53. Koruseitラボ3
「本当に凄いな…」
佐々木が部屋で呟く。
「どうしたの?」
そこにKoruseit world online開発者の中でも数少ない女性、清水 水子が話しかける。
「実は…」
佐々木は自分が見ていたモニターを清水に見せるように、モニターの前から退ける。
退けた後は何故驚いていたのか、掻い摘んで説明する。
「…へぇ、インプヒーローに幽霊か、これが噂の"スプリング"なんだ」
清水は興味深そうに見て、モニターを操作する。
「って! まだ始めて1か月も経ってないじゃん!?」
「そうなんです。これが彼女なんです。知らぬ間にユニークを発生させたり、偶然にも特殊な進化条件を満たしたり、最終的にはあの"黒霧"まで!!もう手に負えませんよ!?」
佐々木は部屋のテーブルに手を叩きつける。
「う、うん。あの、ちょっと落ち着いたら?」
清水は佐々木のあまりの行動に驚く。
「最初このプレイヤーと会った時は"楽しめますよ"とか言ったけど、ここまで楽しまなくても…!!」
「あ、あー、ゲーム開発者にとってそれは本望なんじゃない?」
清水は佐々木の様子を伺いながら言う。
「しかも! アンタらが無茶な進行! 無茶なシナリオ変更をするから私は最近は充分に睡眠が取れてないんですよ!!」
佐々木の顔をよく見ると、どす黒い隈が目の下に出来ていた。
「…はい」
「水子さんは他の方々と比べるとまだマシな方ですけど…」
「ならもっとやって良いって事!?」
「そういう事ではありません!!!」
「……はい」
清水は佐々木の言う事に返す言葉が出ない。何より佐々木の顔は今、般若と言ってもいいほどに変わっていた。
ここは変に反論してもダメだなぁ。
清水は先輩として、偶には後輩の愚痴を静かに聞いてやるか、と目を瞑り数分ほど話を聞いた。
「はぁ…ふんっ!!」
佐々木は部屋から出て行った。
「ふぅ。やっと終わった。翔平の奴、少しはスッキリしたかな?」
私は置いてあった椅子に深く腰掛けた。
ふと私は部屋のパソコンを起動させ、カタカタとタイピングする。
「…インプヒーローなら兎も角、幽霊に進化させるとはねぇ…」
まず基本的に魂をパートナーに出来るのは、シナリオの後半。この大陸ではない別の大陸でパートナーにする事が出来る。まぁ、出来ると言っても中々パートナーにする事は難しい…確か約1%の確率でパートナーになる筈だ。
それをあの条件をクリアして、幽霊にするなんて…偶然としては出来過ぎだし、イベントもこの子の為にあった様なもんじゃん。
しかもだ。
Koruseit world onlineをやり始めて最初に説明される時、"生物をパートナーにする事が出来る"と言われているのに、"魂"という死んでいるものをパートナーにする事が出来ると言う矛盾…。空想上の生物と言われれば、納得は出来るかもしれないけど…。
中々にイレギュラーなパートナーだよね。
これって誰が考えてたんだろう?
私は気になり、パソコンでゲーム制作の過去を遡っていく。
あれ?
魂って最初はこのゲームにいなかったんだ?
それなのに途中でパートナーに入れ込まれている…。
これを考えたのは…と…。
私はファイルをクリックした。
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最近暑い日が続いてますね。私は毎日エアコンガンガンにつけてます。水分補給をこまめにしてくださいね。
昨日、熱中症になりかけた私からのお願いです_:(´ཀ`」 ∠):
 




