。
俺は本を開き、目次を確認する。
3ページ目に、それはあった。
俺は3ページ目を確認する。
【死体には記憶が残る】
俺はその文字を見た途端、その文字の付近に書かれる文字を確認する。
【死体に魂を宿す事ができーー】
【知性を持つ生き物の死体からは情報を引き出す事ができる。
主である使役者が質問をすれば、経験してきた人生をも話す】
俺はそれを確認すると、女性へと質問をする。
「あなたは何故、倒れていたのですか?」
「私は凄く遠くに住んでいたサキュバスです。ですが村で禁忌とされている魔法を使い、追放され、この森に辿り着きました。ですが運悪く魔狼に出くわし、そのまま殺されてしまったのです」
魔狼…魔狼がなんなのかは分からないが、あの狼か?
それよりなんでこいつほぼ無傷とも言って良い程の外傷なんだ?
「魔狼に殺された?それがなんなのかは分からないが、それならお前は食われてるだろ」
「恐らく殺しを楽しんでいたのでしょう」
楽しむ…結構知性が高いのか?
「魔狼ってなんなんだ?」
「魔石を角の様に生やした獣です」
魔石って…w
まぁいいか、取り敢えずこいつをどうするべきか…宿屋でも借りるべきか?いや街には入れないし、仮に入れたしてもこいつはゾンビにしたんだ。どうすれば…
「サキュバスさん。質問があるんだがいいか?」
「はい、なんなんりと」
「俺はこの後どうしたらいい?街には入れないし、狼に囲まれてんだけど」
気付くと周りには魔狼が数頭見え隠れしていた。
「早くお逃げください。私が時間稼ぎをー」
サキュバスが血を吐く。
「お前なぁ…あんま無理すんなよ」
それを命令と思ったのかサキュバスは動かなくなる。
「木ゴーレム、サキュバスを守れ」
その命令と共に木ゴーレムはサキュバスへと近寄る。
「荒野ゴーレムは俺を守れ!
それ以外は狼の撃退!
俺が指示を出すと、ゾンビ化させた魔物達が周りの狼へと襲い掛かる。
大半の狼を倒した所で残りの狼が逃げ出す。
魔物達はそれを追いかけようとするが、俺が止める。
「おい荒野ゴーレム、このサキュバス乗せてやれ」
その命令と共に荒野ゴーレムが動き出し、サキュバスを乗せる。
俺が歩き出すと共に俺の使役する魔物が俺の後をつける様に歩き出す。
主人公が現在配下としている魔物一覧です
荒野ゴーレム1体
土ゴーレム2体
甲冑を着た木ゴーレム1体
角の生えた狼8頭
オーク3体
ゴブリン4体
サキュバス1人