第23話:心の迷宮、過去の影
薄暗い室内で、アルドは古びた写真を見つめていた。
それはかつての家族の笑顔だったが、その裏に隠された痛みが彼の胸を締めつける。
「父さんも母さんも、なぜ消えたんだ…?」
記憶の奥底に封じ込めていた感情が、今まさに溢れ出そうとしていた。
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クロノは彼の秘密を知る者に接触を試みる。
かつてのマフィア組織の古老であり、アクリアの歴史を語る生き証人。
「この世界は…箱庭ではない。だが、誰かの意志が確かに働いている」
老齢の男の言葉は、クロノの疑念に一筋の光を投げかけた。
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一方、ミレイアは自らの心理実験の結果を分析していた。
被験者たちが見せる異様な反応は、感情の解放がもたらす混沌を如実に示している。
「解放は創造か、それとも破壊か――」
彼女の心にも不安と期待が交錯する。
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アルドは過去の事件を追い始める。
失われた家族の謎は、理性と感情の対立の根底にある深い闇を示していた。
「この痛みを乗り越えなければ、未来は掴めない」
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都市は揺れ動き、対立は激化の一途をたどる。
理性派と情動派の衝突は、ただの思想対立ではなく、人間の根源的な存在意義を問うものとなった。
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夜空の裂け目はなおも広がりを見せ、アクリアの運命を揺るがす。
その裂け目を見上げる者たちの心には、次第に“真実への渇望”が芽生えていた。
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