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マヤの気持ち(ソウルヒート視点)

「くそっ、無能のヤマトごときが、調子に乗りやがって!」


「許せませんわね!」


 マキシリオンたちは負のオーラをまき散らしながら、ズカズカと往来(おうらい)を歩いていた。

 事情を知らない人たちは彼らの圧におされ、道を開けている。

 

「なにがアドバイスのおかげだ、資金管理をなめるなだぁ? 頭おかしいんじゃねぇのか!? そんなもんで強くなれるんなら、誰も苦労しねぇだろうが」


「そうだねぇ。いったいどうやって彼女たちに取り入ったのやら」


「それもこれも、マヤの資金管理が下手なせいですわ! それをヤマトなんかに見抜かれてしまったんですもの。あのあわれむような目、我慢なりませんわ!」


 スノウがそう言うと、三人ともマヤへ目を向ける。

 酷い言いがかりだが、マヤはもう反論しなかった。

 ただただ、トボトボ歩きながら淡々とあやまる。


「……ごめんなさい」


「まあまあ、スノウも落ち着いて。マヤちゃんだって悪気があるわけじゃないんだからさ」


「ふんっ」


「しっかしよぉ、資金の減りが早いのも事実なんだ。ちゃんとしてくれよな、マヤ」


「ええ、分かってるわ」


 マヤはうつむいたまま答える。

 出費を抑えるように何度も言っているのに、それを聞かない彼らの自業自得ではあったが、マヤはこれ以上なにも言わない。

 言ったところで、また自分の資金管理が下手なのだと言われるだけだ。


 もはやあきらめていた。

 ソウルヒートの歩む先にあるのは滅亡のみ。

 だからこそ、今のうちに身の振り方をよく考えなければならない。


(確か……ヤマトさん、だったわね……)


 不機嫌そうにズカズカと歩いていくメンバーたちだったが、マヤは一人立ち止まり、背後を振りむいた。

 もちろんヤマトたちの姿はもう見えないが、マヤは彼との出会いに胸を高鳴らせる。


「彼は本物だったわ。断じて無能なんかじゃない」


 パーティの女の子たちが言っていたように、弱小パーティが資金管理のおかげで急成長したと言うのなら、間違いなくヤマトの手腕だろう。

 マヤでは想像すらできないほどの実力を持っているに違いない。

 それに、彼は一目見ただけで、ソウルヒートの資金力低下を見抜いていた。

 それこそ、金銭的価値を見抜くことのできる、鋭い目利(めき)きのなによりの証拠。


「ヤマトさん、あなたはいったい……」


 彼が最後に向けた、かつての仲間を気遣う視線を思い出し、マヤは手で胸を押さえた。

 ソウルヒートのメンバーに冷遇されていたせいか、彼の優しげな眼差しがマヤの心をかき乱す。

 自分でもよく分かっていない温かい感情を抱きながら、マヤはマキシリオンたちの後を追うのだった。


※ハイファンタジー日間27位になりました!(2/24)


1位を目指しますので、広告の下にある☆☆☆☆☆から作品の率直な評価をお願いしますm(__)m


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― 新着の感想 ―
[良い点] テンポが良くて読みやすい。話の構成もシンプルでわかりやすい。 [気になる点] キャラ背景や関係性、ストーリー構成はややあっさりしている印象。投資家という切り口が斬新で、お金さえあればパ…
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