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乱入者

 ――キィィィンッ!


「な、なに!?」


「……え?」


 ほんの一瞬のうちに、回転する剣とヤマトの間に割り込んだ黒い影があった。

 金属のぶつかる音が聞こえたかと思うと、ライダの剣は軌道を変え、彼の目の前の地面に突き刺さる。

 束ねられた長い黒髪を横へなびかせ、夜闇に紅い軌跡を描いて現れたのは――


「――このお方は、あなたたちごときが手にかけていい方ではない」


「き、君は……」


 白刃きらめく小太刀を逆手に構え、漆黒の装束を纏った美少女だった。

 小さな体から溢れる雰囲気は凛々しく鋭利で隙がない。

 目を丸くして固まっていたライダは、彼女の姿を見て憤怒の叫びを上げた。


「またお前の女かぁぁぁっ!」


「ちぃっ! 邪魔するなら、ガキだろうと容赦しねぇぞ!」


 血走った目で駆け出すライダは、地面に刺さった剣を抜くと少女へ接近し、その後ろへマキシリオンが続く。

 しかし少女は冷静に腰を落とすと、一瞬でライダの懐へ入り込んでいた。

 ヤマトの目では、もはや追えないほどの俊敏さだ。


「なにっ!?」


 慌てて剣を振り下ろすライダだが、少女はそれを小太刀で受け止め、隙だらけのみぞおちへ拳を打ち込んだ。


「はっ!」


「がはっ!?」


「ちっ! どけぇっ!」


 腹を押さえ悶絶するライダを押しのけ、マキシリオンが前へ出る。

 そして少女へ、力の限り剣を乱れ振るった。


「オラオラオラァッ!」


 闇夜に無数の火花が散り、立て続けに金属音が鳴り響くが、少女は難なく太刀筋を見切り受け流していた。

 どれだけ鬼人の力が強くとも、受け流されては力を発揮できない。

 一瞬の攻防ののち、決着がつく。


「ちぃっ、このぉっ!」


 マキシリオンが渾身の力で剣を振り下ろすが、少女はそれを紙一重で回避。

 彼の手首を思い切り蹴って剣を離させる。

 それでもと拳を振り上げるマキシリオンだったが、その首元には刃の切っ先が当てられていた。


「もう二度と、ヤマト様の目の前に現れるな」 


「てんめぇ……」


 マキシリオンは怒りに燃える瞳でにらみつけるが、彼女の深紅の瞳に見据えられ動けない。

 目の前の光景に唖然とするヤマト。

 ピー助も興奮したように鳴いている。

 ちょうどそのとき、近くにいた騎士二人がようやく駆け寄って来た。


「おい、お前たち! いったいなにをしているんだ!?」


「……クソがっ……」


 マキシリオンはようやく観念し拳を降ろした。

 少女は一歩引くとヤマトを守るように前へ立つ。

 両者の間に入った騎士たちは、ヤマトとマキシリオン、双方を注意深く見回した。


「……おい、これはどういうことだ?」


「これには事情がありまして……」


「聞かせてもらおうか」


 騎士に問いただされ、ヤマトはすべてを話した。

 目の前の二人に突然襲われたこと、そして彼らが監獄から脱走した者ことを。

 普通なら、どちらの言い分も聞いて罪の所在をはっきりさせるところだが、相手が脱走者ともなると騎士も判断に迷いはない。

 そして騎士たちは、暴れるマキシリオンとライダを取り押さえ、駐屯所へ連行していくのだった。


 騎士たちが去った後、ヤマトは漆黒の少女と向き合う。


「君はいったい……」


「ヤマト様、ご無事で良かった。あなたは必ず、私がお守りします――」


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