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感動の再会

「ヤマト! 無事か!?」


「さっき、マキシリオンさんたちが駐屯所から連れて行かれるのを、見ました……けど……」


 入ってきたのは、ラミィ、シルフィ、ハンナの三人だった。

 ヤマトの背筋が凍る。

 ベッドの上に薄い下着一枚の美少女がいる、それだけで非常にマズい状況なのは鈍感な彼にも分かった。

 ラミィが額に青筋を浮かべ、シルフィは目を見開いて固まる。

 

「お、おはよう、ラミィ、ハンナ、シルフィ……こ、こんな朝早くからどっ、どどどどうしたの?」


 頬を引きつらせながら無理やり笑みを浮かべるヤマト。

 もちろん、そんなものでこの状況をごまかすことはできない。


「どういうことだよヤマト!? こんないたいけな女の子を連れ込むなんて!」


「ヤマトさん、信じていたのにぃ……ぐすん」


「ご、誤解だよ!」 


「まさか、この状況で言い逃れできるとでも?」


「ひっ……」


 ヤマトの顔が恐怖で歪む。

 怒るラミィの背後で炎がメラメラと燃えているようだった。

 シルフィは両手で顔を覆い、ぐすんとべそをかいている。

 

 そうしてラミィから怒涛のように問い詰められている間に、少女は着替え終える。

 漆黒の毛皮で作られた上衣は胸の下までの長さで、腹部は鎖帷子(くさりかたびら)で網目状に肌が露出しているため妙に色っぽい。

 スカート丈は短く、尻尾を模したような剛毛の布が腰から伸びていた。

 俊敏性を重視した装備で、ライダも以前似たような装備を作っていたはずだ。

 そして彼女が、長い黒髪を横で束ね、サイドテールを作ると――


「――アヤ?」


 それまで微動だにせず少女を凝視していたハンナがついに声を上げた。

 アヤと呼ばれた少女はハンナへ目を向けると、目を丸くした。


「……え? もしかして、ハンナ?」


「アヤぁぁぁっ!」


 ハンナが感極まって涙を溢れさせながら少女へ飛びつくと、さすがのラミィもヤマトへの言及はいったん中断した。

 

「アヤっ、アヤぁ……無事だったんだね!?」


「う、うん。まさかハンナとまた会えるなんて」


「良かったよぉぉぉっ!」


 感動の再会に水を差すことはできず、ヤマトたちはハンナが落ち着くまで様子を見守ることにした。


 感極まって泣いていたハンナが落ち着くと、ヤマトは事情を説明し始める。

 ハンナとアヤは手を繋いでベッドに腰掛け、その横にシルフィが、ラミィは木の椅子に座り、なぜかヤマトだけが立たされていた。


「実は昨日、マキシリオンとライダに襲われたんだ」


「やっぱりか。さっき駐屯所を通りかかったときに、二人が騎士に連れられて行くところを見たんだよ。それでもしかすると、ヤマトのほうになにかしてないかと心配してきたんだけど……」


 そう言ってラミィはアヤを一瞥してヤマトへ鋭い視線を向ける。

 まるでさっきまでの心配を返せとでも言い出しそうだ。

 ヤマトは慌てて話を続ける。


「か、彼女が助けてくれたんだよ! 危うく殺されるってところで、二人を倒してくれてね」


「そうだったんですか。アヤさん、でいいでしょうか? ヤマトさんを助けてくださりありがとうございました」


「当然のことをしたまでです。ヤマト様は私が守りますから」


 そう言ってアヤは薄い胸を張る。

 シルフィの笑顔が凍り、眉がピクリと動いた。

 ラミィもギロリとヤマトをにらむ。


「ヤマト『様』? そろそろ説明してもらおうかな。二人はいったいどんな関係なのか」


「え、えっと……」


 ヤマトは冷や汗をダラダラと流し言葉に詰まる。

 実際のところ自分も分かっていないのだ。

 なぜ彼女が自分のことを知っているのか、後をつけてきていたのかを。

 しかし今それを言うと、火に油を注ぎそうなのでアヤが語るのを待った。


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