表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/58

決着

「――ヤマトくんは傷つけさせない!」


「「なっ!?」」 


 そのとき、小柄な人影が路地裏に現れたかと思うと、それはとてつもない跳躍力で跳び、ヤマトの前へ降り立った。

 

「くっ!」


「邪魔だぁっ!」


 二人が左右から同時に剣を振り下ろすが――


 ――ガキィィィンッ!


 右の大剣も、左の片手剣も、同時に左右の双剣で受け止められていた。


「バ、バカなっ!?」


「なんだこの武器はっ!?」


 渾身の一撃を、少女の細い片腕に受け止められて驚愕の表情を浮かべる二人。

 しかし少女は、難なく二人を押し返すと、横顔をヤマトへ向け可愛らしくウインクした。


「……お待たせ、ヤマトくん」


 強力無比な力を秘めた双剣を装備し、ヤマトの前に現れたのはハンナだ。

 頼もしいその姿に、ヤマトは動じることなく不敵な笑みを浮かべる。


「バッチリだよ、ハンナ」


「バ、バカな……」


「――お前の相手は私だ!」


 焦るマキシリオンの背後から凛々しい声が響き、彼は反射的に背後へ大剣を薙ぎ払う。

 しかし、疾風のごとく急接近したラミィの長剣によって弾かれた。

 彼女は両手で柄を握り、その刃の切っ先をマキシリオンへ向けると叫んだ。

 

「よくもヤマトに……大事な仲間に手を出したなぁっ!」


「くっ、クソがぁぁぁっ!」


「邪魔だ、どけ!」


 マキシリオンがラミィへ、ライダがハンナへ、剥き出しの殺意と共に武器を振るう。


「い、いったいどういうことですの!?」


 彼らを援護しようと、スノウが弓矢の狙いを定めるが――


 ――ヒュンッ!


「っ!?」


 背後から飛来した矢が足をかすめ、膝をつく。

 その直後、スノウの額には汗が浮かび、歯をガタガタを震わせ始めた。

 正確に彼女を射たのは、シルフィだ。


「麻痺の矢です。モンスターなら一発当てただけでは痺れませんが、人が相手なら肌をかすめるだけで十分です」


「わ、私が、こんな……」


 スノウは声を震わせながら、令嬢にあるまじき歪んだ表情でヤマトをにらみつけるが、やがて全身から力が抜けバタリとうつぶせに倒れた。


「ぐぁぁぁっ!」


「がはっ!」


 すぐにマキシリオンとライダも弾き飛ばされ、倒れたスノウの前へ転がる。

 マキシリオンは、大剣を地面へ突き片膝を立てると、ヤマトをにらみつけた。


「な、なぜだ!? こいつらはさっきクエストへ行ったはず……」


「それは、君たちをおびき寄せるためのフェイントだよ」


「バカなっ!? なぜ俺たちが、お前を襲うことを知って――」


「――カァッ!」


「いだっ!」


 そのとき、上空からピー助が舞い戻り、マキシリオンのつむじをくちばしで突き刺した。

 そして優雅に羽ばたき、ヤマトの肩へ乗る。

 すべてピー助が盗み聞きしていたというわけだ。


「ちぃっ、そういうことかよ……」


「なぁ、マキシリオン、ライダ、スノウ、これでこりただろう? 一度、自分たちの身の丈にあった生活をするように見直すんだ。そうすればまた――」


「――ふざけるな! 財布の管理しかできない無能が、何様のつもりだ!?」


「ライダ?」


「僕たちは最強のハンターパーティなんだ! お前ごときが仲間でいられたこと自体が奇跡なんだよ! 身の丈にあってないのはお前のほうだ。だから、今までの礼として、金を渡せよっ!」


 ライダは、傷だらけになった顔を醜く歪ませ叫ぶ。 

 もう、最強パーティとして町の女の子たちからキャーキャー言われていた彼の面影はない。

 ヤマトが口を開こうとするが、ラミィが遮るように剣の切っ先をライダへ向けて告げた。


「本当に救えない人たちだね」


 ライダは彼女をにらみつけるが、騎士然としていて堂々とした眼差しに心を折られ、ガックリとうな垂れる。


 これで決着はついた。

 後は彼らをどうするかというところだったが、そこへ思わぬ乱入者が現れる。


「――お前たち、いったいなにをやっている!?」


「え? 騎士団?」


 ぞろぞろとやって来たのは、この町の治安維持を目的とする国直属の騎士団だった。

 ヤマトもラミィたちも、突然のことに固まる。

 事前に情報をつかんでいない限り、こんなタイミングで路地裏へやって来るなどまずありえないのだ。


「ハンターパーティのソウルヒートと、トリニティスイーツだな?」


「は、はい……」


 隊長らしき長身の男の問いに、ヤマトは唖然と頷く。

 すると、ひざまづいていたマキシリオンがニィッと頬をつり上げた。


「そ、そうです! 俺たちが歩いていたら、突然こいつらに襲われて!」


 ヤマトたちは絶句する。

 この期におよんで、マキシリオンはあきらめず、この状況を利用しようとしているのだ。

 騎士たちから見れば、明らかにヤマトたちが加害者でマキシリオンたちが被害者。

 簡単にこの印象をくつがえせそうにない。

 

 しかし、騎士の男は目を丸くして告げた。


「そうだったのか? 俺が聞いている話と違うな」


「へ?」


 そのとき、騎士団長の後ろから歩み寄って来たのは、マヤだった。


※↓のご協力お願いしますm(__)m


読者様の本作への印象を知りたいので、広告の下にある☆☆☆☆☆から作品の率直な評価をお願いしますm(__)m


また、私の活動を応援くださる方は、『ブックマーク追加』も一緒にして頂けると大変助かります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ