表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/50

第40話 去年の事(栗原・垳・関屋)

挿絵(By みてみん)


 この物語は、足立未来高等学校に通う、栗原(くりはら)五反野(ごたんの)牛田(うしだ)(がけ)関屋(せきや)の五人が繰り広げる、ほのぼの日常系・学園モノ小説である。(栗原シホ)


 年が明けた。

「あけましておめでとうございます」

と私。

「おめでとうございます」

と五反野さん達。

今日はみんな私の家で冬休み終了前の集まりだ。

「今年も西新井大師で初詣に行ったぜ」

と五反野さん。

「今回は5人でね」

と垳さん。

「アタイも初詣は毎年西新井大師だからね」

と牛田さん。

「アタシも」

と関屋さん。

「みんなそうなんだ」

と私。

「そうだ、今日は去年の話しようよ」

と私。

「いいね」

と垳さん。

「じゃあまず栗原からな」

と五反野さん。

「じゃあ私の去年の話は…」

(第1話より)

席に座った私たちは次々と入学式のことを話し出した。

まず、五反野さんが…

「校長先生の話、長かったねぇ。20分もかかったんじゃないかな?」

「いやいや10分位だったよ」

と垳さんが言うと、私が…

「でも、いろんなエピソードも聞けたし良かったじゃない?」

「たしかに、深い話だな…」

五反野さんがつぶやいた時。

「みなさんおはようございます!」

クラスを誘導したあの若い先生が入ってきた。

「1年B組担任、佐野(さの)です。今日からよろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

クラス全員が声をそろえて言った。


(第4話より)

 放課後、誰もいない備品室に私と五反野さんと垳さんと関屋さん四人が入っていくと、牛田さんが待っていた。

「ごめんね皆。この秘め事を知った人たちは皆アタイからはなれていってしまった過去があるから、なかなか話せなかったんだ。でも中川(なかがわ)先生から皆のことを聞いて、大丈夫かな、と思ったんだ」

「つらい過去があったんだね」

と垳さん。

「オレたちちょっと無神経すぎたかもしれないな」

と五反野さん。

「アタシも過去嫌なことあったし、その気持ちはわかるよ」


挿絵(By みてみん)


と関屋さん。

「大丈夫、どんな秘め事でも受け入れるから」

と私。そうしたら牛田さんは…

「ありがとう皆、実はアタイは皆と違う感覚があるんだ。その感覚っていうのは恋愛の感覚なんだ」

「つまりどういうことだ?」

と五反野さんが言うと、牛田さんがこう言った。

「実はアタイは…レズなんです」

「えええーーー!!!」

三人が驚いていたが私は…

「レズって何?」

と聞いた。私が『レズ』の意味を知らなかったからだ。

「正式名称『レズビアン』とは、女子の同性愛のこと」

と垳さんが答えた。

「つまり男子でいう『ホモ』と一緒か」

と私が言うと、牛田さんは…

「皆レズと聞くと大体、ガチレズのイメージしかないから、それで敬遠しちゃう」

「つまりは軽いレズもあるってことか」

と五反野さん。

「大丈夫よどんな秘め事でも受け入れるって言ったじゃない」

と私が言うと、牛田さんが…

「ありがとう!レズを受け入れる人なんて今までいなかったからー」

と、私に飛びつき私たちは抱き合った。


 私が言い終わると…

「あったねそんな事。じゃあ次はウチね」

と垳さん。

(第7話より)

ふと思えば、埼玉県八潮市垳は全国唯一の地名だ。ウチの名字もまた、全国でもめずらしい名字だと思う。だからウチは『垳』という字をもっと多くの人に知ってもらいたいと思う。

どうしたら良いかはわからないけれど。


 ウチはまず垳川に向かった。小川ではあるがゆえにこの先は東京都足立区とはだれも思わないだろう。県境を示す看板で気づいてもらうパターンも多い。

垳川は『垳』という字を多くの人に知ってもらうためには最適なものだ。しかし、水質がとても良いわけではないのでアピールが難しい。


 そこでウチは神明・六木遊歩道の存在を利用しようかと思う。

名前の通り足立区神明・六木にある遊歩道で、垳川に沿ってつくられている。ついでに言うと垳川の通る地名は、埼玉県八潮市垳・浮塚、東京都足立区神明・六木。この四つの地名から『垳』が選ばれたのはウチにとっては非常に良いし、神明・六木も川沿いの遊歩道名になっているし、ある意味この地域の特色が出ていると、ウチは改めて思った。

 垳さんが言い終わると…

「そんな事があったんだね、じゃあ次はアタシ」

と関屋さん

(第13話より)

北千住駅で二人と合流した。

「関屋さん、こっちこっち!」

と栗原さんと牛田さんが呼んでいた。

「やっと足立クリーンマンに会えるんだね」


挿絵(By みてみん)


アタシが言うと、牛田さんが言った。

「足立クリーンマンがアタイのケータイに電話してどこに行けば良いか伝えてくれるんだよ」

「それは凄い」

とアタシ。

「足立区の美化に貢献しているとか言っていたよ」

と栗原さん。

「だからクリーンマンなのか」

とアタシ。

ピルルル…

牛田さんのケータイが鳴った。

「あ、たぶんクリーンマンからだ。…もしもし」

「もしもし、牛田さん。オレはこれから牛田駅に向かうけれど、行けそうか?」

「行けるよ」

「じゃあ3人とも駅前のマクドナルドに来てくれ」

「はい」

電話が切れた。

というわけで、アタシたちは牛田駅まで行くことになった。


 駅を出てすぐそこのマクドナルドへ向かうと、そこに足立クリーンマンがいた。

「おお来たか」

アタシは早速自己紹介した。

「はじめまして、関屋です」

「そういえばキミたちにはまだオレの活動の詳細を言っていなかったな」

と足立クリーンマン。

「そう言えば」

と栗原さんと牛田さん。

「オレは基本的にゴミ拾いが主な活動なんだ。リュックには換えのゴミ袋が入っている。いわゆるボランティアだな」

と足立クリーンマン。

「すごーい!」

とアタシ。

「今日はオレの仕事を見てもらうぜ」

と足立クリーンマン。


 空き缶や紙くずなどを次々とトングみたいな物で拾い、ビニール袋に入れていく。

以外にも仕事は速いものだ。とアタシは思った。

30分で北千住駅付近まで来た。

「キミたちもよく着いてきたな。じゃあ休憩にするか」

というわけで路地裏にあった公園のベンチに座った。


 そのあとは荒川河川敷までゴミ拾いをして行った。

「そろそろオレは行かなきゃいけないからココでお別れな」

と足立クリーンマン。

「もうお別れなの」

とアタシが言うと。

「オレにもいろいろあるんだよ。じゃあまた来月な!」

と足立クリーンマンはゴミ袋をひとつにまとめて縛って、去って行った。

「やっぱ、カッコイイよね!」

と栗原さんと牛田さんが言っていた。


 北千住駅に戻ったアタシたちはまず栗原さんと別れて、次に牛田駅で牛田さんと別れた。


 …関屋さんが言い終わった。

「今日はもう遅いから来週も去年の話しようよ」

と私。

「そうだねアタイも思いであるし」

と牛田さん。

「じゃあまた来週ね」

と私は4人を見送ったのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ