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美少女と朝

 ――翌日の早朝。

 ヤマトはいつも通り自分のベッドで目を覚ました。

 

(なんだか体がだるい気がする)


 病気かとも思ったが、すぐに昨日の夜のことを思い出し、筋肉痛だと悟る。

 ラミィたちは日々クエストで体を張っているというのに、自分だけ運動不足で筋肉痛とは情けない。

 「早く店に行って準備しないと」と、ヤマトがぼんやり考えていると、布団の中でなにかが動いた。


「?」


 まだ朦朧(もうろう)とする意識の中、なにげなくかけ布団を剥いでみる。

 次の瞬間、想像もしていなかった純白の光景が視界に入り、一気に目が覚めた。


「んなっ!? ななななな!」


 顔を真っ赤にして困惑するヤマト。

 なんと自分の横でいたいけな美少女が眠っていたのだ。

 薄い白のキャミソールを着た、小柄な色白の美少女。

 むにゃむにゃと幸せそうに頬を緩め、下着が胸の下までめくれて健康的な腹を出している。

 

「だ、誰!?」


 動転したヤマトがベッドから転がり落ち、裏返った声で叫ぶと彼女も目を覚ました。


「ふぇ? ……あぁ、ヤマト様ぁ、おはようございます」


「おはよう……じゃなくて!」


「ひゃぃ?」


 寝惚(ねぼ)(まなこ)の美少女は、うーんと腕を伸ばす。

 スレンダーな彼女の小ぶりな胸が協調され目の毒だ。

 ヤマトは慌てて目を伏せる。


「んん? どうしたんです……か……」


 すると、少女もようやく自分の格好に気付いたようで、「きゃあぁぁぁっ!」と悲鳴を上げた。


「ご、ごごごごごっ、ごめんなさい!」


「こ、こここここっ、こちらこそ!」


 少女は耳まで真っ赤になって両手で体を隠そうとするが、その細い腕ではなに一つ隠せていない。

 彼女は唇を震わせ涙目になりながら言った。


「もっ、申し訳ありません! どうしても暑かったもので、ヤマト様がお目覚めになる前に着替えればいいと思い、つい……」


「つ、つい?」


 ヤマトはますます困惑する。

 状況がまったく理解できない。

 なぜ自分が見知らぬ美少女と一緒のベッドで寝ているのか、いまだに分からないでいた。


「ちょ、ちょっと待って! 君は誰なんだ!?」


「……へ? もしかして、昨日の夜のことを覚えてらっしゃらないのですか?」


「昨日の、よ、夜のこと……」


 ヤマトの顔から血の気が引いていく。

 なにかまずいことをしでかしたのではないか、そんな予感がするのだ。

 ひとまず腕を組んで首をひねり、う~んと昨日のことについて考え始める。


「昨日の夜は……マキシリオンとライダに襲われて、それで変な女の子に助けられて、その後騎士に……」


「ちょっと待ってください」


「ん?」


「騎士の前のところです」


「変な女の子のこと?」


「変は余計です!」


 ムッと眉をつり上げる少女。

 そのとき、ようやく彼女の正体にピンと来た。

 昨日はスカーフで口元を覆っていたから分からなかったが、彼女はマキシリオンたちから助けてくれた黒装束の女の子だ。

 

「そ、そうだったのか……でも、どうして僕の部屋に?」


「それは、ヤマト様に正体を問われたので、話をするためにひとまず場所をここへ移したところ、ベッドに腰かけた途端ヤマト様が眠ってしまわれたんです」


「そ、そういうことだったのか……」


 ヤマトは手の平で顔を覆った。

 疲労のあまり話の途中で眠ってしまうとは、情けない限りだ。

 恥ずかしくて顔が上げられない。


「仕方のないことです。昨日は、商会の初仕事だったわけですし、相当な疲労が溜まっていたのでしょう」


 少女は優しい声で気遣うように言った。

 ヤマトは少し気が楽になって彼女を今一度よく見る。

 

 美しく長い黒髪を後ろへ流し、肌は病的なほどに白く小柄な少女。

 見た目から十代前半か半ば、シルフィやハンナと同じかそれよりも少し下の年齢だろう。

 切れ長の目に筋の通った鼻で、人形のように整った顔立ちをしている。

 なにより、深紅の瞳が神秘的な雰囲気を作っていた。


「あ、あのぅ……ヤマト様?」


「うん?」


「私に興味を持ってくださるのは嬉しいのですが、あまり見つめられると恥ずかしいです……」


 少女はポッと頬を赤らめ、恥ずかしそうに身をよじった。

 それもそのはず。彼女はまだ薄い下着のままでいるのだから。

 ヤマトは「ご、ごめん!」と慌てて目をそらす。


 だがタイミングの悪いことに、部屋の外からドタバタと足音が聞こえ、ノックもなしに扉が開け放たれた。


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読者様の本作への印象を知りたいので、広告の下にある☆☆☆☆☆から作品の率直な評価をお願いしますm(__)m


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