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6.幻術

日刊ジャンル別で今日は49位に!! 読んでくださってる皆様! ブックマークして頂いてる皆様! 評価してくださった皆様! ありがとうございます!!

「大器晩成型?」

 私はソフィアさんの言葉を自然に復唱していた。



「そうさね、まず他の魔術を覚えないと幻術は使えない。だから幻術師は不遇職として見られやすい。」


「なるほど…他の魔術というのは何の魔術を覚えればいいんですか?」

 幻術師になったからには絶対に幻術使えるようになってやる!そう思っていた。



「全部さね。」



「え…」

 咄嗟に言葉が出ず、固まる。



「全部覚えれば、幻術の効果は上がる。まぁ、まずは光魔術を覚えればいいさね。」

 ソフィアさんはキッチンに行き、茶葉の入ったティーポットを持ってきた。



「光魔術を覚えれば幻術は使えるんですか?」


「覚えたからと言って幻術を使える訳ではないよ。幻術を使うためには、複数の魔術を同時に使う訳だからね。こんな風に。」

 ソフィアさんは空中で火と水を出すと、それを合わせて水をお湯にした。お湯にした物を少しずつ、ティーポットへ入れていく。



「すごい…。でも、他の魔術が使えるなら皆んな幻術師になれば良いのに…。」


「他の魔術が使えるからと言っても、他の職業の属性魔術師と同じぐらい使えるという訳ではないのさ。」


「属性魔術師?」

 私は首を傾ける。



「アンタは…属性魔術師ってのも分からないのかい…。属性魔術師ってのは、それぞれの属性を極める事ができる職業だよ。」

 ソフィアさんは呆れながら言う。



「その属性ってのは、何があるんですか?」

 私が聞くと


「火、水、地、風、光、闇、影の7つさね。この7つを覚えれば最強の幻術師になれるよ。」


「てことは、ソフィアさんは全部覚えてるんですか!?」


「残念ながら、あと地、闇、風が覚えられてないね。この歳になっても、ここまでしか覚えれなかったんだ。もう死ぬのも近いし、私は全部覚えるのを諦めて未来に託すことにしたのさ。」

 ソフィアさんは、少し哀愁を漂わせながら言った。



「そうなんですか…。じゃあ私は全部覚えてみせますよ!」


「フフフッ、全部覚えるにはアンタの運の良さも必要さね。頑張りな。」

 ソフィアさんはそう笑いながらも、私にエールを送ってくれた。



「あと、アンタが光魔術を覚えたいって時には私を頼りな。全部を教えるのはアンタのためにはならないからやらないが、もう最低限の魔術だけは教えてやるよ。あとは…これだ。」

 ソフィアさんはそう言うと、本を取り出した。


「なんですか?これは?」

 私はそれを受け取り【鑑定】した。



 ▲ユニークアイテム

『混迷の幻惑書』

 この本には影の大精霊が宿っており、誰かを待っているかのように紫色に物寂しく輝く。使用者がこの本に適する程、本の輝きは増し、使用者を認めると、大精霊が力を貸すと言われている。


 SP+500 魔力+150 譲渡不可



 すごいチートアイテム!?

「こんなのどうするんですか!?」

 私が聞くと



「はぁ?アンタにやるのさ。」

 カップに紅茶を入れながら言う。



「はぁっ!?」

 私は思わず立ち上がる。



「私の弟子になるんだ。それぐらいの装備を持ってもらわないとと困るよ。」

 ソフィアさんは紅茶を飲む。



 いやいやいや! どう言う事!? この人なんでこんな強い装備持ってるの!?



「いらないって言うなら、いいけどね。」


「いいい、いります! ありがとうございます!!」

 私はその本を急いで抱え込み、頭を下げる。



「さて…まぁ、今日のとこはもう良いさね。ここにいるから分からないだろうけど、もう大分時間が経ってる。さっさと帰りな。」



「私はまだ居ても



「アンタが壊した門も直さないといけないしね。」



「失礼します! 師匠!」

 私は深く頭を下げて、扉を開けて外に出る。



「あ! 待ちな! これを持ってきな!」

 ソフィアさんは私にバッジを投げ渡した。



「これは?」


「アンタの目。見たところ、炎に認められし子だね。これはあって損はない筈だよ。」



『幻術破りのバッジ』

 ソフィアによって作られたバッジ。パートナー専用。パートナーに付けると幻術に掛からなくなる。禍々しい髑髏の様な見た目をしている。


 幻術無効



 おぉ!! これは!!

「絶対に必要です! ありがとうございます!」

 私はお礼を言う。


「ここに来たい時は同じように路地裏に来な! アンタにはここの出入りを自由にしとく!」

 ソフィアさんは大きな声で叫ぶ。



 その瞬間にソフィアさんの家が消えて、元にいた路地裏に帰ってくる。その瞬間、




『ユニーククエスト:ソフィアの試練がクリアされました。ユニーククエストが初めてクリアされました。クリアした人物には称号『初ユニーク攻略者』を贈与します。』


『ユニークアイテムを初めて手に入れました。手に入れた人物には称号『初ユニークを手にする者』を贈与します。』


 え、なんかめっちゃ頭に声が響いてるんですけど。


 私がそう思っていると、道の方から

「マジか!」

「嘘でしょ!?」

「誰がやったんだ!?」

 と言う声が聞こえてきた。なるほど、今のは皆んなにも聞こえてたんだ。


 すると、


(スプリング〜!! どこ行ってたの!!)


「ぶへぇっ!!」

 ベリアルが私の顔面にタックルを決めてくる。



「ご、ごめんね?ベリアル。大丈夫だった?」


(大丈夫じゃないよ〜! なんか大勢ここに人来たんだよ!! 俺は高く飛んでてバレなかったけど…。こわかった。)


「ご、ごめん!!お詫びと言っていいか分からないけど…これあげるから許して? 」

 私はソフィアさんからもらった『幻術破りのバッジ』をベリアルへ付けてあげる。


(………。)

 ベリアルは自分の胸に付いたバッジを見ている。


「えーと、どうかな?」


(…カッコいい!! スプリングすごい!!)

 ベリアルははしゃいで、私の周りを飛び回る。


「よ、良かった…。」

 たまたま貰った奴だけど…なんか罪悪感が…。



 ユニーククエストやらユニークアイテムやらで浮かれてた私は、突然の罪悪感に襲われセーブしてすぐにゲームから出た。

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