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僕の世界  作者: 架空線
1/4

告白

3000~4000文字くらいの連載で五つに分けるの予定。

ちょっと時系列がずれるところもあると思うので分かりにくいかもしれない。

私は彼の隣に並ぶと、彼のように夕陽を見た、

風が窓から入って、やけに冷たい風が頬をなでる。

彼は私を見ているだろうか、それさえもわからない、彼のほうを見れない。

静かに息を小さく吐いて、鼓動と熱をやけに感じて、なぜだか泣きそうになる。

見慣れた景色が夕焼けに染まっている。

私は平坦に平淡に、「好きです」と言った。


俯いてる子 泣いてはいない女の子。

特に可愛くないもないし、性格だって聖人君子じゃない。

取り立てて、秀でても、きっとない。

女の子は自覚していた


好きな男の子が居た

仲良くなりたくて、色々と話しかけたりもした。

彼と話す時間は増えたけど、それで彼が私を好きになるとは思っていなかった。

いや、話す度に嬉しくて、近づいてきているって思ったし、私のことを好きになってくれないかと

思わなかったわけではない、ただ私の好かれる要素というのが分からない、というより

そんなものはないんではないかと思っていたから


女の勘というにはお笑い種だが、自分の好きな人が自分をどう思っているかは

ある程度察しがつくものだ。


その日、彼が窓の外を見ていた時、

その顔にときめいた。

かっこいいとか、きれいだとか、そんなものではない。

心が震えた、感動などというあいまいなものより言葉にならない。

あのときの私の内省をどう表せばいいのか。


彼が私を好きになることはないだろう。

このまま機会をなくして、会うことも自然となくなっていく中で

自分の気持ちを伝えるだけでもと思っていたのだ。


今だと思った、そう今なのだと。


ただ景色は揺れていて、窓の外でも学校の中でもただあるがままだ。

数秒、数十秒のことだろうけど、こんな時はやたら長く。

このまま今までのように居られたならそれが一番いいなあと思った。

彼は「ごめん」と言った。

そうだろうな

と思った。


だから数秒置いて、「言っておきたかっただけ。」と平然と言った。

ただなぜか悲しかった、涙が流れた。

なにが悲しいのかわからない、どこかで期待していたのだろうか。

そうなのかもしれない。

情けない。


「嫌いじゃないからね、」と彼は言う。

分かってる、それも分かっていたのだ。そう思いながら「へー。」と言った。

自然に言えて嬉しかった。

「というか好きなんだけどね・・・」

それには私は驚いて彼の方を見た。

彼は泣いていた。


私はよく、近くにある知り合いのお姉さんの所へ行く。

小さいころからよく遊んでくれた、というか遊ばれたというか。

とてつもなく頭がいいらしい、いや途方もなくだっけ?

お姉さんはなんて言っていたっけ?

そんなことを気にするのはきっとバカにされるからいいが。

お姉さんは頭が良すぎて海外に拉致されたんだよと幼い私によく言っていた。

私が「らちってなあに」と聞くと、「むりやりかいがいにつれていかれちゃうんだよ」と

お姉さんが言って、なんとなくわるいことでかわいそうなことだと感じ、

それはひどいと怒ると、お姉さんは笑って相槌の言葉を言った。

お姉さんは気に入ったのか何度もそのことを言うと、

お姉さんが喜んでくれるのが嬉しくて、お姉さんが言うたびに怒ったものだった。


私はお姉さんの家に行って、友人や家族には話せないことを話す。

お姉さんはいつも聞くだけ聞いて、私はどう思うかを、聞いた倍くらい話す。

ありとあらゆる考えられることを話しているかのようで、私はある意味悩み事から解放されたりするし、

実際どうすべきか決めることに役立てる。

そして必ず脱線し続けるお姉さんの話は、退屈しなかった。

お姉さんは私が理解できるかとか、興味があるかないかなんて気にせず、何でも話してくれる。


その日、私は俯きながらお姉さんの家に行った。

俯きながらじゃないと歩きながら物を考えられない性質なのだ。

お姉さんにはその日のことを、彼のことを話した。

私はお姉さんにだけは彼のことを話していて、

彼のどんなところがいいかとか、彼のことを好きだなぁと思うところを話していた。

お姉さんはニヤニヤしながら楽しそうに聞いて、

でも彼は実はこんなことを考えている嫌なやつかもよ、とよく言う。

私はそんなことはないと怒るのだけど・・・それを楽しんでいる節がある。


「お姉さんならなんで泣いてたのか、分かるかなーって。」

「そんなの分からないよ。」

「そっかー、まあそりゃそうだね。」

・・・お姉さんは何か喋ろうとして、少し間を置いて。

「でも、悲しかったんじゃないかなあ。」

「悲しい。」

「そ、何が悲しいかなんてそんなことは分からないけど、人によるよ。」

「・・・」

「でもま、断られたにしろ、好かれてるのなら良かったんじゃない。」

「良かったのかな?」

「うーむ、だけど好きな子に好きって言われて、何が悲しいのだろう。」

「よかったのかな?」

「もしくは関係ないのか・・・?」

「うーん、そもそも本当に好きなのだろうか。」

「ま、考えても仕方のない。」

「もー聞いてく」「あ、そうか。」食い気味で言う。「その手があるよ。」

「あ、ついでに聞いてみるよ。」

ついで?ついで・・・ふーん。

不満そうな顔

しょうじきにこたえないとおもうなー、と棒読みでお姉さんは言った。


「お姉さんはもてた?」

「私?そりゃ見てて分かるでしょ?」

「あー」

「おいおい」

「もてた?」

「・・・もてつづけて早何年幾星霜、この話は長くなるなー」

「じゃあいいや」

「あれは私が、」

「zzz」

「そんなに?」

「来るやつをちぎっては投げちぎっては投げ、」

「出かけては食い散らかし、つまみ食い。」

「zzz」

「やれやれ」

「よくもまあそんなウソを、恥ずかしい人。」

「君は私の何を知っとるのだ何を。」

「コミュ障かつ外出は食べ歩きという悲しい性質だということは存じておりますけど。」

「私がというより、私を前にするとコミュ障に相手がなるんだよねぇ。」



「私のこと好きだと言ったのってさ、どういう意味で言ったの?」

彼はびっくりした顔でこちらを見た。

「どうって・・・」

「異性として、特別に好きって意味?」

腕を組んだのを少し前かがみにして、テーブルに着けた。

「そうだけど。照れたように微笑んだように言う。」

ふーん、もっと前かがみになって、つい顔がほころんでしまう。

「じゃあなんで泣いてたの?」

彼の顔がまっすぐ私を見据える。

ああ、なんか嫌な予感がする。

私はそうならないで、と願うように

泣かないで、と口についてしまった。

彼は目を細めて、あははと笑う、

心底おかしそうで、おかしなことを言ったかと、恥ずかしくなる

「あははは、なるほど。」

小さくなるほどと繰り返す。

なんで・・・泣いていたの。彼はゆっくりと言う。

彼は私を見つめた。

分からない。

彼は私を見つめて、ただ見つめていた。



ふーん、

つまらなそうな顔。

「つまらなそうな顔」と私は言う。

「ま、面白くはないね。」

「なんだろうなーそうかーと思って、正直ショックだった。」

「どういう意味かねー君の場合。」

「・・・両方?」

「君くらいの年齢ならいるでしょうよ。」

「理解するのと実感するのとは別なのだよお姉さん。」

「はいはい。」

「でさ。」



視線がつらい、目が合って、その意図が分からない。

分からない、わからない。何か発する、何を発する。

許されない、許されていない。誰に、彼に。

何か見ている、何を見ている。気持ち悪い。

目が合って、つながらない。


夕日が彼に当たる。

ああ、そうか、その顔は。


「何となく分かったよ。」

彼は怪訝そうな顔をする。

「でも、分からない。いや、嫌だなぁ。」

「分かった?」

「・・・ああ、聞きそびれてた、なにが悲しいのさ。ああでもほんとちょっと分かんないな、だってそうだとしたら、なんでここに今いるのってことになるし。」

彼の顔が強張って、

私は後悔した。

「・・・凄いな、どうして?そんな、いや・・・自信なくなって来たな

あはは、きっと本当に分かってるね。」

朗らかにそう言うのが、

ただ悲しくなった。


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