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晴れた日の少女の記憶  作者: 春音
2/3

-嫉妬と叫ぶ少女-

 朝。避けようとしても避けることのできないことである


「おはよー」

「おぅ、おはよ」


 こんな挨拶。もう何回聞いてきただろうか

少し曇っているものの、太陽は輝いていた

 まだ7月だというのに少しばかり暑かった


目の前を幼馴染の小鳥胡桃が通り過ぎていくのが見えた

    


「お、胡桃。おはよう」


おれは不意に、声をかけてしっまた

 それに気づいた胡桃は挨拶を返す


 「あ、連!おはよう!」


 こんなあいさつも、もう何度目だろう・・・ 

 

 幼馴染である「コトリクルミ」は、その透き通った瞳と、整った顔立ち

そして学年トップクラスの成績の持ち主であった

それのせいだろう。彼女は周りの男子の目を釘付けにしていた


 目立ちたいわけでもないのに、胡桃も大変なんだな、なんて思ってしまった


「なぁ、胡桃」

 「どうしたの?」


 俺は何を考えていたのだろうか


 「どうせなら一緒に教室行こうぜ」


 なんて言ってしまった

普段はこんなこと言いもしないのに

胡桃も驚いたのだろうか。その場で軽く固まっていた


 「胡桃?」

 

 「あ、ごめん。ぼーっとしてた。」


 なんだ、そんなに俺が言ったことが変だったか

 

 「うん、一緒に行こうか」


 なんて言って、彼女は微笑んだ

周りからは、なんだ。嫉妬したような声が聞こえる。


 「おい、あいつ。一緒に教室行こうなんて言ってあがるぜ」

 「あんなやつより、ぜってぇ俺のほうがいいって」


 面倒な奴らだ。いつもそうだ

 ただ、幼馴染に挨拶するだけで

 

 嫉妬、嫉妬、嫉妬


 毎日。嫉妬の声が後を絶たない

 もう慣れている


 けど俺は、こんな世界なんて、なくなればいい

そんな風に、いつからか考えるようになっていた


 大して面白くもない学校

学校という檻に閉じ込められる毎日

 そして、その檻の中で、授業なんて。実につまらなかった


 放課後。


 帰るころになって、急に雨が降り出した

雷も鳴っている

 しかし、そんなこと気にしてなどいなかった

俺は颯爽と帰宅準備し、家に帰って行った

家の前まで来て思い出した


 「やべ、今日は新しいゲームの発売日じゃねぇか」


 慌てて部屋から財布を取って、自転車で常連のゲーム店へ向かった

早くやりたかった連は裏道-細い路地へ入って行った

 あと少し、というところで突然叫び声が聞こえた


 「誰も私を見てくれない!そんな世界なんてなくなればいいんだ!」


 いったい誰が叫んでいるんだ

そう思った連は、ゲームのことを後回しにして

叫んだ人を、探すことにした。

 雨や雷はより一層、強くなっていた


 「誰なんだ、さっきの叫び声!」


 探しても見つからない-

結局、見つからなかった   

今日は金曜日・・・ 

 

 「明日も探そう」


 とりあえずゲームを買い、いったん探すのをやめた

きっと明日になれば見つかるはず

そう思って彼は寝てしまった


 



 

 

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