第41話 去年の事(牛田・五反野)
この物語は、足立未来高等学校に通う、栗原、五反野、牛田、垳、関屋の五人が繰り広げる、ほのぼの日常系・学園モノ小説である。(栗原シホ)
先週に引き続き今回も私達の思い出話です。
「まず最初はアタイから」
と牛田さん。
(第17話より)
アタイは今日も電話の指示通りの場所で待っていた。今日は千住桜木バス停(北千住駅方面)が集合場所。
しばらくするとクリーンマンがやって来た。
「お待たせ!」
「クリーンマン、暑くないの?」
「オレは前もって暑さ対策しているから大丈夫だぜ」
「そう、アタイの友達はみんな忙しそうだったからアタイしかこれなかったけれど、2人でも大丈夫だよね?」
「おう、1人より2人。人1人多いだけで助かるぜ」
アタイたちは早速ゴミを見つけた。
「トングで拾ってゴミ袋へ」
クリーンマンはそう言ってスチール缶を袋に入れる。
アタイもアルミ缶を見つけて袋に入れた。
「アルミ缶とスチール缶ってどう違うの?」
アタイが聞くとクリーンマンが答えた。
「アルミ缶はアルミニウムで出来ていて、スチール缶は鋼で出来ている。ちなみに鋼は英語でSteelっていうぜ。一番わかりやすいのはアルミ缶は簡単に潰れる、スチール缶は簡単には潰れないっていうところだな」
「なるほどね」
ふと見ると向うにペットボトルが落ちている。
アタイは拾って入れるとクリーンマンに質問した。
「ペットボトルのペットって何?」
「PETとはPolyEthylene Terephthalate(ポリエチレンテレフタレート)のことで頭文字を取ってペットと呼ばれているぜ」
と答えてくれた。
「凄い!クリーンマンはやっぱりこういう分野に詳しいんだね」
アタイが言った直後にクリーンマンは近くに捨てられていたタバコの吸い殻を拾って袋に入れた。
「クリーンマンはタバコの起源知っているよね?」
「それはオレも知らん」
「じゃあいつものフリー百科事典で調べよう」
…クリーンマンも知らないものがあったのね。
牛田さんが言い終わると…
「確かにそんな事あったな!次はオレだぜ」
と五反野さん。
(第36話より)
「恋人といる時の雪って、特別な気分に浸れるんでしょうね」
と粕壁。
「オレら5人は彼氏いないからな…」
とオレ。
「同じくこっちの3人も」
と粕壁。
「そうか」
とオレ。
「でも五反野さん。彼女はいるでしょ」
と粕壁。
「ちょ!オレにそんな趣味ないぜ!」
とオレ。
「え?友達を通り越して恋人関係でしょ」
と粕壁。
「違うから!第一誰の事言っているんだ?」
とオレ。
「そりゃあ、栗原さん・牛田さん・垳さん・関屋さんの4人だよね」
と粕壁。
「オイオイ!四股かよ」
とオレ。
「どの奥さんが五反野さんにお似合いかな?」
と粕壁。
「百合夫婦はごめんだぜ!」
とオレ。
「あら、良いじゃない」
と栗原が後ろから声をかけた。
「栗原!」
オレは驚いた。
「末永く幸せになろうね、五反野さん」
と栗原。
「ちょちょちょ!待てって、栗原どうしたんだよ急に!」
とオレ。
すると後に垳も居た。
「垳!栗原と粕壁を何とかしてくれよ」
とオレ。
「ウチ、良い奥さんになれるように努力するから心配しないでね。未来のウチの旦那さん」
と垳。
「オイオイ!垳までどうしたんだよ。らしくないぞ!」
とオレ。
「ほらほら、いつの間にやら『五反野ハーレム』が出来上がっているぞ」
と粕壁。
「うわぁ!もうやめてくれ」
とオレ。
…牛田の悪い影響を受けたのか、栗原と垳。
と思った。
「そして昼ドラさながら、ドロドロな関係になるフラグかな?」
と粕壁。
「違うからな!」
とオレ。
「皆で結婚しちゃえば問題ないよ!」
と栗原。
「栗原さんの言う通り。5人の結婚生活が待ち遠しいなぁ」
と垳。
「オイオイおかしいぞ!」
とオレ。
「あ、丁度良い所に越谷さんと草加さん」
と粕壁。
「さっきから聞いてましたよ。『五反野ハーレム』ですって」
と越谷。
「お幸せに」
と草加。
「お前らまで!」
とオレ。
「そっちが『五反野ハーレム』ならこっちは『粕壁ハーレム』だぞ!」
と粕壁。
「えぇ!」
と草加。
「聞いてないよ…こっちも百合夫婦なんて」
と越谷。
「良いじゃないか」
と粕壁。
「良くないです」
と越谷と草加。
「オレも困るぜ」
とオレ。
「良いじゃない、百合百合していけば」
と栗原。
「百合こそ最高」
と垳。
…駄目だこいつら…早く何とかしないと…
とオレは思った。
五反野さんが言い終わると…
「うわぁ!そんな事あったんだね」
と牛田さん。
「知らなかったです」
と関屋さん。
「冗談ですよ」
と垳さん。
「本気で言っていないですよ」
と私。
「ノリノリだったじゃん」
と五反野さん。
「五反野ハーレムっていいね」
と牛田さん。
「同性愛に目覚めたわけじゃないですから」
と垳さん。
「まぁまぁ、今日はこのへんで終わりにしましょう」
と私。
「これで全員言い終わったからね」
と関屋さん。
「じゃあまた月曜日ね」
と私は4人を見送ったのであった。




