第9話 墨田区民と荒川区民と北区民
この物語は、足立未来高等学校に通う、栗原、五反野、牛田、垳、関屋の五人が繰り広げる、ほのぼの日常系・学園モノ小説である。(栗原シホ)
アタシは昔は踊るのが好きだった。しかし、中学に入ってからまわりの人たちに文句を言われることが多くなったため、今はあまり踊らない。腰振りダンスをたまにやるくらいだ。
それからアタシはやけ食いにはしり、今は太めの体系になってしまった。
今日もまた学校生活が始まる。アタシが教室に入ると栗原さんと牛田さんはこの前のご当地ヒーローの話をしている。五反野さんと垳さんは数学の復習をしていた。
アタシは隣のC組へ向かった。
アタシは早速C組の学級委員を探した。前の役割分担表を見てみれば『学級委員・錦糸』と書いてあった。
「すいません、学級委員の錦糸さんはどこにいますか?」
「あそこの紫髪の女子だよ」
クラスの人に教えてもらい、声をかけた。
「錦糸さんだよね、学級委員の」
「はい、あなたは?」
「アタシはB組の関屋です」
「ようこそ、笑いの絶えないクラスC組へ」
「笑いの絶えない?どういうこと」
「C組はみんなお笑いが大好き。だから常にクラスはにぎやかですよ」
「へぇ、たとえば」
するとうしろから三人の女子がやってきた。
「どうも向島です」
「曳舟です」
「鐘ヶ淵です」
「私たち墨田家です」
突然のことだったので、アタシは驚いた。
「墨田家?どういうこと」
「私たちはみんな墨田区民なんです」
「だから墨田家なんです」
「ではコントします」
「ショートコント『プロポーズ』」
(向島)「私、前からずっと思い続けたけれど、実はあなたのことが好きなの。付き合ってください」
(曳舟)「そんなんじゃダメよ代わって。私、あなたのことが好きよ。でもできればママと一緒の家がいいな」
(鐘ヶ淵)「それはおかしいでしょ!そろそろ親離れっていうのを考えないとねー、代わって。私、あなたのこと好きよ。これで毎日あなたは私の哺乳瓶2本、吸い放題よ」
(向島)「下ネタじゃないの!」
(三人)「どうもありがとうございました」
「どうだった?」
錦糸さんに聞かれたけれども、アタイは…
「微妙…」
と言うことしか出来なかった。
「まぁ、温かい目で見れば良いんじゃないかな?」
「業平さん!いつのまに!」
いつの間にやら業平さんが後ろにいた。
「あらすでに業平さんと関屋さんはお知り合いのようで?」
錦糸さんがそう言った。
次にアタシはD組の教室に入った。
前のほうを見ると『学級委員・荒川』と書かれていた。
「すいません、荒川さんは…」
「あそこの水色髪の女子だよ」
クラスの人に教えてもらった。
「荒川さんですよね、B組の関屋です」
「関屋さん、D組へようこそ!」
すると数名の生徒が集まりだした。
「私は国語担当の日暮里です」
「私は数学担当の町屋です」
「僕は社会担当の三河島です」
「私は英語担当の熊野台です」
「私は保健体育担当の千住みなみです」
つぎつぎ言ってくるがイマイチなんの意味かわからない。
「担当とか、どういう意味?」
アタシが聞くと荒川さんが答えた。
「私のクラスでは頭の良い人たちにお願いをして、それぞれ担当を分担し、それ以外の生徒の分からないところを教えていくやり方をしています」
「なるほど、お笑い組と違ってガリベン組なんだね」
「いやぁ、それほどでもないと思いますよ」
荒川さんが照れていた。
次にアタシはE組に行った。
『学級委員・王子』と書かれていた。
「あのー王子さん…」
「あっち」
教えてもらい、声をかけた。
「王子さん」
「はい、王子です」
「王子っていう間際らしい名字だから男子だと思っちゃったよ」
「よく言われます。女子なのに『王子』はおかしいと」
「アタシB組の関屋です」
「関屋さん、E組はどうですか?」
「どうって今きたばかりだから…」
「そうか、じゃあクラスメイトを何人か紹介するね」
そう言われて、アタシは赤髪の少女のそばにつれられた。
「あ、関屋です」
「赤羽です」
「赤羽さんはね、引っ込み思案でおとなしい性格よ」
王子さんが言った。
「アタシのクラスにいる五反野さんとは大違いだよね」
とアタシが言った。
「赤髪の人もいろいろだからね。男赤=熱血、女赤=脳筋、とは限らないからね」
王子さんが言った。その後、赤羽さんの席を後にした。
「関屋です」
「上中里です」
「上中里君はクールでかつ、人にやさしい。特に女子への気遣いはクラス一よ」
王子さんが言った。
「上中里です。王子さん、できれば紳士と言って欲しかった」
「次ぎ行きましょ」
とアタシたちは上中里君の席を後にした。
「お!王子様だ」
「プリンス」
と二人の男子が近づいてきた。
「ちょっと!東十条君、志茂君。それやめなさいって」
王子さんは反論するが、二人はさらにこう言った。
「女装しているだけだろう?」
「変な言い訳はよしなよ」
「何を根拠にそんなこと言っているの?証拠見せなさいよ」
王子さんが言うと、二人は小笑いした。
「見せろ」
「証拠見せろって言うんなら、脱いで証拠見せろ」
「ちょっと、何言ってるの君たちは!」
アタシが割って入った。その時…
「ちょっとこれ以上はいただけないね」
別の男子生徒が言った。その後ろには上中里君もいた。
「上中里君に神谷君」
王子さんが二人の名前を言った。
「大丈夫かい、王子さん」
上中里君が王子さんに手を差し伸べた。
「お前ら二人とも言葉には気をつけたほうがいいぞ。王子さんは正真正銘の女子だ。誰が見てもわかる」
神谷君が言うと、二人は何も言わずにその場を去った。
「ありがとう神谷君、上中里君」
二人にお礼を言った後、アタシたちもその場を去った。
「関屋です」
「田端です」
「田端さんはこのクラスのサブリーダー的存在なの。時々田端さんにクラスを任すときもあるわ」
王子さんが説明した。
「まぁ、ボクは王子さんほど前に出るタイプじゃないけれどね」
田端さんが言った。
「ボーイッシュなところがあるんだね」
とアタシは言った。すると田端さんがこう言った。
「それより、もう30分過ぎているよ」
「そうか、じゃあもうB組戻って」
と王子さんも言った。
「じゃあB組戻ります」
と、アタシはE組を後にした。
本当はF組とかも行きたかったけれどもね。
アタシが教室に戻ると、牛田さんがヒマそうだった。
「何していたの?」
牛田さんが聞くと、アタシは答えた。
「CDE組に行ってきた」
「お笑いとガリベンと王国ね」
と牛田さんが言った。
「王国って?」
アタシが聞くと、牛田さんは答えた。
「学級委員が王子様って言うウワサを聞くんだ」
「名字が『王子』なだけで普通の女子生徒だよ」
アタシが言うと、牛田さんはこう言った。
「あーあ、つまんない」
「まぁまぁ、アタシもご当地ヒーローに生で会いたかったなぁ」
とアタシは言った。
「おはよう!」
佐野先生がいつも通り教室に入っていった。
こうしてアタシたちの学校生活が始まったのであった。




