表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/58

襲撃

「「「いってきまーす!」」」


「いってらしゃい!」


 ヤマトはいつも通り、町の正門でトリニティスイーツの三人を送り出すと、きびすを返した。

 いつも通り彼女らが戦っている間、消費するであろうアイテムの調達や情報収集をするつもりだ。


 商業区への近道をすべく、人気(ひとけ)の少ない裏通りを歩いていると、ピー助が呼びかけるように鳴き、ヤマトの肩から飛んだ。


「クエェッ!」


「ん? どうしたのピー助?」


 空中で滞空し、背後をにらみつけているピー助の視線を追うと、そこにはフードを深々とかぶって素顔を隠した、全身黒ずくめの三人組がいた。

 彼らはヤマトを見据え、ゆっくりと歩いている。

 ヤマトは緊張に頬を強張らせ後ずさると、すぐさまきびすを返し脱兎(だっと)のごとく走りだした。


「追えっ!」


 ドスのきいた声が響き、謎の三人組が追って来る。


「くっ!」


 必死に走るが、通行人が少ないため助けは期待できない。

 それに、すれ違う人々は厄介ごとに巻き込まれたくないというように、目をそらしている。

 

「クエッ!」


 ピー助が弾丸のごとく飛び出し、追手へ突撃するも、「邪魔だっ、どけぇ!」と腕で叩き飛ばされ地面を転がった。


「ピー助! くそぉ!」


 ヤマトは悲痛に顔を歪めるが、ただ逃げることしかできない。

 とはいえ、普段から運動不足の彼ではすぐに体力の限界がおとずれる。


 息を切らしたヤマトは、人気のない路地裏へと追い込まれていた。

 ここなら人に見つかる可能性が低く、肩にも相棒がおらず、絶体絶命だ。


「――ようやく観念したか、ザコがよ」


「その声、まさか……」


「ふっ、気付いたか?」


 三人組がフードをとると、その正体を明かした。


「マキシリオン、ライダ、スノウ!?」


「よぉ、調子はどうだ?」


「い、いったいなんのつもりだ!?」


「おいおい、警戒すんなよ。これでも長い間仲間だったじゃねぇか」


「不本意ではありましたけどね」


 スノウはそう言って背の弓をつかむ。

 同時に、ライダとマキシリオンもそれぞれ、大剣と片手剣を抜いた。

 張り詰める緊張感にヤマトは後ずさる。


「……マ、マヤさんはどうした?」


「あぁ? あいつは自分からパーティーを出て行ったさ」


「そうか」


 彼女が関わっていないと知り、ヤマトはホッと胸をなでおろすが、ライダはそんな余裕そうな態度にいらだちの声を上げた。


「相変わらずムカつく奴だなぁ」


「まぁ落ち着けよライダ。こいつもマヤも、しょせんはただの無能なんだ。腹を立てるまでもねぇ」


「マヤさんが無能?」


「そうですわ。彼女、あなたほどの役にも立たなかったんですから。おかげさまで、苦労させられましたわよ」


「ふざけるな……」


 ヤマトの脳裏に、マヤの寂しそうな表情がよみがる。

 ふつふつと怒りの感情が芽生え、拳を強く握った。


「あぁ? なんか文句あんのか!?」


「マヤさんは確かに結果を出せなかったのかもしれない。でもそれは君たちのせいだ。それが分かってても、彼女は一生懸命役に立とうと頑張っていたはずだ。そんなの、少し話しただけの僕でも分かる」


「なに言ってんだ、コイツ」


「なぁリーダー、もういいんじゃないのか?」


「えぇ、さっさと痛めつけて、貯めこんでいる資金を出させましょう」


 スノウが弓に矢をつがえてヤマトへ向け、マキシリオンとライダは武器を構えて駆け出す。

 逃げ場はなく、対抗する武器も持たず、どうあがいても勝ち目はない。

 しかしヤマトは動じず、まっすぐに彼らを見据えていた。


※↓のご協力お願いしますm(__)m


読者様の本作への印象を知りたいので、広告の下にある☆☆☆☆☆から作品の率直な評価をお願いしますm(__)m


また、私の活動を応援くださる方は、『ブックマーク追加』も一緒にして頂けると大変助かります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ