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　日本が第二次大戦で敗戦してから百年以上が過ぎ、2105年現在、非戦である日本の軍隊は未だに自衛隊だった。

　だが近隣諸国の脅威を拭い切れない日本は、自国を守る為、様々な兵器を開発していた。

　その中でもとりわけ画期的な開発だったのは、『体感型シュミレーション装置』だった。

　この装置は、使用した者を空想世界（ヴァーチャル・ワールド）に転移させることができ、自由に空想世界を体験することが出来た。

　だが、世界中が興味を示したのはそれだけではなかった。

　この装置の凄い所は、空想世界をより現実世界（リアル）に再現されている所だった。

　雪が降っていれば寒く感じ、硝煙の匂いが立ち込めたり、食べ物もちゃんと味が感じられた。

　つまり外界を感知する為の『五感』までも空想世界へと転移させることが出来た。

　この装置を使用することにより、実弾を用いた多人数での実戦さながらの軍事演習が出来るようになった。

　この装置に様々な分野が興味を示し、『エデン』という名のゲーム会社が、この装置を用いたＭＭＯＲＰＧ、『ファンタジーアイランド・ストーリー』を正式にリリースした。

　空想世界とはいえ、自分が魔法を使ったり、剣で魔物を倒すことが出来るこのゲームは、世界中のゲーマー達が食いついた結果、ゲーム機は即日完売された。

　そして、ゲームリリース初日、ログイン人数が30万人が達成された時、一つのお知らせにより冒険者たちが驚愕させられる事になった。

　この世界は今より、我々『scarecrow（スケアクロウ）』が神となりました。

　只今の時刻を持って、ログアウトが不可能となります。

　そして、ゲームオーバーになれば、『永遠の眠り』となりますので御注意下さい。

　この世界を出るには二つ御座います。

　一つは、このゲームの通貨で御座います５億ベルを支払う事。

　これは御一人様で５億ベルですので御注意下さい。

　そしてもう一つは、我々『scarecrow（スケアクロウ）』を倒すこと。

　これは倒した時点で、このゲームの完全クリアとなりますので、全員出られることになって御座います。

　では皆様良い旅を。

　scarecrow（スケアクロウ）とは、ＭＭＯＲＰＧにおいて、ハッキングをし、迷惑行為を行うハッキング集団だった。

　そして『ファンタジーアイランドストーリー』の世界で３０万人の人間がscarecrow（スケアクロウ）によって、命を握られることになった。