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A組の葛飾区民

挿絵(By みてみん)


 この物語は、足立未来高等学校に通う、栗原(くりはら)五反野(ごたんの)牛田(うしだ)(がけ)関屋(せきや)の五人が繰り広げる、ほのぼの日常系・学園モノ小説である。(栗原シホ)


 足立未来高等学校舎内…

「五反野さん、A組見にいかない?」

「おお垳!一緒に行こうぜ」

オレはそう答えた。

「アタシも行く行く!」

と関屋もついていくことになった。栗原と牛田はなんか話しているので誘わなかった。

「覚えている?A組は全員足立未来学園の幼小中のいずれかから通っていたんだって」

垳がそう言うと関屋が驚いてこう言った。

「ええ!そうなの」

「お前、知らなかったのかよ?オレは知っていたぜ」

オレがそう言うと、垳がこう言った。

「入学式の時、『ツマンネ』発言していたよね」

「ダメじゃん」

関屋までそう言ったのでオレはあわてた。

「オイオイお前ら、オレをはめる気か?」

と、話していたらもうA組の教室の前だった。

オレは早速A組の人を一人捕まえて、質問した。

「このA組で、幼稚園からこの学園にいる生徒はいるか?」

「それだったら学級委員の亀有(かめあり)さんが唯一ですよ」

と答えてくれた。

「幼稚園からは一人だけなんだ」

と垳が言った。

「亀有さんって、たしか入学式の時に1年代表でスピーチした、あの亀有さん?」

と関屋が聞くと…

「ええ、そうですよ」

と答えた。オレたちは早速亀有を探した。

「すいません、亀有さんってどこにいますか?」

と垳が聞くと、相手はこう答えた。

「あそこの席に座っている金髪の女子だよ」

「ありがとう」

オレは声をかけた。

「キミが亀有かね?」

「あら?どちらさまで」

と聞かれたのでオレたちは…

「オレは五反野アキ子」

「ウチは垳キミ子」

「アタシは関屋ケイ子」

と、名乗ると亀有は…

「『オレ』だなんてはしたない。『ウチ』や『アタシ』はまだましだけれども」

と言われてしまった。まあ、これにはわけがあるけどな。そう思っていると亀有はこう言った。

「ワタクシは亀有リリー。よろしくお願いしますの」

「本当に幼稚園からこの学園?」

関屋が聞くと亀有はこう答えた。

「そうでございます。ワタクシの父はコウトーグループ傘下のハピネス亀有社の社長で、母は足立未来小学校の教師をしていますの。ワタクシと妹はともにこの学園に通い続けていますの。ワタクシたち一家は亀有駅近くの高級マンションに住んでいますのよ」

挿絵(By みてみん)

「うわぁ…完全にお嬢様だ」

オレはそうつぶやいた。

「妹は今何年生?」

垳が聞くと亀有は答えた。

「中学1年ですわよ」

「じゃあ高校で一緒に通えないんだね」

と垳が言うと、亀有がこう言った。

「あなたは頭良さそうだけれども、後ろの二人は留年しそうね」

「ちょっと待て!なぜ留年しそうだと思えるんだ?」

とオレは聞いた。

「特にあなたは脳みそ筋肉っぽいから、勉強は苦手そうだと思いましたのよ」

と亀有は答えた。

「オレ、そういうイメージ?運動は得意だが、脳筋じゃないぞ!」

と言い返したが、亀有はこう言った。

「まあ、垳さんはガリベン。関屋さんはデブ。五反野さんはオレオレ詐欺。と覚えておきますわ」

「ちょっと待て!なんでオレオレ詐欺なんだ?」

オレが聞くと亀有はこう答えた。

「オレという一人称の大体のイメージですわ」

「アタシはデブじゃないよぅ」

関屋が言うが、オレはこう言った。

「大柄の人も相手によっちゃあ、太って見えるのかもな」

「大丈夫だよ、まだ気にする体系じゃないよ」

と、垳もはげました。

「ありがとう、垳さん。まだ60キロ台だし、大丈夫だよね」

関屋はそう言った。

「あなたたちはいつからの仲なのかしら?」

と亀有が聞くので、オレは答えた。

「オレと垳は小学校の時に一緒だったが、オレが今の家に引っ越すことになり、転校して別々の学校に。でもその後も何度も遊びに行っているし、高校でまた同じ学校になれた。関屋はここに入って出来た友達だよ」

すると亀有はこう言った。

「なるほどですわ。意外と長い付き合いなのね。ガリベンとオレっ娘は」

「オイオイ、変わってないか?」

とオレはツッコミを入れた。


 クラスを見渡す。さすがA組、顔見知りが多いようだ。

「ほかの人にも声かけてみようよ」

と垳が言うと関屋がある人を見つけた。

「あの二人、おもしろそうだよ」

関屋が指差す先には、二人の男子生徒がいた。

オレたちは早速話しかけた。

「よう、オレは五反野」

「垳です」

「関屋です」

すると二人は口々に話し出した。

「マジかよ、リアルで自分のことをオレって言う女子がいるのかぁ…終ってるな」

「緑髪の女子って地味な人しかいないと思っていたんだが、けっこうカワイイねぇ」

「ていうか桃髪の女子って、カワイイ人しかいないと思っていたけど、コイツはないわ」

挿絵(By みてみん)

ここでオレは二人を止めた。

「ちょっと!まずはキミたちの名を名乗れ!」

「ああごめん。これ名刺」

と、わざわざ名刺をオレたちに差し出した。

「柴又 牛太郎」「新宿 十三」

と書かれていた。

「えーと、しばまた うしたろう、しんじゅく じゅうさん…」

とオレが読み上げると…

「新宿 十三と書いて、にいじゅく じゅうぞうって読むんだ」

と新宿が言った。さらに新宿と柴又は口をそろえてこう言った。

「僕たち、中学から一緒の葛飾ーズでーす!」

「なんだ?葛飾ーズって」

オレは呆れていた。

「最寄駅はどこですか?」

と垳が言うと、二人そろって…

「柴又駅」

と答えた。すると関屋がこうつぶやいた。

「葛飾区ってたしか有名な作品が二つあるような…」

「そのとおり、だからもっと葛飾区をPRしようと思っているんだ」

と柴又。

「たとえば、葛飾ライフという観光ブックを作ったりとか」

と新宿。

「どうせならオリジナル作品つくろうよ」

「マンガ?」

「いやいや小説」

「フラッシュアニメとか?」

と二人で勝手に話し出したので、オレたちはその場を後にした。


 オレたちはふたたび教室を見渡した。二人の女子が話していた。

「お話中悪いが、キミたちの名前が聞きたい」

オレが話しかけると、二人は笑顔で答えた。まず水色髪の女子が…

「私は水元(みずもと)

続いて橙髪の女子が…

「ボクは金町(かなまち)

「ほぅ、オレは五反野」

「ウチは垳」

「アタシは関屋」

とオレたちも名乗った。

「金町もボーイッシュなのか。オレたち気が合うんじゃない?」

「そんなことないよ、ボクっ娘とオレっ娘じゃぁ、全然違うよ」

と、金町は言った。

「二人はどこから通っているの?」

と関屋が言うと、水元が答えた。

「私も金町さんも金町駅から通っているの」

「へぇ、ところでA組には葛飾区民以外の生徒はいるの?」

と垳が聞くと、金町が答えた。

「いるよ。ていうかたくさんいるよ」

「でもホームルーム10分前だから、そろそろ元の教室に戻ったほうが良いよ」

と水元が言った。

「おお、じゃあな」

と、オレたちはA組を後にした。


 B組に戻ると、早速栗原に声をかけられた。

「どこ行っていたの?」

「A組」

とオレは答えた。すると栗原はさらにこう聞いた。

「どういう人がいた?」

「亀有っていうお嬢様と、柴又、新宿からなる『葛飾ーズ』と、水元、金町という女子二人」

とオレは答えた。栗原はこう言った。

「A組も面白そうな人たちがいるね」

「そうだな」

と、こうして今日も学校生活が始まるのであった。

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