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~某月某日、とある者の独白~

 世界ははじめから真っ暗だった。

 行く先もない。戻る場所もない。ただ茫漠と、色のない世界がどこまでも続く。

 この地平に同じ存在はなく、果てのない闇だけを抱えて、いつまでとも知れない命を生きる。それだけだと思っていた。


 けれど、またこの世界に異質な者が現れたという。闇の色を持つ唯一無二の存在。自分と似てひとりきりの、けれど決して同じではない存在。


 真っ暗な世界に色が付く。意志が、欲が、胸に灯る。


 ――会いに行こうか。


 平坦な闇から抜け出して、かの存在に(まみ)えたなら。世界は変わるだろうか。運命は変わるだろうか。


 何も変わらなくてもいい。ほんの一時、自分の孤独が消えるなら。


 重たい身体を起こし、宙を仰ぐ。冷えた空気が頬を冷やし、はるか遠い夜空に青白い月が光る。もう、冬の訪れが近いことを肌で感じた。


 かの者は、触れれば温かいだろうか。

 過去に見た漆黒の瞳を、触れた体温を思い返して、そっと目を閉じる。


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