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最強パーティの誕生

 マヤの姿を見たマキシリオンの目が輝き、ますます勢いを得る。


「でかしたぞ、マヤ」


「はい?」


「お前からも言ってやってくれよ。こいつらに襲われたんだって」


「はぁ……この期におよんで、私に頼ろうとするの?」


「は? お、おい、そりゃどういう……」


「言ったわよね? パーティを抜けると。私はもう、あなたたちの仲間じゃないわ」


「ま、待てよっ、マヤ! わ、分かった、俺たちの元へ戻ってきていい! だから――」


「私がバカだったわ。なにも分かっていなかったの。ソウルヒートが最強になれたのは、あなたちの実力が凄かったからじゃない。ヤマトさんがあなたたちの浪費を超えるスピードで資金を増やしていたからよ!」


「くっ……」


「騎士団長さん、先ほども伝えた通りです。このマキシリオン率いるソウルヒートは、ヤマト・スプライドが一人でいるところを襲撃し、パーティーの資金を奪おうと計画していまいた」


「ふむ、間違いないか? この状況からそうとは判断できないのだが」


「私がソウルヒートを抜ける前、そういう相談をしていたのを聞きました。しかし、ヤマトさんたちもそれを知って、対策をしていたのでしょう。正面からぶつかり合えば、勝つのは間違いなくヤマトさんたちですから」


「……そうか。あのソウルヒートがこんな追いはぎまがいの犯罪に手を染めていたなんて残念だ。おい前たち、こいつらを留置所へ連れていけ!」


「このアマァァァァァッ!」


 マキシリオンが怨嗟(えんさ)の叫びを上げるが、騎士たちはソウルヒートの三人を無理やり立たせ、路地裏から連れて行く。

 スノウの麻痺も解けていたようだが、彼女はぐったりとうな垂れ、ライダも一気にふけたような(ほう)けた顔で抵抗しない。


 やがて路地裏へ静寂が訪れ、ラミィ、ハンナ、シルフィが見守る中、ヤマトとマヤが向かい合っていた。


「やっぱり、無用な心配だったわね」


「マヤさん、どうして……」


「ああいう人たちは、こうでもしないと反省しないのよ」


「でも、あそこまでする必要は……」


「はぁ……ヤマトさん、あなたは甘すぎるわ。まぁでも、それも魅力的なんだけどね」


 マヤはそう言って照れたようにはにかむ。


「え?」


「「んな!?」」


「相変わらずモテモテだね」


 呆けるヤマト、驚愕の事実に焦るシルフィとハンナ。

 ラミィは、いつも通りクールに微笑を浮かべ、やれやれと呟く。

 マヤは頬をほんのりと赤くしながらコホンッと咳払いした。


「それでヤマトさん、私をあなたの――」


「なっ、なななななっ」

「ちょ、ちょっとー!」


 今にも衝撃的な言葉が出て来そうな空気に、シルフィとハンナが慌てて駆け寄ろうとする。


「――弟子にしてください!」


「「「……ん?」」」


「ヤマトさん……いえ、先生! あなたの実力に惚れました。どうか私にも、あなたの技術をご指導いただけないでしょうか!?」


 マヤが深く頭を下げると、シルフィとハンナはずっこけた。

 ラミィは「ほぅ?」っと顎に手を当て、ニヤニヤしている。

 

「弟子って、そんな年でもないんだけどなぁ」


「どんな形でもいいですから、色々教えてほしいんです。そのためなら私、なんでもしますから!」


「はいアウトー! マヤちゃん、女の子が男に向かって、なんでもするとか言っちゃダメなんだよー!」


「そ、そうです! ハレンチですぅ!」


 二人が顔を真っ赤にして口を挟んでくる。

 ヤマトはうーんとうなり、どう断ろうか悩んでいると、ラミィが彼の肩へ手を置いた。


「ねぇ二人とも、私から提案いいかな?」


「ラミィ? どうしたの?」


「私は構いませんよ」


「マヤをトリニティスイーツに加えるのはどうだろう? ヤマトはメンバーとしては登録していないから、あと一人枠が空いているし、一緒に活動していく中で、マヤはヤマトのやり方を学べばいいんじゃないかな?」


「なるほど、そういうことか。まぁ、それなら僕は構わないよ。マヤさんはどう?」


「ぜ、ぜひお願いします!」


 ヤマトは逡巡したものの承諾し、マヤは目を輝かせ頭を下げる。

 シルフィとハンナはなにやら「新しいライバルがぁ」とヒソヒソささやき合っていたが、反対はしなかった。

 ラミィは満足げに頷くと、リーダーとして告げた。


「それじゃあ、一件落着ということで、マヤの歓迎会と行こうか!」


 今ここに、新たな最強パーティが誕生したのだった。


※ハイファンタジー日間27位になりました!(2/24)


1位を目指しますので、広告の下にある☆☆☆☆☆から作品の率直な評価をお願いしますm(__)m


また、『ブックマーク追加』と『レビュー』も一緒にして頂けると大変助かります!

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