第22話:裂ける世界、繋がる魂
裂けた空の裂け目から差し込む光は、アクリアの街を幻想的に照らし出した。
その光の中に、人々の心の闇が映し出されるかのようだった。
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クロノは一人、静かな研究室で自問していた。
「自由とは何か。理性と感情が共鳴し合う未来は本当に実現可能なのか?」
彼の瞳に揺れるのは、希望と絶望の狭間。
長年抱えてきた孤独と、己の存在意義への問い。
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アルドは街の広場で演説を続ける。
しかし、その声に応える群衆の顔には、期待だけではなく疑念も混じっていた。
「理性だけでは、人は生きられない。感情もまた、我々を動かす力だ」
だが、彼の言葉を拒絶する者も少なくない。
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一方、エラッタ残党のミレイアは、感情の深層を探るべく、心理実験を始めていた。
そこには、感情の自由がもたらす狂気の種も含まれていた。
「感情の解放は、創造か破壊か。
我々はどちらの道を選ぶのか――」
彼女の内面で揺れ動く、信念と恐怖。
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アクリアの社会は二極化を深めていた。
•理性を重んじる「合理派」
•感情を尊重する「情動派」
両者は互いに理解しあえず、街には不穏な空気が漂う。
それはかつてのマフィアの抗争にも似た、見えない戦いの始まりだった。
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その中で、クロノは秘密裏に調査を続ける。
空の裂け目の正体、そして“外の世界”の真実を掴もうと。
「もし、この世界が外部から操作されている“箱庭”なら、我々の存在は何を意味するのか?」
彼の疑問は深まり、やがて大きな決断へと繋がる。
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そして、アルドは自らの過去と向き合い始める。
彼の家族が失われた真実、
そして自身が抱える感情のトラウマ。
「逃げていては何も変わらない。痛みを受け入れ、進むしかないんだ」
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物語は大きな転換点を迎え、アクリアの未来は再び揺らぐ。
それは対立の始まりか、あるいは真の融合の兆しか。