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54.男の子

「や、や、やっと着いた…」

(スプリング〜、本当にありがとー)

「い、良いんだよ、ベリアル。私がしたかった事だから…」

 私はソシャールの門を潜った所で倒れていた。


 ふっ。体力10の私だと、こんなもんよ。でも、傷ついたベリアルを置いていく事は出来なかったし、仕方ないよね。名誉の傷? ってところかな。はっはっはっ。


(すみません。僕が運べたら良かったんですけど…)

「ソーマ…いいよ。気にしないで」

 ソーマ、人型になってもっと可愛らしさが増したね。もう何も言えないよ。


 そのソーマは空中でクルクル回りながら、顎に手を当てて何かを考えている様だ。

 ソーマがはっ! とした顔をすると私に振り向く。


(ベリアルさんの事を【影魔術】で運べば良かったんじゃないですか!)

「あっ……」


「…いやー、これから体力回復するまであそこのベンチで少し休もうか」

 私は立ち上がって、ベンチを指差す。


(スプリングさん!?)

 ソーマは驚きの表情を浮かべている。


 えっ、何? そんな事思い浮かんでたよ。当たり前じゃん。でも、ほら! なんか、ベリアルの温もりを感じたかったというか…うん。決して思い浮かばなかったという訳ではない。


「ふぅ〜」

 私は大きく息を吐く。


 疲れたなぁ。ゲームの中でもまさかここまで疲れを感じるとは。運動した気分になれるね。

 そんな事を思いながら遠くを見ていると、1人の男の子が私に近づく。


「あの…」

 男の子の身長は私と同じくらい。髪はボサボサで顔がよく見えないが、首の真ん中に太陽のタトゥーが入っている。


 この子もプレイヤーなんだ。


「どうしたの? 何か困り事?」

 私が聞くと、男の子はモジモジとしている。


「あ、あの違うくて…貴方は"幻想姫"さんで合ってますか?」

「え?」

 男の子から発せられた言葉は、まさかの"幻想姫"。まさかこんな男の子にも知られているとは思っていなかったなぁ。

 私があまりの恥ずかしさに顔を梅干しの様に顰めていると、


「ち、違いましたかね…」

 男の子はシュンとして、視線を地面に下ろす。


「あー! ごめんごめん! そう! 私が"幻想姫"なんだ! で、私に何か用?」

「あ、あの良ければなんですけど、僕とスクショを撮ってくれたりしませんか!?」


私のファンか何かかい? いやー、悪くないねぇ。


「全然良いよ!」

 私はそう答えると、男の子の隣に立ってスクショを撮る。


「あ、ありがとうございます!!」

 男の子は笑顔でそこから去っていった。


 私は男の子の愛らしさに一瞬、目が眩んだ。


 可愛いなぁ…はっ!! いや、私にはベリアルとソーマという心に決めた相手が!! 何を揺らいでるの!?



 私は何分かそこで休憩、もとい悶々とした後、始まりの街に戻る為"純麗な森"へと入った。


 するとそこには、



「おい! あれ!!」

「やっと会えましたね」

「やっと! やっとだ!!」

「おい! 早くあの人の役に立つぞ」

「おう!」



 そこにはヤバそうな人達がいた。

「面白い!」

「続きが気になる!」

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してくれたら私のやる気がupしますᕦ(ò_óˇ)ᕤ

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