情報収集してみよう
リビングでの自己紹介会の後、いろいろと検証した結果、分かった事がいくつかある。
① 王子たちは所謂攻略対象と呼ばれる者達で、差と質の違いはあれど最初から俺に対して多少の好意を持っている。特に尻軽は危険
② ここは流星ハウスと呼ばれてる合宿所みたいな場所で、ハルトが寮長みたいな立場にある。
③ で、これが一番大事なんだが、俺の思考回路が何だか乙女になっている・・・という事も判明した。
自室で、部屋の中をあさっていたときに判明したことだ。
段ボールから出てきたぬいぐるみが物凄く可愛く感じられたりとか、部屋の片づけを手伝ってくれる王子にドキッとしたりとか。エトセトラエトセトラ
そう思う瞬間は自然で何とも思わないんだが、少しして自分の思考を思い返すとゾワッと寒気がした。やべーなぁ、俺。
この世界に染まるとヤバい感じがヒシヒシとする。
「ルナちゃん??」
「あっ、ごめんなさい」
部屋の片づけの途中で自分の思考に悶々としていたら、開けっ放しのドアの前を通りかかった仙道(尻軽)が俺の名前を呼んだ。
つい、反射的に謝る俺。何に謝ってんだろ・・・・。
気付いた事その④だが、女言葉がスラスラ出る。うん、キショイ
「何で謝るのさ~」
クスクス笑う仙道に頬を赤く染め(無意識の反応だ。他意はない)、俯く俺。
おぉぉぉぉい!!戻ってこい、俺!!!!!!!やめろ、やめてくれぇぇぇえ!
悶絶。自分の反応があまりにも女の子すぎる。心はオトコノコなのに!!
「可愛いなぁ、ルナちゃん」
「せっ・・・仙道さん・・・」
部屋に入ってきて俺の頤を掴む仙道に、声が戸惑う。
待て、尻軽。話せば分かる。落ち着け、落ち着くんだ!!
俺が落ち着け。と言わんばかりの狼狽ぶりを心の中で発揮していると
「こら、剣。流星さんが困ってるだろ。やめろ」
枝垂(お兄ちゃん)がスパーンッとスリッパで尻軽(仙道)・・・おっと、逆になっちまった。を殴り飛ばして俺からひきはがしてくれた。
感謝。俺の貞操の危機だった。さすが、お兄ちゃん
「枝垂さん、ありがとうございます」
枝垂の背後に隠れるようにコソコソと移動した俺は、真っ赤に染めた顔を枝垂に向ける。
やめろ、顔をすぐに赤らめるんじゃない俺!
と絶叫するも、枝垂は特に気にした風もなくヨシヨシと頭を撫でてくる。
大人な反応だ。さすがお兄ちゃん系。
「水樹でいいよ。怖かったでしょ??剣はいつもいたずらが過ぎるからな」
「あっ、私もルナでいいです。仙道さんは、・・・・遊びなれてそうですもんね」
「心外だなぁ。俺は一途だよ~??」
俺も剣でよろしく!と笑う尻軽に俺は軽く溜息をつく。
駄目だ、こいつは軽すぎる。要注意人物だ。
「ほら、剣が今日は飯担当なんだからさっさと昼飯の用意をして来い。ルナちゃんは朝ごはん食べてないしお腹すいたでしょう??」
「えっ・・・、あ、ハイ」
そんなことないと否定しようとしたところで都合よくお腹がクゥ~と鳴った。・・・これは恥ずかしい。
カァッと紅く染まった頬に両手をあてて隠そうとするも、二人にはバッチリと目撃されてしまったようで剣が「作ってきますかね~」と部屋から出て行った。
「そう言えばルナちゃん、ハルトは??」
「あ、ハルトさんは空いたダンボールを捨てに・・・」
「あれ?水樹どうしたの??」
ずっと手伝ってくれていたハルトが部屋に戻ってきて合流。
剣がいたときはパニックでなんとも思わなかったが、正統派美形(しかも性格も良し)な二人が並ぶと中身が男な俺ですら目の保養だと感じてしまう。
もし、妹がこの世界に入り込んでいたら・・・・どうなっていたのだろうか。スゴイ気になる
「あぁ、ルナちゃんが剣にちょっかい出されてたから助けただけ」
「剣に!?何もされなかった!?!?」
「あ、はい。水樹さんに助けてもらったので。ハルトさん、ダンボールありがとうございました」
過保護なハルトが心配そうな顔をするので「大丈夫」だと微笑みかけてやった。
外面は完璧な妹がそばにいるので、女の子の動作は完璧だ。意識してないとボロが出そうになるが。
「そっか、よかった。」
ほっとするハルトにクスクス笑いながら、片づけ再開。
水樹も加わったため、トントン拍子で片づけは進んだ。
背が高くて力のある男がいると部屋の片づけには大変便利だ。ぐっじょぶ
「お昼ご飯できたよー!!」
「「「はーい!!」」」
ダンボール全てを部屋から運び出し、綺麗になったころに一階から剣の声が響いた。
ちなみに剣の作った料理は完璧だった。
まじ、うます
何でこんなに料理上手なの??と思ってたら
「料理が出来ると女の子を口説きやすいんだってさ」
と水樹がコッソリ教えてくれた。
無駄なところに努力を惜しまないヤツなのか。と頭の中にメモしといた。