第42話 さらば足立クリーンマン
この物語は、足立未来高等学校に通う、栗原、五反野、牛田、垳、関屋の五人が繰り広げる、ほのぼの日常系・学園モノ小説である。(栗原シホ)
今日は足立クリーンマンと今年最初の活動日。
アタイはクリーンマンを待っていた。
今回は他のみんなは都合があって行けないみたいだから。
しばらくするとクリーンマンがやって来た。
「お待たせ、新年最初の活動だな!」
とクリーンマン。
「ええ」
とアタイ。
「今日は他のみんなは来ていないのか」
とクリーンマン。
「みんな用事があって行けないみたいだよ」
とアタイ。
「じゃあ、2人だけだけど行くか」
とクリーンマン。
「新年早々、アタイ頑張るぞ!」
とアタイ。
作業は順調に進み、休憩に入った。
アタイは休憩の時にクリーンマンに話かけた。
「クリーンマン。過去の思い出話でもしようか」
とアタイ。
「いいぜ」
とクリーンマン。
(栗原さん視点)
気がつけば西新井橋の近くにいた。
ここを渡ると足立区本木に入る。
「さすがにこの先にはいないかな?」
「アタイが言うまでもない」
「じゃあどこに行けば会えるのだろう?」
「あっ!」
牛田さんがあるところを指差した。見ると都営住宅がある方向から全身赤いスーツを着たヒーローが歩いてきたのだ。
右手にトングらしきものを持ち、左手にはビニール袋を持ち、背中にはリュックサックを背負っている。
一般的なヒーローのイメージとはちょっと違った。
早速牛田さんが駆け寄った。
「おぼえていますか?アタイ、1ヶ月前にあなたに一度会ったことがあるんですが…」
するとヒーローはこう言った。
「おぼえているぜ、あとキミにまだオレの名前を名乗っていなかったな」
私も牛田さんに追いついた。
「オレは足立区の美化と環境を守るため、はるばるやって来た愛の戦士。『足立クリーンマン』!」
「おぉ!ご当地ヒーローね」
私が言うと足立クリーンマンはこう言った。
「オレは郷土心が強いんだ。だからオレは足立区の美化に貢献しているんだ」
「地域のために活動するご当地ヒーロー。アタイこういうのスキ」
牛田さんはそう言った。
「ありがとう、ところでそこの子はキミの友達かい?」
と私のほうを見た。
「はい、そうです」
「はじめまして」
私は生でご当地ヒーローに会ったことがないので、ちょっと緊張気味だった。
(関屋さん視点)
駅を出てすぐそこのマクドナルドへ向かうと、そこに足立クリーンマンがいた。
「おお来たか」
アタシは早速自己紹介した。
「はじめまして、関屋です」
すると足立クリーンマンは言った。
「オレは足立クリーンマン。そういえばキミたちにはまだオレの活動の詳細を言っていなかったな」
「そう言えば」
と栗原さんと牛田さん。
「オレは基本的にゴミ拾いが主な活動なんだ。リュックには換えのゴミ袋が入っている。いわゆるボランティアだな」
と足立クリーンマン。
「すごーい!」
とアタシ。
「今日はオレの仕事を見てもらうぜ」
と足立クリーンマン。
(アタイ視点)
アタイたちは早速ゴミを見つけた。
「トングで拾ってゴミ袋へ」
クリーンマンはそう言ってスチール缶を袋に入れる。
アタイもアルミ缶を見つけて袋に入れた。
「アルミ缶とスチール缶ってどう違うの?」
アタイが聞くとクリーンマンが答えた。
「アルミ缶はアルミニウムで出来ていて、スチール缶は鋼で出来ている。ちなみに鋼は英語でSteelっていうぜ。一番わかりやすいのはアルミ缶は簡単に潰れる、スチール缶は簡単には潰れないっていうところだな」
「なるほどね」
ふと見ると向うにペットボトルが落ちている。
アタイは拾って入れるとクリーンマンに質問した。
「ペットボトルのペットって何?」
「PETとはPolyEthylene Terephthalateのことで頭文字を取ってペットと呼ばれているぜ」
と答えてくれた。
「凄い!クリーンマンはやっぱりこういう分野に詳しいんだね」
…アタイが言い終わると。
「そんな事もあったな」
とクリーンマン。
「これからも楽しい思い出つくろうね!」
とアタイ。
「ごめん、実は今回で最後なんだ」
とクリーンマン。
「え!?どういう事」
とアタイ。
「実はオレ、新しい町で活動する事になったんだ」
とクリーンマン。
「そうなの、もう会えないの?」
とアタイ。
「いや、任務が終わり次第足立区に戻るつもりだ」
とクリーンマン。
「新しい町でもヒーロー活動するの?」
とアタイ。
「あぁ、オレは向うでも名を変えて活動するよ」
とクリーンマン。
「来月から楽しみが減っちゃう…」
とアタイ。
「何言ってるんだ。キミには友達がいるじゃないか」
とクリーンマン。
「そうか、栗原さん達がいるから大丈夫だね」
とアタイ。
「オレがいなくてもしっかりやれよ」
とクリーンマン。
「はい!」
とアタイは返事した。
「それじゃあな」
とクリーンマンは立ち去った。
「ありがとう、クリーンマン。さようなら、クリーンマン」
とアタイ。
そしてアタイは家に戻る。
アタイは早速栗原さん達に電話した。
栗原さんも五反野さんも垳さんも関屋さんも残念だと言っていた。
突然のクリーンマンの新任務。
そして別れ。
あまりにも突然すぎる。
でもクリーンマンにも何か事情があるから足立区を離れなければならなかったと思う。
「クリーンマンがいなくても、栗原さん達がいるもんね」
とアタイは思ったのであった。




