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ナクソス防衛?

 我々ヘルメスはサンダルがわりに船を使って海を行きかう民族といわれる。 

 言い得て妙である。

 サンダルがわりに使うがブーツではない。

 つまり長距離の連続には向いていない。


 エーゲ海は細長い湾だが、それでも横断できる個所が限られている。

視界全てが水平線に埋められたなら我々はどっちに向かって進めばいいというのか!

 今回はアテナイの港ピレウス港を出港し岸沿いに一気に南下しパトロクロス島を目指し、スミオン岬を左手に掠めケア島、エルムポリス島、ティノス島、ミノコノス島、ナクソス島、アイオスキリコス島に帆船を訪問させつつサモス島からエフィソスを目指すルートをとらざるを得ない。


 自分で目標地を上げていてもこんがりそうな数であるが、これらの地点を繋ぐ形で目で追っていかない限りエーゲ海を横断中に全方位水平線の場所が現れる。

 この時に曇りで太陽が見えなかったら、あるいは航路を外れたら水面下に暗礁があったら等と考えると危険は踏めない。

 そんな危険を踏まなくてもエーゲ海を何十回と往復した水先案内人はいくらでも雇えるのだ。


 今回のように時間を惜しむ理由がなければ、目標港ごとに船団を1泊止めて、交易してから酒場で大騒ぎし、次の夜明けまで過ごして昼頃に次の目的地に出発、夕方に次の目標地に止まって交易してから再び大騒ぎを繰り返すのが一般的だ。

 無論これは航海中は水夫の集中と注意力を維持させるという目的でオンオフをはっきり切り替えさせることで航海中の安全を保つということで長年培われた手法ではある。


 今回の途中停泊はナクソスのみという方が非常識とも言える。


 ただ今回はペルシア軍が現れて兵糧を集め始める前に買えるだけ買い取るという目的がなければやりたくもない航海ではある。


 赤絵の皿や壺を売った後に偶然安い穀物として小麦を見つけたので船30艘分を買い付けて、これから交渉に来るペルシア商人には長年の友誼という理由から1艘3万ドラクマで満載にした穀物を、1艘10万ドラクマで半分の15艘分の穀物を譲るだけの話である。

 残りの15艘分の兵糧は堅固地形と城壁を防衛をもたせているナクソス(行く途中で内緒話)で1艘1万5千ドラクマ程で譲ってペルシアへの守りを固めてもらおう。


ペルシアの奴隷兵だは空腹になると士気低下や反乱を起こすため高値でも兵糧を買わざるを得ない。


 兵糧を本国から運んでこれるなら事前の値下げによる市場在庫の準備を行われなかったであろうし、逆にここでヘレネスは手ごわいことを帝国に見せることで戦うよりは味方にさせる、一目置かせるという意味が大きい。

 このあたりの強弱はミルティアデスあたりのペルシア強硬派には無理な芸当で、私がむこうから蛇蝎のごとく嫌われているのは知っている。しかしヘレネスとしてペルシアに損害を与え続け、ヘレネス領域に配慮を求めさせ続けているのは我々宥和派であると断言できる。


 今回の作戦がうまくいけば小アジアのペルシアの圧力が減じ、情勢はよくなるのだが……逆に追い詰められた強硬派が小アジアへのヘレネスからの援軍などを計らなければいい…?ミルティアデスは小アジアで僭主をしていたくらいだ、藪をつついて蛇を出すようなまねはしないでくれるとありがたいが…


 どうしても帝国撃退、小アジアの同胞を救えというきれいごとは表立っては我々も反対できない。 

 その分大声で市民の受けもいい。

 だがそれできれいごとに乗っかったあとイオニア地方がペルシアに併合されたら?もしヘレネスまで攻め込んできたら、そんなことの対策を強硬派は考えもしないだろう。

戦えー負けるな―というだけで、負けないためには何をどうすればよい等の指示は一切なく、博打に等しい運任せになってしまう。


 それはアテナイの重鎮として思考放棄に近いまるでバルバロイのようなことはできない。

 哲人ヘラクレイトスとしてできる限り理性的に対応して見せよう。

 幸いに強力な援軍もいるし孤立無援ではない。

ナクソスの兵糧援助もでてきたのでこの時点はまだBC499だということをおまけで書いています。

ということでこの時点でペルシア帝国はイオニアの反乱を未然に潰すべく帝王の従兄弟メガバデスを派遣してます。

そしてペルシア側の資金不足でナクソス防衛に成功したことで、ミレトスの僭主アリスタゴラスはペルシア勝利にかけていたので、代わりの後ろ盾をスパルタに求め外交失敗。今度はアテナイに求めペルシア戦争につながっていきます。

よってここまではペルシア戦争前段ともいえる部分ですね。

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