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魔法が廃れた世界で  作者: 姫川 小春
序章 夏休み
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思い立ったが吉日

「おい...離すなよ」

「離してくれ、道連れになるぞ」

「あぁ?何言ってんだ、助けるんだよ、必ず」

断崖絶壁。奴の手を奇跡的に掴んだ。

必ずこっちに引き戻す。

「無理だろ?諦めることも学べよ」

はぁ、とため息をついた。一瞬の焦りも見えない。なんという奴だ。死ぬのが怖くないのか。

「だから、諦めないし、離さないからな!」

今の状況では引き戻すことは愚か、掴んでいるだけで精一杯。到底、助けるなんて無理。だが、諦めることができない。

「くそ!」

「無理なんだろ?」

「そんなことねぇ!」

やめてくれ、そんなこと言わないでくれ。頑張ってるんだよ。もう少し、もう少しだけ...!

腕が痺れてくるのがわかる。そろそろ限界らしい。

崖の下は岩山になっていて落ちたら即死の高さ。

「大丈夫だ、助けられる、もう少しだ」

大丈夫でも無いし、助けられない。軽い自己暗示。

「もう、充分だ。気持ちだけでも、嬉しかった」

そう、言うと奴は...

「?!何をする気だ、やめろ!!」

持っていた、サバイバルナイフで俺の指をほんの少しだけ傷つけた。

「...った」

あ。

痛いということに意識が行き、手の力が緩んでしまった。

「じゃあな、」

「おい!待て、やめろ!」

空に舞う、奴の体。

次第に降下していき、岩山に突き刺さった。

うぅ...ぁあ。という呻き声と一緒に。ーーー

ーーー「...っ、はぁはぁはぁ」

不思議な感覚と共に意識が覚醒する。冷や汗が頬を伝うと同時に夢から覚めたことを自覚する。嫌な夢だった。

カーテンの隙間からは太陽の光が差し込んでいる。もう、朝のようだ。

時計を確認すると、すでに午前10時を回っていた。夏休みと言えども寝すぎたのかも知れない。

冷や汗を拭いて、ベッドから這い出る。

8月15日

夏休み中旬。学校からの課題が既に終わってしまっている身からすればあとの日にちは無駄、という程では無いが暇な時間ではある。

というわけで、この頃はニートの様な生活が続いている。何をする訳でもなく、ネットを眺める。そんな日々。

そんな時、ふと思いついた。

“暇だし魔術を独学しようかな”

このご時世、殆ど魔術を使う人は居ない。科学が進歩し過ぎた、と言ってもいいかも知れない。あらゆる事で便利になり、当然、魔術を使う手間も省けた。

魔術は攻撃魔法と回復魔法、補助魔法とあるが回復魔法はともかく攻撃魔法なんて物騒な物は誰も使おうとはしない。殺傷性がないとは言わない、でも殺すことは無いし、科学の力でどうにでもねじ伏せれる為、テロにも使われようともしない。

回復魔法は回復魔法で使い道はある、が。科学の力で医療が進んでいることもあり、物好きでない限り使われない。

だが、誰でも学べば使えるようになる魔術は何もする事がない、暇人にとってはとてもいいものだと思う。

早ければ、一ヶ月もあれば簡単な魔術なら使える。

思い立ったが吉日。

汗だくになった服を着替え私服になる。腹が減ってる訳では無かったので朝ごはん(?)は食べなかった。準備を整えて図書館へ向かった。

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