第20話:揺れる均衡、そして新たな始まり
夜明けの光がアクリアの街を優しく包み込む頃、選ばれし者たちは新たな局面に立っていた。
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クロノ=エイスは評議会の議場に静かに入った。
彼の言葉が、これからの都市の運命を決める。
「感情と理性は対立するものではない。
我々は、それらを統合し、共存させる新たな秩序を築くべきだ」
評議員たちは驚きと戸惑いの表情を浮かべるが、その中にわずかな希望の光も見えた。
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アルドとルチアーナは街の人々と共に、感情の回復に努めていた。
涙や笑顔、怒りや悲しみ、それらすべてが人々を人間たらしめる。
「痛みも喜びも、逃げてはならないものだ」
彼らの言葉は、街の人々の心に静かに染み渡った。
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ミレイアはエラッタの残党と共に、新たな組織の設立を模索していた。
感情の自由と理性の均衡を目指す、理想郷への第一歩。
「壊すだけではなく、創ることが必要だ」
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だが、空の向こうには依然として謎の存在が潜んでいる。
“本当の空”――かつて封じられた、外の世界の兆し。
クロノはその異変を感じ取り、ひそかに動き出す。
「我々の世界はまだ、閉じられた箱庭の中にいるのかもしれない」
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アクリアは、揺れ動く均衡の中で、真の試練へと向かっていた。
それは理性と感情の狭間にある、新たな“人間らしさ”の探求である。
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