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イオニアの反乱失敗

 アウルスの低い笛の音を背景にパンフルートの軽快な囀りが花を添える、リュラは弦の響きで纏まりを作り出し太鼓の刻みは櫂の漕ぎ手に動きのアクセントを与える。

 ここピレウスに20艘に及ぶ2層櫂船が出港している。

 300人の戦士3500人の漕ぎ手、普通のポリスならば1戦にも及ばず降伏する戦力だ。

 今回このミルティアデスが率いていく軍勢は市民とメトイコイからなる最強海軍だ。

 奴隷混じりで1000人のナクソスすら落とせなかったペルシア帝国とは質が違う。

 なにしろ漕ぎ手たちですらアテナイへの忠誠心は揺るぎない。

 エフィソスからイオニア奥地に向かって進むのに不安はない。

 ペルシア皇帝の黄金の輿を手に入れて3層櫂船の建造費に鋳つぶして見ようか。

 もっとも皇帝がそこまで前線にくるとは思えないが。

 それにしてもアルクメオン家の連中は足ばっかり引っ張る。ペルシアが主力を向けてきたらどうなるだのトロイアを見捨てる気なのかとか、見捨てないためにイオニアにちょっかいかけて兵力分散を図らせようというのがわからないのか!

 ナクソスでは兵力3000と船200艘でも防衛できた。他の地域でも兵力3000程度あれば何とかなるだろう。

 この心躍る出陣の音曲はわれわれの行き先を明るく照らしているのだろう。

 なんでもデルフォイの神託はこの度の戦闘は凶とでたらしいが、現在が凶なら行き先は吉に変わるだろうことをなかなか認めてくれない。アルクメオン達ペルシア融和派はどこまでも足を引きずってくる。

 ダーダネルス海峡からペルシアの注目をそらさなくてはへレスポントスも興味を引いてペルシアの侵略を受けるかもしれない。そうなっては祖父の代から栄えさせてきた僭主の座も失いかねない。なんとしても別の場所に興味を移さなくては、可能なら戦闘しないであろうアテナイ・スパルタに注目を移せれば最高だが…そこまでは期待しないでいよう。

 それにしてもペルシア融和派はペルシアを恐れすぎだ。今回の出兵で化けの皮を剥いでやろう。

 

 このイオニア出兵は当初は非常にうまくいった。エフィソス近辺での小競り合いはペルシアの戦意喪失でズルズル後退してったので追撃を行った。

 サルディスまで追撃した結果、トモロスに潜んでいたペルシア騎兵がサルディス守備兵と挟撃をかけてきた。

 軍勢はちりじり、エフィソス近郊で敗残兵を終結させ反撃を試みたが、騎兵に一気に突破された。

 ペルシア側は今回のイオニア出兵を盗賊のような空き巣狙いと皇帝が激怒しておりトロイアに向かい600隻の大兵団が反乱鎮圧軍として派遣された。

 へレスポントスも攻略目標でミルティアデスはこの機にアテナイに戻って将軍の一人になった。

 融和派は強硬派に責任をとらせたかったが、強硬派は結局、戦争で白黒つけるしか言わなかった(負ければヘルメスの壊滅なのだから勝って生き延びるしかないという主張)

 融和派は戦争は選択肢の一つで外交で何とかできないかという主義だったがイオニアの反乱がペルシアによりかえ滅していくにしたがって市民の人気が下がっていった。

 ヘラクレイトス始めとするアテナイ首脳陣はもしペルシアと交戦するなら全ヘルメス合同で立ち向かわなければ勝ち目すらないとわかっていたので各ポリスに暗躍して統一意思をもたせることで少ない生き延びる目をもさくするしかなかった。

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