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第30話:光の先に
裂け目は完全に閉じ、アクリアには静かな光が満ちていた。
だが、その光は単なる平和の象徴ではなかった。
それは「選択」の光だった。
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アルドは深く息を吸い込み、過去の自分と決別する。
「俺たちは、何を守るべきかを選ばなければならない」
その言葉には、今までの戦いを超えた覚悟が込められていた。
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ミレイアは理論と感情の境界を越え、真実を見つめる。
「感情は矛盾を孕みながらも、この世界を動かす原動力。否定するのではなく共鳴させることが必要なのだ」
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クロノは創造主の意志を受け入れつつ、己の意志で未来を描こうとしていた。
「実験場だったとしても、俺たちが意味を創る」
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理性と情動、光と闇、過去と未来――すべてが交錯し、一つの答えに収束する。
それは、互いの違いを認め合いながら共に歩むこと。
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アクリアの街は新たな均衡の中で、ゆっくりと歩き始めた。
それは終わりではなく、無数の可能性の始まりだった。
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