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ヤマトの計画

 ヤマトは、トリニティスイーツのメンバーに新しく始める商売について説明した後、ウルティマ商会の本店を訪れていた。

 最も信頼でき、商売上でも頼りになる人たちだ。

 ヤマトが扉を開けるとすぐに、カウンターで受付嬢と話していたシーアが気付き目を輝かせた。


「あぁっ! ヤマト様ぁーっ!」


「お、おっと」


 そして真正面から抱きついて来た。

 突然のことで思わず抱き留めたヤマトだが、お嬢様の柔肌は奥手な青年には刺激が強い。

 以前、シルフィたちと遭遇した一件から、ますますスキンシップが過激になっている気がする。

 シーアはひとしきりギュッとヤマトを抱きしめると、上目遣いに見上げ嬉しそうに微笑んだ。


「お待ちしておりました。ヤマト様」


「あれ? 僕が来るって知ってたの?」


「はい、当商会にご相談があるとのお手紙が届いたと、お父様から教えて頂きました」


 ヤマトはなるほどと頷く。

 商会を立ち上げる件については、以前から検討しており、相談にうかがうと会長のアークへ事前に送っていたのだ。 

 まさかシーアがそれを知って、待ち伏せしているとは思ってもみなかったが。

 ニコニコとヤマトの顔を下から眺めるシーアだったが、その豊満な胸元でなにかがもぞもぞと動いた。


「え? ひゃんっ!」


「クェェェン」


 すると、ヤマトとシーアの密着した胸の間から出てきたのは、ピー助だった。

 幸せそうに目を細めている。

 これが人間の男だったら酷く下品なものに見えていたことだろう。

 しかし純粋なシーアはオス鳥の下心に気付かない。


「ピー助さん!? だ、大丈夫ですか!?」


 シーアは慌てて体を離し、胸元のピー助を抱き上げるが、ヤマトはあきれたようにため息を吐いた。

 このスケベ鳥は、ヤマトがシーアに抱きつかれる寸前で、体を滑り込ませたのだろう。

 ポゥ太もうらやましそうに見ている。


 それから少しの間、シーアと最近のことについて談笑していると、ちょび髭のダンディな男が奥の階段から降りてきた。


「これはヤマトさん。ようこそおいでくださいました」


「アーク会長、ご無沙汰してます。今日は、僕の相談に応じてくださってありがとうございます」


 ヤマトが頭を下げると、アークは彼とシーアを交互に見て頬を緩ませた。

 

「ヤマトさんのためならお安い御用ですよ。シーア、ヤマトさんを少しお借りするがいいかな?」


「はい! それではヤマト様、またのちほど」


「うん、ピー助のほうをよろしく」


「クェェェ」


 ピー助は、シーアの腕の中で幸せそうに眠っていた。

 ポゥ太はいつの間にか、店のアクセサリーを興味津々に見回っているので、ヤマトは一人でアークの執務室へ移動した。

 ダークブラウンの高質なテーブルを挟んで、ふかふかのソファに座ると、秘書らしき女性がハーブティーを置いてくれる。


「さてヤマトさん、ご相談とはいったいどういった内容でしょうか? お恥ずかしながら、私には皆目見当もつきません」


「実は僕、商会を立ち上げようと思っているんです」


「なんと!? 商会をですか?」


 アークは目を丸くして、聞き返してきた。

 だが決して、否定するような雰囲気はなく、むしろ嬉しそうだ。

 

「はい。僕が今お世話になっているハンターパーティも、人手が足りていますし、ちょうどいい機会だと思いまして」


「そうですか。いやめでたいですな! ヤマトさんほどの実力者なら、きっと上手くいくことでしょう」


「そう言ってもらえると心強いです」


 短期間で商会の規模を拡大させた実力者であるアークに言われると、説得力があり自信が湧いてくる。

 ヤマトは照れくさく思うが、謙遜はしない。


「ちなみに、どういった商売をされるのですか?」


「資産管理の代行です」


「ふむ、それはどのような?」


「簡単に言うと、商会や店、個人といったお客さんの資産を預かり、それを投資や先物取引など金融市場で運用するのです」 


「ほぅ? つまり、今までヤマトさんがハンターパーティでされていたことの規模を拡大するということですね」


「その通りです。商会としての利益は、運用することで得られる差益の一部を、管理手数料として回収するので、問題ありません」


 顎に手を当て得心するように頷くアーク。

 理解が早くて助かる。


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読者様の本作への印象を知りたいので、広告の下にある☆☆☆☆☆から作品の率直な評価をお願いしますm(__)m


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