第26話 足立クリーンマンは垳さん?
この物語は、足立未来高等学校に通う、栗原、五反野、牛田、垳、関屋の五人が繰り広げる、ほのぼの日常系・学園モノ小説である。(栗原シホ)
今日は待ちに待った足立クリーンマンのお手伝いの日。
アタイは北千住駅で待っているようにとクリーンマンから電話で言われたので待つ。
栗原さんがやって来た。
「お待たせ牛田さん」
「ううん、今来たところ」
そして…
「牛田さん、栗原さん、お待たせ」
垳さんもやって来た。
実はこのあいだ、騙すような形とはいえ誘うことに成功したのです。
「それで、一体何の用事?」
と垳さん。
「聞いて驚け!今日は足立クリーンマンのお手伝いの日なのだ!」
とアタイ。
「え?」
と垳さん。
「もちろん垳さんにも参加してもらうんだから!」
と栗原さん。
「ウチ、興味ないって」
と垳さん。
「顔見るだけでも良いって!」
とアタイ。
「ねぇ、電話から5分以上経っていない?」
と垳さん。
「そう言えばそうかも」
とアタイ。
「じゃあウチは帰らせていただきます!」
と垳さん。
「え?ちょっと!」
と栗原さんが止めようとした。
「興味ないって言っているでしょ!」
と垳さんは北千住駅の中に入って行った。
「残念!」
とアタイ。
「あんな事言う垳さんは珍しいなぁ」
と栗原さん。
「それにしても遅いなぁ」
とアタイ。
…5分後。
「あ!クリーンマンだ」
とアタイ。
「待たせてスマン!ちょっと野暮用があって…」
と足立クリーンマンが言いながらこっちへ来る。
「あ!大丈夫ですよ。それより始めましょう」
とアタイ。
「おう!じゃあ一仕事行きますか!」
とクリーンマン。
「オー!」
とアタイと栗原さん。
今日は西口を中心的にやった。
「今回もありがとう。助かるよ」
とクリーンマン。
「本当はもっと人集めたかったんだけどね」
とアタイ。
「でもいないよりマシだよね」
と栗原さん。
「そうだぞ。数がすべてじゃないんだ」
とクリーンマン。
「そうね」
とアタイ。
…その後もゴミ拾い活動は続く。
「この辺はキレイだね」
とアタイ。
「きっとオレ達以外にも清掃活動をしている人達がいるんだろう」
とクリーンマン。
「そうであるって、私信じている」
と栗原さん。
「さぁ続けようぜ!」
とクリーンマン。
…9月に入ってはいるけれど。
「まだ少し暑さが残っているよね」
とアタイ。
「そうだな。まだまだ厳しい季節だな」
とクリーンマン。
「早く涼しくなってくれないかな?」
と栗原さん。
…そして最終的には大通りまで来た。
「今日はこの辺にしておこうか」
とクリーンマン。
「ええ、じゃあまた来月」
とアタイ。
「じゃあな」
とクリーンマンは去っていく。
…その後アタイ達は北千住駅に戻る。
その道中。
「ねぇ、クリーンマンなんだけどさぁ」
と栗原さん。
「何?」
とアタイ。
「垳さん何じゃないのかな?って思うんだ」
と栗原さん。
「ええ!?」
アタイは驚いた。
「だって、垳さんがいなくなってからクリーンマンがやって来たんだもん」
と栗原さん。
「でも声が男声…」
とアタイが言いかけた。
「垳さんなら低い声も出せると思うよ」
と栗原さんが言った。
栗原さんと垳さんは幼馴染だ。もしかすると本当の事かも知れないし…。
「解った。じゃあこの事はアタイと栗原さんだけの秘密よ。垳さん本人には絶対に言っちゃダメだよ!五反野さんや関屋さんにも内緒ね!」
とアタイ。
「解った。約束する!」
と栗原さん。
「駅に着いたし、今日はこのへんで」
とアタイ。
「うん、またね」
と栗原さん。
…こうして栗原さんと別れた後、アタイは電車で牛田駅、そしてそこから歩いて家に帰った。
…でも垳さんには見えないなぁ。雰囲気が。
どう見ても男性。口調も体系も。
仮に垳さんだとしても、胸はどうするの?
モヤモヤするなぁ…
でも栗原さんが言っている事も合っているかも…
…とアタイは少し足立クリーンの事を考えていたのだ。
…翌日。
アタイは栗原さんに電話した。
「もしもし」
「もしもし栗原さん?やっぱり垳さんには無理だと思うよ。だって垳さんは貧乳じゃないし、ごまかせきれないよ?」
「それだったら『晒』を巻けば良いんじゃない?」
「何ソレ?」
「胸に巻く布だよ。それさえあれば胸を隠すことが出来るわ」
「本当か!じゃあ垳さんでも可能だね!」
「その通り!可能性は0じゃないよ」
「うん、でもそのうち向うから言ってくれるよ」
「うんじゃあね」
「じゃあね栗原さん」
電話を切る。
…足立クリーンマンは誰だろう?
それはまだ誰にも解らないのであった。




