第29話 卑劣な3人組
この物語は、足立未来高等学校に通う、栗原、五反野、牛田、垳、関屋の五人が繰り広げる、ほのぼの日常系・学園モノ小説である。(栗原シホ)
前回、オレ達のクラスに川口、安行、鳩ヶ谷の3人が新しいクラスメイトとして入って来た。
しかし、この3人は不真面目でしかも牛田がレズであることまで知っていたのだった。(五反野アキ子)
私達5人は動揺を隠せないでいた。
「私達はどうすればいいの?」
と私が聞いた。
「簡単だよオレらの嫌がらせに対して先生に言いつけなければいいんだよ」
と川口君が言った。
「そんな…それじゃあ」
と垳さん。
「言いつけた時はボクらはみんなに牛田さんのヒミツをバラすからな」
と安行君。
「ふざけやがって!」
五反野さんがキレた。
「もしくはアナタ達が牛田さんとの縁を切るか」
と鳩ヶ谷さん。
「そんな事出来るわけないでしょ!」
と関屋さん。
「とにかく約束をまもれれば、牛田さんのヒミツはまもれるぜ」
と川口君。
「じゃあヨロシク!」
と安行君が言い、3人は行ってしまった。
どうしたら良いのかわからない中、牛田さんが言った。
「ごめん…みんな。アタイの為に…」
「守るのは当たり前じゃない」
と私。
「そうよ、ウチらは仲間だもん」
と垳さん。
「オレらがいるから大丈夫だぜ」
と五反野さん。
「でも嫌がらせってどんなことだろう?」
と関屋さん。
「嫌な予感がする」
と私。
翌日。
この日から地獄のような日々が始まった。
私達5人が教室に入ると、川口君ら3人が待ち伏せしていた。
「よぉ、貧乳に」
「豚に」
「難読名字さん」
と川口君と安行君と鳩ヶ谷さんが順番に言ってきた。
「な…なんだって!」
と五反野さん。
「こっち来いよ」
と川口君が言った。
そして私達は空き部屋に連れて行かれた。
まず最初は川口君が五反野さんに対して。
「オイ貧乳!本当に女か?女装じゃないだろうな」
「何ふざけたこと言ってんだ!」
五反野さんはすぐ言い返したが、川口君はこう言った。
「女には見えないけど?」
「うっ!」
五反野さんは青ざめた。
「五反野さん…」
私が言いかけた。
「うう…」
五反野さんはもう涙目だった。
一方、安行君と関屋さんは…
「雌豚さんよ、オラァ!」
安行君は関屋さんを蹴り飛ばした。
「うう!」
関屋さんはその場に倒れこんだ。
「コイツの上に乗るのはのは気持ちいなぁ」
と安行君は関屋さんの上に乗った。
「うぐ!」
関屋さんはその後も上に安行君が乗り続けたが、耐えた。
鳩ヶ谷さんと垳さんは…
「ねぇ、アナタの名字は難読なんだよ。捨てちゃえば?」
と鳩ヶ谷さん。
「!!」
垳さんは青ざめた。
「どうする、両親を離婚させて母方の名字を名乗るとか?」
と鳩ヶ谷さんが言ってきた。
「そんな事…出来ないよ」
と垳さん。
「ねぇ、なんとかなんない?」
と鳩ヶ谷さんが詰め寄る。
私と牛田さんはただただその光景を見ていることしかできなかった。
…お昼休み。
牛田さんが教室を出て行くのを私は見逃さなかった。
こっそり私達4人は牛田さんの後を付いていくと、屋上に来た。
「牛田さん、どうしたの?」
と私は聞いた。
牛田さんは答えた。
「みんなを楽にさせたい。だからアタイは…この身を…」
「ダメだよ!そんな事」
と私。
「いいよ、これ以上生きてても…みんなを不幸にするだけだよ」
と牛田さん。
「そんなこと無いよ!」
と私。
「オレも…もう辛いわ…」
と五反野さん。
「アタシも」
と関屋さん。
「ウチら、死ぬ時は一緒だよ。だからウチらと一緒に死のう…」
と垳さん。
「みんな何言っているの!そんなのダメだよ!」
と私。
「でもこんなのがずっと続くと思うと…」
と牛田さん。
「心が折れちゃ、向うの思う壺だよ!」
と私。
「オレ…もう少し耐えてみる」
と五反野さん。
「ウチも」
と垳さん。
「自信はないけれど」
と関屋さん。
「みんな、アタイの為に…ごめん」
と牛田さん。
「牛田さんが謝ることないよ」
と私。
翌日。
また私達は川口君らに呼ばれた。
五反野さんは昨日の垳さんみたいにイヤミを川口君に言われていて、垳さんは昨日同様鳩ヶ谷さんからイヤミを言われていて、関屋さんの上に安行君が馬乗りになっていた。
3人が空き部屋を去った後、牛田さんは五反野さん達の所に駆け寄った。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…」
と牛田さん。
「謝る必要はないぜ」
と五反野さん。
「ウチら、牛田さんの為にも耐えるわ」
と垳さん。
「うう…」
関屋さんはまだダメージが残っていた。
さらに翌日。
今度は3人で関屋さんをいじめてた。
「あまりにもひどいぜ」
と五反野さん。
「でも、止めるすべはない…」
と垳さん。
「ごめんなさい…」
牛田さんは今にも泣きだしそうだった。
「もう嫌!」
関屋さんはそう言って空き部屋を飛び出した。
「あの豚女、逃げたぜ」
と川口君。
「追いかけなきゃ!」
と牛田さん。
私達4人は関屋さんを追いかけた。
しかし、目の前に川口君らが立ちふさがった。
「どけ!」
五反野さんが言った。
「そうはいかないぜ」
と川口君。
お互いにらみ合う中…
「うわ!あの雌豚、逃げ足速いな。もう校門出て行ったぜ」
と安行君。
「!!」
確かに関屋さんは住宅地の中へ消えていった。
早く連れ戻さなきゃ。
焦る思いが止まらないのであった。




