気付いたら
大分適当
俺は寝ていた。確かに寝ていた。
ならここはどこだ?
目の前は荒野であった。
辺りを見渡すと、片手に本を握っていた。
なんの本かと思い確認する。
死霊術の使い方
頭の中を疑問符で埋め尽くされながらもその本を開く。
目次…か
ん?”転生したらまずはこれ“?
1ページ目にそんな事が書いてあった。
俺は1ページ目を捲る。
【あなたは天性の死術師です。あなたにとって命無き物は死体に過ぎません。死霊術でゴーレムすらも作れてしまいます】
再度頭の中に疑問符が無数に広まる。
【手始めに地面をゴーレムに変えてみましょう!】
【あなたの場合、動かしたい対象に触れて念じるだけで良いのです】
頭の中に疑問符を詰まらせながらも地面に手を置き、念じる。
(ゴーレム…ゴーレム…ゴーレム…)
そう念じていると、やがて地響きがしてくる。
地響きが止んだかと思うと、俺の隣には如何にもなゴーレムが立っていた。
俺はそのゴーレムに怯え、警戒しつつも本を読み続ける。
【ゴーレムができたら命令してみよう!】
何を命令すればいいんだ?
そう思いながらも俺は適当に命令する。
「手を上げろ」
ゴーレムはその命令に従い手を上げる。
俺はそれを確認すると、再度本を読む。
【後は必要になったら読むとしましょう!
この世界の知識は最低限入れてあるので御安心ください。
良い異世界ライフを】
その文字で、このページは締めくくられた。
まずはどうすべきか…異世界…
俺はなんとなく、本に書かれていた事が全て本当であると直感する。
それは推理ゲーム等により培われた経験者の勘の様に。
取り敢えず…この荒野を抜けて街に行くか?
いや…ネクロマンサーはマイナーではあるが、異世界物では大抵嫌われ者だ。でも行かなきゃダメだよな…
職業の隠蔽できればいいが。
そう思いながら俺は行進する。
当然どこに行けばいいかは分からないし、どこに街があるのかも分からないが、それでも行進する。
その後を追う様にゴーレムも歩き始める。